小学校での英語教育必須化を受けて、中学受験で英語入試を導入する学校が増えていると報道されています。
首都圏模試センターによると、今春の首都圏中学入試では、計146校の学校が英語入試を行っているとのこと。
英語入試といっても、多くの学校では選択科目の1つであり、英語を必須にしている学校は稀です。
江戸取中(茨城県取手市)はその数少ない例になりますが、学校ホームページには、英語が必須になって初めて実施された今春の入試結果(志望コース別平均点など)が公開されています。
同校の一般入試は大きく分けて以下の2つのタイプがあります。
①5科目型(国算理社+英語) ※私立中との併願向け
②適性型(適性A, B+英語) ※公立中高一貫校との併願向け
第2回入試(2022年1月25日実施)では、2つのタイプの入試が同時に実施されていますが、英語の平均点を見てみると、興味深い事実がわかります。
<英語の受験者平均点>
①5科目型:東大Jr(44.6点)、医科Jr(42.9点)、難関Jr(43.0点)
②適性型:東大Jr(49.6点)、医科Jr(49.1点)、難関Jr(49.2点)
※英語の配点は50点。
上記の通り、適性型入試の受験者の方が、5科目型の受験者より明らかに高いのだ。
適性型入試の受験者は、ほぼ全員満点ではないですか!?
ところで、市進の受験ブログを拝見していると、千葉では中学受験コース生が、県立中高一貫校をこぞって受けていて、合格しても辞退するケースが多いようです。
一方、茨城の公立中高一貫校はどうか。
娘の中学受験時を思い返しても、志願者は私立中対策をしていない人が圧倒的多数です。また第一志望者がほとんどで辞退者は非常に少ない。
茨城の公立中高一貫校の志願者は、"中学受験算数"に取り組むことなく、小6になっても中学入学後を見据えて英語の勉強に注力することができるのです。
先日、某公立中高一貫校について調べていたところ、4~5年以上前の記事ですが、英語の成績について以下のような情報がありました。
・ベネッセ模試:全国1桁の順位(全国1位の時もあり)。
・Z会アドバンスト模試:千葉最難関校と同レベル。
・(高3進級直後)約20%が英検準1級を取得。
公立中高一貫校の適性検査では英語が課されていないので、英語の得意な子が必ずしも入学できるものではありません。
志願者全体の傾向として、英語の学力レベルが高いのだろうと思います。
県内ではここ数年来、公立中高一貫校の相次ぐ開校により、適性検査対策を含む受験勉強の早期化が加速し、私立中を含めた優秀な生徒獲得競争が激化しています。
このような背景や事情を考えると、江戸取中が他校に先駆けて中学入試で英語を課した狙いも何となく見えてきます。
また公表されている入試結果データは、私立中志願者と公立一貫校志願者の英語力の差を明確に示しており、中学受験に取り組む上で示唆に富むように思います。