Q&A93 自然周期胚移植 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 低刺激系のクリニックに通院、前回6日目胚盤胞が1個だけ育ち今周期がはじめての移植周期でした。自然周期で戻すとのことでしたが、胚移植当日P4の数値が7.9と伸びず、D18の移植がキャンセルとなりました。D11夕方にスプレキュアをして1週間後のD18に移植をするということに決まったのですが、移植日までは特に排卵したかどうか確認の通院はなく、移植日当日を迎えました。もし、病院の予測とは違い排卵が遅れていたとしたらP4の数値があがってないということはあるのですか。また、一般的に排卵日の多少のずれなども考慮して移植日決定するものなのでしょうか。今回自分で排卵が遅かったのかなと思った理由は、いつもだと排卵後結構すぐに体温が高温になることがほとんどだったのですが、今回体温が上がり始めたのが移植日の二日前であったからです。
D10のホルモン値 E2 184 LH 8.9  P4 0.4 FSH 5.3
D11のホルモン値 E2 242 LH 10.0 P4 0.2 FSH 4.4 卵胞サイズ16ミリ
初めての胚移植でいろいろ疑問に思ったのですが、主治医はホルモン値で高度に予測しているとの説明だけなのでよくわからず先生に質問させて頂きました。

A 以上の文面だけの情報から判断するとすれば、気になるのは以下の3点です。
1 16mmで排卵のトリガーへ切り替え(もう少し卵胞が大きくなるのを待つべきかどうか)
2 トリガーにスプレキュアを使用(hCGを使用すべきかどうか)
3 排卵後の確認がない(排卵の確証を持つべきかどうか)
しかし、超音波の見え方が文面ではわかりませんから、担当医の判断を否定するものではありません。また、体温はあまり参考にはなりません。

タイミングや人工授精での妊娠率はあまり評価されませんが、自然周期の胚移植では、この技術と経験が大きく関与してきます。自然周期胚移植では、難しい判断に迫られることも少なくありません。このような判断の難しさや、自然周期胚移植よりホルモン補充周期胚移植の方が妊娠率が良いこと、通院のしやすさから、私は初回胚移植ではホルモン補充周期をお勧めしています。