Q&A1684 乳癌後、POI | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 経過観察していた両側卵巣嚢胞が大きくなり、2015年の春頃腹腔鏡下手術、更に半年後に両側乳管ガンが見つかり、2016年春頃治療。メスは入れず放射線照射と僅かに抗がん剤。点滴の抗がん剤は照射しながらで2回のみでしたが、副作用が強く、治療中生理が来ていたのですが、その時に大量出血しました(まるで事件現場)。恐らく卵巣嚢胞摘出と抗がん剤の影響で著しく卵巣機能が低下したと思います。

 

 

 

その検査治療を優先する為、結局不妊治療は出来ず、一通り終わったところで無月経だと気付きました。2016年9月のAMHは0.2, FSHは70台。プラノバールで生理再開。ブセレキュアで高かったLHとFSHも下がり、卵胞が自然に1つ育ったので、昨年末に初めて採卵するも変性卵でした。その後、刺激しても卵は増えなかったのでやめ、自然周期でブセレキュア継続、今年、2月に2回目の採卵1つ、顕微授精でグレードも良く、2日目7分割の新鮮胚戻し、毎日プロゲステロン注射をし、また一度HCG5000も打ちましたが陰性。復職したので暫く体外は無理と、その後は自然周期でタイミングのみ。7月の排卵後に黄体ホルモン不全の改善でデュファストン服用。途中の採血ではホルモン数値も正常、が服用中に生理が来る。

8/2 卵胞は確認出来るも小さく1週間後診察、
8/9 まだ極少量の出血がある。卵胞も見えず。しかし、8/3に排卵検査薬でLHサージを確認したと伝えると、筋腫で見えないところにある卵胞が排卵したかも?と採血。E2は20pg/ml以下、P4は0.1ng/ml、LH 33.1miu/ml。無排卵だったかも?と、リセットの為、プラノバールを8/9から10日間服用。出血は8/10に止まる。8/22に茶オリ、8/23に生理(量多目)。8/25に月経中採血。結果が悪く、E2は20pg/ml以下、P4は0.3ng/ml、LH18.3miu/ml、FSHが55.4miu/ml。ブセレキュア位しか出来ないとのこと。


8月は休職、退職して治療に専念しようか悩み、ここ最近寝られず昼夜逆転、運動不足。また治療を初めてから代謝も落ち5,6㌔も太る(肥満ではない)。経済的な事情が変わり、体外はやれてもあと一回位という現状。不育症の血液検査、卵管造影は問題なし。筋腫は外側ですが複数個あり。

私にはもう可能性はないのでしょうか。また現状の治療はブセレキュアしかないでしょうか。やはり乳ガン患者にはエストラジオールは使えないのでしょうか。
適齢期には主人が病気で妊活出来ず。妹の高齢出産をきっかけに、今更初めての妊活・不妊治療をしています。ここまで自然周期でタイミングをとってきており黄体ホルモン以外は特に問題なしでした。リプロで出来ることがあるのなら転院も考えたいです。
 

 

A 年齢の記載がありませんので何とも言えませんが、乳癌の方にホルモン剤投与が全ていけないというわけではありません。ホルモン剤に制限があるのは事実ですが、この制限はローカルルールであり絶対的なものではありません。乳腺の主治医と相談の上、不妊治療の積極的な再開をお勧めいたします。なお、当院では、このような場合にFSH調整周期での採卵を行なっています。もちろん、乳腺の主治医の許可があってのものです。