Q&A1685 妻36歳、夫37歳、欧州在住 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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Q 妻36歳、夫37歳、欧州在住、精索静脈瘤あり
夫の精索静脈瘤(左:ステージ2、右:ステージ1)が見つかり、重度のOAT症候群で顕微授精を来春する予定です。今のところ現地での治療を考えています。念の為に顕微授精前に精子凍結する予定でしたが、状態が悪く凍結できる状態ではないとの事でTESEをしてみる事になりました。コエンザイムを飲ましたこともありますが全く効果なし。精索静脈瘤に対してはお互いに高齢なので意味がないと言われています。少しでも妊娠の可能性を上げたいのですが、他に私達ができることはないのでしょうか…。

 

A 欧米ではドナー卵子の治療がメインですので、高齢女性の治療の自己卵子での治療の選択肢が極めて少なくなっています。一方日本では、ドナー卵子の選択肢がないので、高齢女性の治療を積極的に行なっています。ここに大きな違いがあります。自己卵子での治療をお考えでしたら、精索静脈瘤の手術をしてみる価値はあると思います。しかし、ドナー卵子の治療では、精子の遺伝子を修復する力がありますので、精索静脈瘤の手術の効果はあまりないものと考えます。精子には遺伝子修復酵素がありませんので、卵子の遺伝子修復酵素の働きにより修復されます。この際には若い卵子が必要です。