Q&A1707 慢性子宮内膜炎について | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 何度か移植して着床しなかったので、2016年12月にリプロ大阪でオプション検査を一通り行いました。BCE検査も行いましたが、結果は陰性でした。

2017年7月に、普段不妊治療を行っている地元の医院でも慢性子宮内膜炎について研究的治療を行うというお話があり、大阪と同じものできっと陰性になるだろうけどという気持ちでCD138染色の検査を行いました。ですが、陽性との病理診断がつき、ビブラマイシン内服後再度8月に病理検査を行った所、完治していないという事で現在オフロキサシン、フラジールの投薬治療中です。

質問ですが、12月から7月までの間に陰性から陽性というのはあり得る結果なのでしょうか。一度陰性の結果となっても、年に何度か検査した方がよいものなのか不安になりました。大阪では生理開始から8日目に内膜採取しましたが、地元の医院では採卵時に内膜採取したので17日目、21日目と時期がずれているため結果が異なってしまったのか、地元の医院では内膜生検を始めたばかりなのでそのせいなのか、どうでしょうか。

 
A そもそも慢性子宮内膜炎がどのタイミングで生じるか明らかではありませんので、半年程度の間に新たに慢性子宮内膜炎が生じることは十分考えられます。実際に、出産された方、あるいは流産された方が、その後の胚移植で全く妊娠反応が出なくなり、調べてみると慢性子宮内膜炎が見つかるケースがあります。なお、内膜の基底膜付近まで内膜を採取したいので、検査の時期は内膜が厚くなる黄体期(排卵後)にはしない方が良いでしょう(採卵日はOKです)。また、慢性子宮内膜炎の陽性判定の基準も規定に則った基準での判断が必要です。すなわち、400倍で20視野以上を観察し、0.25個/視野(すなわち5個/20視野)以上を陽性とします。例えば、1個見つかったからと言っても陽性ではありません。
 
なお、このQ&Aは、約4〜5ヶ月前の質問にお答えしております。