day 6 凍結胚盤胞よりday 5 凍結胚盤胞を優先 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

本論文は、day 6 凍結胚盤胞よりday 5 凍結胚盤胞を優先すべきであることを示しています。

 

Hum Reprod 2018; 33: 390(フランス)

要約:2012〜2015年に自己卵による凍結融解単一良好胚盤胞移植を実施した1347周期を対象に、妊娠成績を後方視的に分析しました。なお、拡張胚盤胞になった時点で凍結し(day 5 あるいは day 6)、ホルモン補充周期でday 5 に移植を行いました。結果は下記の通り。

 

          day 5 凍結胚  day 6 凍結胚

臨床妊娠率      43.2%     26.9%*

流産率        27.5%     28.4%

出産率        29.6%     17.0%*

*有意差の見られた項目

 

ロジスティック回帰分析により、凍結胚盤胞移植の出産率に影響を与える因子(オッズ比)は、35歳以上(0.72倍)、過去の体外受精/顕微授精実施回数1回(0.71倍)、過去の体外受精/顕微授精実施回数2回以上(0.65倍)、良好胚盤胞(1.53倍)、day 6胚(0.52倍)でした。

 

解説:これまで、新鮮胚移植ではday 6 胚盤胞よりday 5 胚盤胞の成績が良好という報告は多数ありましたが、凍結胚ではday 6 凍結胚盤胞よりday 5 凍結胚盤胞の成績が良好なのは否かについては賛否両論がありました。本論文は、凍結胚ではday 6 凍結胚盤胞よりday 5 凍結胚盤胞の成績が良好であることを示しています。つまり、同じグレードならday 5を優先すべきということで、至極もっともな結論です。しかし、後方視的検討であるため、前方視的検討が必要です。凍結胚移植は日本が最先端をいっていますので、私たちが世界にアピールすべき領域だと思います。

 

下記の記事を参照してください。

2013.3.18「☆採卵後6日目の胚盤胞では凍結融解胚移植を!