本論文は、フルーツ(特に柑橘類)が子宮内膜症の予防になる可能性を示唆しています。
Hum Reprod 2018; 33: 715(米国)doi: 10.1093/humrep/dey014
要約:1989年以降にNurses' Health Study II(NHSII)に登録した116,430名(25~42歳)の看護師のうち70,835名の方について、食事調査を4年毎に行いフルーツや野菜の摂取状況と内膜症の罹患率を前方視的に検討したものです。腹腔鏡により内膜症の診断が下された2,609名について、のべ840,012人年間、経過観察しました(罹患率=311/100,000人年)。フルーツ摂取が多い方は、内膜症の罹患率が有意に低下していました。特に柑橘類の摂取が1日1回以上の方は、週に1回未満の方と比べて0.78倍に内膜症のリスクが低下しました。全体の野菜摂取量と内膜症のリスクの関連はありませんでしたが、アブラナ科の野菜の摂取が1日1回以上の方は、週に1回未満の方と比べて1.13倍に内膜症のリスクが増加しました。栄養素の検討では、βクリプトキサンチン摂取は0.88倍に内膜症のリスクを低下させました。
解説:食生活と子宮内膜症の関連については、これまでに2つの症例対照研究が報告されています。新鮮なフルーツと緑黄野菜摂取が少ないと内膜症のリスクが高くなるという報告、野菜との関連はなくフルーツ摂取が多いと内膜症のリスクが高くなるという報告です。症例対照研究では本当の意味でのリスクはわかりませんので、前方視的検討が待たれていました。本論文はNHSIIスタディーの一貫として食生活と子宮内膜症の関連を前方視的に検討したもので、内膜症のリスク低下には柑橘類とβクリプトキサンチンが、リスク増加にはアブラナ科の野菜が関与することを示しています。クリプトキサンチンは抗酸化物質であり、柑橘類に多く含まれています。なお、アブラナ科の野菜とは(アイウエオ順)、カイワレダイコン、カブ、カリフラワー、キャベツ、クレソン、ケール、コールラビ、小松菜、タアサイ、大根、高菜、青梗菜、ナバナ、白菜、ブロッコリー、水菜、芽キャベツ、ラディッシュなどです。
Nurses' Health Study IIについては、下記の記事を参照してください。
2018.3.29「初潮の頃の大気汚染で生理不順?」
2016.7.7「☆子宮内膜症の方は不妊になりやすいのか」
2015.8.22「不妊症、妊娠治療と高血圧のリスクは?」
2015.3.22「甘味飲料水と初潮の関係」
2014.11.28「☆ニキビと内膜症の関係」
2014.10.30「☆卵巣癌のリスクを減らす方法」
2013.7.18「☆痩せすぎは内膜症になりやすい?」