初潮年齢と閉経年齢の関係 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

本論文は、初潮年齢と閉経年齢の関係について国家規模で調査したものです。

 

Hum Reprod 2018; 33: 1149(ノルウエイ)

要約:2006〜2014年に48〜71歳の方392,238名を対象に質問票調査を行いました。ライフスタイルと健康に関する調査の中に初潮と閉経についての質問を含めてあり、336,788名から回答が得られました。閉経年齢は平均51歳。初潮年齢が16歳以上の場合には、初潮年齢が13歳の方と比べ閉経年齢が1年有意に遅くなりました。また、初潮年齢が遅くなると、生殖可能期間が短縮しました。すなわち、初潮年齢が9歳以下の場合には、初潮年齢が17歳以上の方と比べ生殖可能期間が9年有意に延長しました。

 

解説:初潮年齢と閉経年齢の関係については、様々な論文が発表されています。初潮年齢が早いと閉経年齢が早くなるというものもあれば、閉経年齢が遅くなるというものもあります。これらの研究は症例数が少ないという難点がありました。本論文は、国家規模の調査をすることにより、より正確な結果を目指したものです。初潮年齢が早いと閉経年齢が早くなりますが、わずか1年程度の違いであり、初潮年齢から閉経年齢を予測することはできないとしています。つまり、初潮年齢が早くなった分だけ生殖可能期間が延長することになります。この延長した期間は、女性ホルモンへの暴露期間になりますので、新血管疾患のリスク低下につながる可能性のある一方で、女性ホルモン依存性の癌のリスク増加の可能性も考慮すべきであるとしています。ただし、これらの疾患に関するデータはありません。

 

下記の記事を参照してください。

2017.5.12「AMHに影響する因子

2017.3.21「初潮が早いと閉経も早い?

2014.10.27「初潮年齢と妊娠との関係

2014.5.4「☆片側の卵巣摘出をしても閉経はたった1年早くなるだけ

2013.12.7「☆初潮が早いとAMHが低下する?