Q&A1950 ☆エコーで排卵の見極めはできますか? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q リプロでは、尿中LHを検査せず予想される排卵日付近に卵胞チェックをされていますが、排卵前か排卵後かをエコーだけで見極めるのはどの位難しいことなのでしょうか。自宅でも自分でLHを検査するのが正解ですか。

 

A 排卵の見極めは、エコーだけでは難しいでしょう。卵胞のエコーは、排卵前後で変わらないことがしばしばあります(卵胞が潰れない場合もあります)。また、尿中LHも単に排卵の指令をみているだけなので、排卵の証拠にはなりません。排卵日には黄体ホルモンが1.0を超え、E2が激減するという特徴がありますが、これを見極めるには毎回採血が必要になります(お金と時間がかなりかかりますので現実的ではありません)。

 

それでは視点を変え、排卵日を特定することにどれほどの意味があるかを考えてみましょう。タイミング治療の場合には、排卵前5日間の間に何回か性交を持つことが重要であり、排卵日の特定はそれほど重要ではありません。むしろ定期的に性交をもつ(1日おきなど)ことが大切です。一方、人工授精の場合には、卵胞がある程度大きくなったところで排卵のトリガーを用いれば、排卵と精子の注入時期を合わせることができますから、自然の排卵の指令を待つ必要はありません。したがって、不思議な気がするかもしれませんが、一般妊娠治療において排卵日を特定することに大きなメリットはないのです。

 

なお、このQ&Aは、約3ヶ月前の質問にお答えしております。