本論文は、下着の種類と精液所見についての横断研究です。
Hum Reprod 2018; 33: 1749(米国)doi: 10.1093/humrep/dey259
要約:2000〜2017年に不妊クリニックを訪れた656名の男性の精液検査と下着調査を行いました(横断研究)。年齢の中央値は35.5歳、BMIの中央値は26.3。53%がトランクスを着用していました。下着の種類により有意差の見られた項目は下記の通り。
精子数 総精子数 総運動精子数 FSH
トランクス 6470万/mL 16800万 7050万 7.21
トランクス以外 5190万/mL 13800万 5050万 8.20
解説:近年、男性の精液所見の低下が見られますが、環境ホルモン、肥満、食生活、精巣温度の上昇などの要因が考えられています。タイトな下着は精巣温度が高くなり、ルーズな下着は精巣温度が低くなる可能性がありますが、下着の種類で本当に精液所見に変化が生じるか否かについては賛否両論があります。本論文は、下着の種類と精液所見についての横断研究を実施したものであり、ルーズな下着(トランクス)の精液所見が良好であることを示しています。本論文の著者は、タイトな下着(トランクス以外)では、精巣温度が上昇し精巣にダメージが生じるため、それをカバーしようとしてFSHが増加するのではないかと推察しています。