Q&A4004 43歳、流産3回 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 43歳でリプロ通院中

 

約4年治療して来ましたが、流産3回、出産には至れずにいます。年齢的、費用面でもやるだけやった気持ちもあり、特別養子縁組も検討しながら、最後の移植に臨むつもりです。

 

現在凍結中の受精卵は、Day5 4AB 45,XOモザイク
PGTA未実施のDay3 8G3、Day5 4BC、Day6 3CC、Day6 3CC です。

PGTAの成績は16個中、正常胚2個、モザイク胚1個でした。直近(2024年2月)の流産前に実施したERPeakは「+1」、慢性子宮内膜炎検査は陰性、不育症検査はかなり前に受けましたが全て異常なしでした。これまでの妊娠(3回)は、ホルモン補充2回、自然周期1回、1個移植や2個移植を実施して来ました。
流産3回の内訳は、
1 PGTA未実施胚(流産胎児絨毛染色体検査実施せず)
2 PGTA未実施胚(流産胎児絨毛染色体検査:No.16トリソミー)
3 PGTA正常胚

①胚の選択について:残りの胚はいずれもグレードがあまり良くないですが、初めての採卵時(40歳)に凍結した初期胚に期待を感じています。そのため、2段階移植の予定です。残りの胚については、「どのような子が生まれても育てる覚悟があるならば」と、残り全ての胚(モザイク胚+PGTA未実施胚も全て)を移植することも可能であるとの見解を貴院の先生から頂きました。最後の移植であり、残った胚を廃棄することを考えると是非そうしたい気持ちですが、治療成績にどう影響するかがわからないため、松林先生のご意見をうかがいたいです。
②移植方法について:初期胚を使用したいため、2段階移植を考えていますが、松林先生のご意見をうかがいたいです。
③3回の流産は全て、心拍確認前後(7週前後)ばかりで、いずれも胎嚢や胎芽の発育がかなりゆっくりでした。原因不明の不育症に該当するかと思いますが、最後の移植では、貴院で提案されたピシバニールかIVIGを使用したいと考えていますが、費用面・効果についてどちらにすべきか決めかねています(これまでにピシバニールは移植前に一度使用しましたが、その際は妊娠判定陰性でした)。

 

A 

①複数胚移植のメリットは、受精卵どうしの助け合いが生じることです。悪い方に引っ張られることはありませんので、残り全ての胚の移植を試してみる価値はあると思います。

2020.8.28「☆良い胚と悪い胚を移植した場合は?
②2段階移植は試してみる価値はあると思います。
③当院のデータでは、原因不明不育症には、ピシバニール+プレドニン、あるいはIVIGが有効ですが、あくまでも妊娠してからの治療になります。移植周期のオプションと妊娠してからのオプションは分けて考える必要があります。つまり、移植周期中は妊娠が成立した時の方法を行ってください。

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。