凄かった。

観たいと思っていた映画だけど、期待をはるかに超えていた。

 

 

クイーンはリアルタイムじゃない。

少し上の世代のロックスターではあるけれど、その壮大さは世代を超えて影響が大きい。

 

あのストンピングが印象的で、NBAやメジャーリーグでもよく使われるWe’ll Rock You

優勝のトロフィーやシャーレを掲げるときに必ず流されるWe're the Champion

 

2018年現在でも、子供でも聞いたことのある曲たち。

 

自分は高校生のころだったか、立川のどっかのデパートの売り場の一角でクイーンのCDを買った。

レコードからCDになりたてのころで、オフィシャルのアルバムじゃなくて海賊盤だった。

 

そのアルバムはライブ盤で、We Will Rock Youで始まる。

オリジナルのテイクと違って、ブライアンメイのギターで終わるとそこから8ビートでさらに曲が続く。

録音レベルが低く、このアルバムを聴くときはボリュームを上げないといけない。

しかし、そのフレディのボーカル、メイのギター、観客のボルテージは音を大きくして聴きたいと、いつも大きめに聴く。

 

このアルバムで、特に好きなのがLove of my Life。

この曲の時の観客の歌声が凄まじい。

曲の美しいメロディライン、フレディのボーカル、メイのアコギ。

曲の中盤では歌うのをやめ、観客の歌が鳴り響く。

 

*********

 

クイーンを題材とした映画が公開される。

そう聞いて、これは観たいと思っていた。

調べるうちに、この映画もかなりの難産で出来上がったという。

 

家族に迷惑をかけない、日曜夜のレイトショーに一人で行った。

予約を取らずに行ったが、大きな箱にも関わらず人がたくさん入っていた。

その多くは「おひとり様」。自分と同じような境遇の人かと思われた。

 

 

開演前、この映像で流れるファンファーレ。

誰でも思い浮かぶと思うけど、この映画ではギターで奏でられている。

ブライアンメイの音だ。一発で誰の音かわかるギタリストなんて、そうはいない。

 

映画は135分。

ちょっと長めだけど、全然そう思わなかった。

持参したペットボトルを一度も飲むことはなかった。

むしろ、終わってほしくないとさえ思った。

 

バンド結成のシーン

車を売ってアルバムを作る

ブレイクしていく躍動感

プロモーターとの衝突

人種問題

恋人との悲しい別れ(別れたわけじゃない)

バイセクシャル

ドラッグ

ソロ・ムーブメントへの誘い

マネージャーの裏切り

エイズ

そしてライブエイドでのクイーン復活

 

後で調べてみると実際とは違うストーリーもあるようだが、この映画にはメイもテイラーも監修している。

彼らがOKというならそれが正しい。

 

クイーンの名曲が当然この映画の中で流れる。

嬉しかったのは、Love of my Lifeがその中で重要な曲として使われていたこと。

あの高校生の時の感情が蘇る。

この曲はそういうエピソードからできた曲だったんだ・・。

 

フレディ役の役者さん、実際の声を使っているわけじゃないとは思う。

生前のフレディの歌声を真似することは不可能だと思う。

きっと残されていた彼のテイクを使って、それに合わせて録っているのだろうと思う。

だけど、凄かった。

パフォーマンスはフレディそのものだったと思う。

 

正直、クイーンについて知ってることは曲しかなかったけど、ストーリーを追ううちに涙が出た。

4オクターブの奇跡のボーカル、美しいメロディライン、一発でわかるメイのギター、ジャンルを超えた「音楽」の自由さ。

時代を駆け抜けたバンドのサイドストーリー。

 

調べていくうちに、We'll Rock Youの誕生秘話を見つけたので、ここに残しておこうと思う。

 

ロックスターになる前、ブライアン・メイはロンドンのインペリアル・カレッジで数学と物理学を専攻しており、1968年に後者の分野で理学士号を取得している。2010年に行われたNPRのテリー・グロスとのインタビューによると、「ウィ・ウィル・ロック・ユー」のリズムトラックには、彼のそういったバックグラウンドが活かされているという。「あの曲のレコーディングにはロンドン北部にある教会を使った。音響がすごく良かったからね」彼はそう話している。「古い板がたくさん置いてあって、それを踏みつけるといい音がするんじゃないかと思ったんだ。それを全部床に並べて実際にやってみたところ、なかなかいい音が録れた。でもその時、俺の物理学者としての勘が働いたんだ。1000人でこれをやったら、ものすごいことになるんじゃないかってね。ストンピングが生む残響音についても、数学的な計算に基づいて考えた。結果的に、複数のテイクを活用することにしたんだ。教会のナチュラルなエコーには頼らず、マイクを置く位置を変えて録音した複数のテイクを重ねることにした。一番肝心なのは、音の発生場所からマイクまでの距離だった。各テイクが被って聞こえないように、それぞれ異なる長さのディレイをかけた。だからストンピングのパートには、教会のエコー音はほとんど混じってないんだよ。ステレオで鳴ってるクラッピングについても、広がって聞こえるように計算した上でマイクの設置場所を決めた。ストンピングとクラッピングを繰り返す、大勢の人間に囲まれているような感覚を狙ったんだよ。

 

自分の中で、凄いボーカリストというのは、

 

忌野清志郎

フレディマーキュリー

 

この二人は不変だ。

 

他では、

沢田研二、モッズの森山達也、エレカシの宮本浩次、最近ではGLIM SPANKYの松尾レミなども。

だけどこの辺はその時によって入れ替わったりする。

 

 

誰か、業界の人にお願いしたい。

ぜひこれをRCで作ってほしい。

清志郎の声、世代を超えて残る名曲たち、チャボの存在感。

日本ではストーンズに比較されたこともあるが、クイーンのこの映画を見ながら、途中からその思いが強くなった。

 

あの完全復活祭をライブエイドの位置づけで。

「GATTA 清志郎」の本を原作とすれば、この映画に負けないくらいの作品ができるに違いない。

 

だけど・・

清志郎役をできる俳優さんがいないかな・・。

誰がやっても、ドンピシャで再現はできないだろう。

 

しかしなんだろうこの心の揺れは。

しばらくはクイーンを聴き続けたい。