日本 - オマーン (1-1)

■試合前の状況
まず前提として現状を把握しておきたい。

・敵地でのW杯3次予選。
・気温は35度を超え、湿度は50%を超えている。
・試合前、日本は2位(2位までは最終予選にいける)
・オマーンは3位。
・ホームでの1週間前の試合は3-0で勝利している。

つまり引き分けでも現実として2位以内がかなり近づく。
果たして選手がそれだけの覚悟を持っていたかどうかは疑問だが。

■総括
熱さや気候によるものか、前の試合で3-0だった余裕からか、は分からないが、比較的ゆとりを持ってボールをまわす日本。
オマーンは攻めの形が作れないが、深い芝で互いに簡単なミスも目立つ。

そんな中セットプレーで集中を欠いた日本があっさりと先制を許す。
日本はこのシーン以外にも 五分五分のボールを相手に渡すシーン、簡単に前を向かせるシーンが目立った。
皮肉にも 1週前に評価した「プレッシャーと感じる距離」が、この試合に限って言えばオマーンのほうがより厳しい距離で接していたように思える。
そして、「受け」の意識に回った日本、負けはないだろう、という無意識の油断が失点を生んだと思える。

後半、ラッキーなPKで同点に追いつき、ラッキーな相手のPK失敗で引き分けを「拾った」日本。
所詮 こんなレベルか、と嘆きたくなるが、逆に考えると、オマーンとしては最高の試合展開だったにもかかわらず安易なファウルで同点にされた。
そしてリードできるチャンスを逃した。
この結果がつまりはW杯出場を目指すチームと、日本を苦しめた!というレベルのチームの違いなのかもしれない。

これほど最悪な展開ながらも結果は引き分けた。
そして日本は2位にいる。

アジアの中では間違いなく「勝者のメンタリティ」を保てている証拠かもしれない。

そしてこの試合で語れる収穫は、唯一それだけだった。

■試合総評
熱さの中、省エネを意識しすぎた日本は横パスは回るものの縦への突破、最後の崩しのアイディアが乏しいといういつものパターン。
困ったところでFWとワンツーを試すもの、すべて読まれている。

そして集中力の欠如からの失点。
前半を0-1で折り返す最悪な展開。

ボールをキープして回すことは出来ても、DFボランチを含めたゲームを作る(ビルドアップ)のパス回しが少ない。
その場その場の行き当たりばったりなパスばかりで相手を揺さぶれていないので、戻りの早い相手を崩せなかったのが前半だった。

後半はその展開を打開すべく、中村がボランチ気味の位置に下がる。
かつて代表で中田が見せたような動きである。
ゲームを作るところを俺がするから、試合を決めるのは、若く、能力のある選手に託す、、、と。

実際に試合を決めたのは玉田の強引な突破だったが、チャンスは格段に増えた。
しかし、松井、大久保らが決めれない。。。
遠藤、長谷部らパスが上手い選手がボランチに入ることで、中村はゲーム作りに力を割く必要がないと思われたが、ファール気味に当たってくる相手に遠藤は力を発揮したものの長谷部はかなりの時間で消えてしまっていた。
この展開であれば今野や鈴木といった守備力と強さをもった選手のほうが良かったかもしれない・・・

奇しくも W杯で 中田が身を呈してゲームをつくり、中村に決定機を任せたものの何も出来なかったことが 重なって見えた。

そして右SBに入った内田は安易なミスや軽率なプレーが多く、持ち前の攻撃力を発揮する以前の問題が山積みであった。
守備があれだけ軽ければトゥーリオのオーバーラップという武器も生かせない(任せられない)
そして駒野を左に回すのも勿体ないと思えた。
駒野が現状の右SBでは一番安定していると思えるし、右足でのクロスは最近精度が上がってきたと感じる。
左ではその威力も半減してしまう。

最初からW杯予選はこれほど厳しいものだ、という覚悟で望んでいればダメージは少ないだろうが、疲労と怪我と大久保の退場(まったくの愚かな行為だった)

そして勝てるつもりで乗り込んだアウェーでの引き分け。
精神的なダメージ・・・

選手個々の評価は非常に難しい試合であった。

良かった選手は 楢崎、遠藤、中村
厳しい評価をせざるを得ないのは、内田、長谷部、松井、大久保
あとは無難な出来、、、か。


人とボールが動くサッカーをやるには熱すぎたと言えるかもしれないが、意識の問題は無かったか?慢心は無かったか?
楽して勝てると思っていなかったか?

紙一重でもらった引き分けを生かすか、殺すかはこれからに掛かっている。


これはW杯予選だ。

どの国も楽して勝てることはない。