■サッカー キリンカップ 日本代表総括
・VS コートジボワール
前半はそれなりの連携を見せ、先制点を奪うまでは無難な出来。
ただ、細かいパス回しが好きなんだろうが、技術が追いつかず、バタバタした印象も否めない。

ハッキリ言って収穫は少なかったが、オシム時代に培った連動が多少は復活したことが収穫か。

だが、それも前半30分まで。
その後はまったく攻めあがれず動きも連動せず鈍重な試合。
なんとか1-0で逃げ切ったが、方向性は見えなかった。

・VS パラグアイ
中村が初めて合流した試合となった。
前半は、その中村を含めて、細かいパス回しを披露。
だがやはり身の丈にあってるとはいい難く、もう少し簡単なプレーの連続でチャンスを作ってほしいと思った。

とは言え、中村は代表でも別格のコントロールの良さを見せチャンスを演出。
得点こそなかったもののいい形で前半を終えた。

だが後半(正確には前半30分過ぎから)は 前の試合と同じ展開・・・
攻め上がりも薄く、松井、長谷部、大久保という日本では個人能力の高い、攻撃的な選手を送り出すも チャンスには繋がらず。

0-0で試合を終えた。


・総括
この2試合では立ち上がりが鈍い南米のチーム相手に主導権を握れたことは良かった。
だが、せっかくつかんだ流れも自ら手放す試合下手ぶり。
個人技術では勝負できないのに、やたらと狭い範囲を通すパスを狙いすぎたり、無理なドリブルやロングシュートも目立った。

たまに作ったチャンスは、無理にまとめて言えば、個人のひらめきが繋がっただけ。
チームの方向性にハマッたとは、どうしても感じれなかった。

つまり、やりたい事が何なのか?チームとしてそれが見えないのが問題だ。
決定力や、パスミスの多さ、DFラインの低さといった問題もあるが、それらの問題を語る以前の問題だ・・・

狭義で見れば好プレーもあったが、日本のストロングポイントはなにか?
このチームは何で勝負するのか?それが見えない。

例えばJリーグであれば、名古屋はとにかく両サイドをワイドに使って、DFを広げてから中で勝負する。
よってサイドの選手は技術、スピードの高い選手を起用し、FWは高さ&スピードの組み合わせである。
東京などは、圧倒的な個人能力の外国人3人を生かすためにチームが連動する。
それによって、その3人も独善的な個人技に走りすぎることなくチームが成り立っている。
千葉は運動量と丁寧なパスで試合を作る。
と、チームごとにコンセプトが見えるのだが、日本代表となるとまだ見えない。

守備はだいぶ整備されてきたが、ビルドアップから攻撃に入るところでまったく見えないのだ。
もう何年も前から言われてる、「最後のところで精度が・・・」という台詞は、最後のところで崩し方の共通理解が乏しいからではないか?

正直、このままではW杯予選は危ない。
技術の高いチームよりも、技術は低くともチームの共通理解があるほうが「強い」ことは良く見る光景だ。
やることがハッキリしていて、これをやればいい!という集団は強いのだ。

個人的には「当たり前の簡単なパスをやり続ける」ことで集団としての すばしっこさ、連動性を前面に出してほしい。
決して無理に狭いスペースでプレーすることではない。。。と思うのだが。

イタリアがあれだけ本番に強いのは、そういう理由もあると感じている。
スペインがあれだけ本番に弱いのは、同じ理由だとも思っている。
(もっともスペインはノスタルジックに負けることさえも美徳に感じてそうだが)


このままではジーコ時代よりも酷い時代が来る・・・
少しだけ好機が多く見えたからと言って事態が好転しているとは思えない。
日本はピンチだ。