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一昨年、父(享年75歳)の7回忌を迎え
父を思い出す事が最高の供養だと思い
この連載を書くことにしました
父(三男)は熊本の貧しい農家の
4番目の子どもとして生まれました
一番上の姉(初子)を筆頭に
その下には男五人(一男・二男・三男・四男・五男)
の6人姉弟そんな父と私のお話です
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初めての方はこちら から
退職の日、私は各病棟の看護師さんたちにも
今までお世話になった挨拶に回った
そこで、とても参考になることを年配の看護師さん達から聞いた
「最初から飛ばし過ぎるとダメよ」
「えっどう言うことですか」
「新婚の時は、楽しくてやる気も満々だから
ついつい張り切り過ぎてしまうのよ
でも・・・旦那さんはそれが当たり前だと思う様になるのよね」
他の看護師さんも言う
「そうそう
出来ることが当り前になって、ちょっと手を抜くと文句を言われるわ
最初は何にも出来ないフリをしてる方が良いわよ」
「出来ないことが当り前になると~
ちょっとやれば、頑張ってるって思われるんだから
絶対にそっちの方がうまく行くわよ」
「へえそんなものなんですか」
「そうよ
駆け引きは恋愛中だけじゃないのよ
いかにうまく操れるかが・・・結婚生活の成功の秘訣だわ」
「結婚したからって、最初から全てをさらけ出すんじゃなくて
出来る事は、小出しにした方が感激もされるってもんよ」
「参考になります」
『確かにそうかも知れない』と妙に心に残った
数日前から、父の様子がおかしい
私に隠れて、倉庫でこそこそ何かを作っている
「覗いちゃ~ダメだぞ」
夕飯が済むといつもそう言って倉庫へこもる
トントン・・トントン・・・
何かを打ちつける音がする
母に聞いた
「ねえお父さん、何してるの」
「さあね」
「『覗いちゃダメ』なんて~まるで鶴の恩返しだね」
そして、その謎が解ける日がやって来た
独身時代最後のお正月、家族5人で私は何だか感無量だった
県外の兄も今年は私が結婚すると言うことで
実家に帰って来た
「まゆみこれは父さんと母さんからのお祝いだ
これくらいしかしてやれんが・・・幸せになれよ
現金をやるのも味気ないと思って~父さん考えたんだよ」
中を開いてみると・・・
1枚ずつ丁寧に『のみ』で切りこみが入れられ
必要な時に1枚ずつ切り取って
お金と引き換えられる様になっている
トントン・・トントン・・・は『のみ』を打ちつける音だったのだ
「何かを買う特、いちいちこれとお金を交換するの
めんどくさぁ~~い」
妹は笑ったが・・・
私は、不器用な父が一生懸命~分厚く丸いコロコロした手で
作る姿を想像すると涙が止まらなかった
「お父さん、毎日これ作ってたの」
「ああ・・・そうだよ
まゆみを驚かせたかったから~隠すのに必死だったよ」
「ありがとう
とっても嬉しい」
「喜んでもらえて良かったよ
香織は『めんどくさい』って言ったから~作ってあげないからな」
「うそうそ
私の時は『0』もうひとつ増やしてね」
「あはは・・・香織はちゃっかりしてるなぁ~
でも父さん、コピーする時ニセ札を作ってるって
思われるんじゃないかとドキドキしたんだよ
だから~香織の時は別のものにするかも知れんな」
兄が笑いながら言う
「これ、白黒だし・・・こんなに小さくて裏も真っ白じゃないか
誰もそんなこと思わないよ」
「お父さん、おおらかな様でも結構~気が小さいとこあるからね」
と母が言った
「こりゃ~参ったな」
父は頭を抱え、隠れるフリをする
「あははは・・・・」
「ハハハ・・・・」
みんなの笑い声が部屋中に広がる
「ひさしぶりにカラオケ大会でもするか」
「うん」
父の口癖である『貧しいながらも楽しい我が家』
そのものであった
私も明るく楽しい家庭を作りたいと思った
~(145)へ続く~
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