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一昨年、父(享年75歳)の7回忌を迎え
父を思い出す事が最高の供養だと思い
この連載を書くことにしました
父(三男)は熊本の貧しい農家の
4番目の子どもとして生まれました
一番上の姉(初子)を筆頭に
その下には男五人(一男・二男・三男・四男・五男)
の6人姉弟そんな父と私のお話です
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初めての方はこちら から
良ちゃんはいつも優しく、新婚生活はとても楽しかった
だが・・・知らない土地で友達も居ない
良ちゃんが仕事から帰って来ることだけが楽しみであった
「もうそろそろ、帰って来るわ」
毎日、同じ時間の電車で帰って来る
私は夕飯を作り、時間になると待ち切れずに
マンションのベランダに出て、その帰りを待つ
恋人同士の時と同じ様に
帰って来る時間が迫って来ると・・・ドキドキときめく
そんな私の毎日は・・・2~3日おきに、溜まれば洗濯
昼間は散歩がてらに買い物
そして~料理本と睨めっこしながら
早々と夕飯の準備に取り掛かる
その他はほとんどテレビを見て
時間を無駄に使っている
母は心配して毎日の様に電話を掛けて来る
「ちゃんと家事はしてるの」
「してるよ~
でも、洗濯物もあまりないから2~3日に1回で良いし
買い物もそんなに無いし、昼間は退屈だから
アルバイトでも探そうかと思ってるのよ」
「掃除はちゃんとしてるの」
「してるよ~
だけど・・・ここは高速道路が近いからかなぁ
棚の上とか~すぐザラザラになるから
そんなところは毎日拭いてるよ」
「『そんなところは』って、掃除機は毎日掛けてないの」
「だって・・・掃除機は週に1回くらいで良いでしょ」
「何言ってるの
学校でも掃除は毎日やってたでしょ」
「学校は人数が多いからでしょ
ふたりだとそんなに散らからないし・・・」
「埃は毎日出るのよ」
独身の頃は、妹の香織と同じ部屋だった私
休みの日に掃除をしていたが、いつも床はピカピカだし
机の上にも埃などはなかった
それもそのハズである
私たちが仕事へ行っている間に毎日、母が掃除していたのだ
キレイ好きな母は私たちが掃除するまで待てなかったらしい
「あんた達が掃除するの待ってたら、埃だらけになって
2階からその埃を持って来るでしょ
『部屋に入るな』っていつも言うから
居ない時にこそっと掃除してたのよ」
「そうなんだ」
「仕事から疲れて帰って来て、埃だらけの部屋はイヤでしょ」
「お母さん、ありがとう」
一緒に居る時は照れくさくて言えなかった『ありがとう』が
素直に言えた自分に驚いた
実家から離れて初めて気付いた
母は陰になり、日向になり・・・私の事を支えてくれていた
特に食事には気を使ってくれた
寝坊して仕事に遅れそうになった時など
「ご飯は良い」とバタバタ支度をする私の為に
小さなおにぎりやちょっとつまめるおかずなどを作り
わざわざ私の部屋まで持って来てくれた
お陰で私は朝食抜きで仕事に行くことは無かった
病気もしない強い身体は、母のそんな努力の賜物である
それなのに~反抗ばかりしていたことを反省した
そんなある日、待ちに待った結婚式のビデオが届いた
夜良ちゃんとふたりで見る
両親へ嫁ぐ挨拶をする私の姿から始まるビデオ
思い出すとまた涙が出そうになる
「感無量だね
朝、こんな事があったんだ」
実家での様子を初めて知った良ちゃんは興味深く
そのシーンを見つめる
結婚式で浮腫んだ私の指に必死で指輪をはめる良ちゃん
披露宴で間違った場所をケーキカットして
ふたりで顔を見合わせる場面では大笑い
「私・・・これ、吹き出しそうだったよ」
そして相合傘で父と入場し、良ちゃんにその傘をゆだねるシーン
私と良ちゃんは相合傘でひな壇に立つ
ふたりは満面の笑みでみんなにカメラを向けられている
「池田のヤツ・・・こんな近くで撮ってるよ」
「・・・・・」
「どうした」
「お父さん・・・・」
幸せそうな私たちが映っているいるその画面の端に
傘を渡して自分の席へ戻る父の姿が映り込んでいた
いつも姿勢が良い父であったが
前かがみで背中を丸め、ゆっくりゆっくり壁伝いに歩くその姿は
トボトボと言う言葉がピッタリである
席に着いた父は、うなだれ・・・下を向いたまま動かない
その映像を見た私は、胸が熱くなり涙が溢れた
父は私が幼い頃からずっと言っていた
「真弓が結婚する時は、お父さんも付いて行く
真弓と離れて暮らすなんて考えられないよぉ~」
私は冗談のように聞いていたが
それを見た時~本気だったのだと感じた
私は父から大切に大切に育ててもらった
困った事があると~いつも助けてくれた
いつも私の屁理屈を「そうかそうか」と聞いてくれ
頭ごなしに怒られる事は無かった
私の一番の理解者である
「お父さんに会いたい」
すると良ちゃんは言った
「今からビデオ持って行ってあげようよ」
「明日、仕事でしょ」
「今から高速飛ばして行けば~9時頃には向こうに着くよ
トンボ帰りになるかも知れないけど・・・
お父さんも真弓に会いたいんじゃない」
「うん、ありがとう」
突然の夜の訪問に驚いた両親だったが
「良く来たね」と嬉しそうに迎えてくれた
~(153)へ続く~
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