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一昨年、父(享年75歳)の7回忌を迎え
父を思い出す事が最高の供養だと思い
この連載を書くことにしました
父(三男)は熊本の貧しい農家の
4番目の子どもとして生まれました
一番上の姉(初子)を筆頭に
その下には男五人(一男・二男・三男・四男・五男)
の6人姉弟そんな父と私のお話です
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初めての方はこちら から
陣痛の間隔も3分になった
「そろそろ病院に行こうか」
父の一言で、いざ出陣である
日付は1月2日になっていた
夜中の4時くらいであったろうか
外は真っ暗で雪がはらはらと舞っている
良ちゃんの運転で、私は父と母に抱きかかえられる様にして
車に乗り込んだ
医者は「今日のお昼くらいでしょうね」と言う
父と母は「また朝来るね」と帰って行った
両親を送り届け、再び病院へ戻った良ちゃんは
私が居る陣痛室へ入って来る
目をこすりながら眠そうにしている良ちゃん
「そこのソファで寝てたら」
「でも・・・・・」
「私のことは気にしなくて良いよ
だって~良ちゃんが寝てても起きてても
陣痛の痛みは変わらないもん
ここに居てくれるだけで良いよ」
「そうじゃあ・・・」
あっという間に爆睡の良ちゃんを尻目に
陣痛に耐える
私も眠くてウトウトなるが、2~3分置きの陣痛で眠れない
「ああ・・・・・ううう・・・・・」
今まで味わった事も無い痛みだ
ベッドの鉄柵が曲がってしまいそうなくらい握りしめて
痛みと闘う
夜が明け辺りが明るくなった
陣痛の長さも長くなり、痛みも増して来た様な気がする
『あと何時間この痛みに耐え続けなければいけないの』
「おはようございます
痛みはどうですか
あとで診察がありますからね」
そう言って看護師さんは二人分の朝食を運んで来てくれた
看護師さんの声で起きた良ちゃんは私に聞く
「少しは寝れた」
「眠いけど・・・全然寝れない」
「ご飯食べよう」
「先に食べて良いようううう・・・あああ・・・・」
「じゃ~お先にいただきま~す
わ~ご馳走やん
そうか正月だもんね、おせち料理だよ
雑煮も付いてる
美味しいよ真弓も食べない」
良ちゃんは大喜びで病院食を平らげる
「食欲ないから、私の分も食べて良いよ」
「えっほんとに」
良ちゃんは私の朝食も美味しそうに食べた
「幸せ者だね」
「うん」
「あああ・・・・うううう・・・・」
また強い陣痛が襲って来た
良ちゃんは心配そうにそばに寄って来て
「どこが痛いの
どうしたら良い」
と聞いて来るが、言葉を発する事も出来ない私
「ここここ」
と背中や腰をさすってくれるが、逆に痛みが広がる様な気がする
咄嗟にその手を振り払うと
良ちゃんは落ち込み気味でソファに戻った
陣痛が遠のいた私は良ちゃんに言い訳をする
「ごめんごめん
何か、さすられると~痛くなるのよ
良ちゃんがイヤなわけじゃないんだから
そんなに傷付かないでよ」
「傷付いてるわけじゃないけど・・・
男は何の役にも立たないんだなって
ちょっと情けなくなったんだよ」
「そんなことないよ
一緒に居てくれるだけで心強いんだから」
そうこうしてると父と母がやって来た
そして、母はちょっとつまめるようにと
小さなおにぎりとサンドイッチを作って来てくれた
「朝食はちゃんと食べたの」
「食欲ないし・・・食べようと思ってもすぐ陣痛来るから・・・
食べてないよ」
「そんな事だろうと思った
陣痛の合間にパクパクっと食べておきなさい
力が出ないからね
はい口開けて」
母は私の口におにぎりを持って来た
仕方なく私は口を開ける
「あっ美味しい
もう1個ちょうだい」
「でしょ食べれば入るのよ」
さすが出産経験者だと思った
昼前に私は分娩室へ移動した
陣痛室とは違い、看護師さんが頻繁に様子を見に来る
何だか~いよいよだと思うと緊張する
しかしベテランの看護師さんは私の顔を見て
「まだまだ涼しそうな顔をしてるわね」
と言い、おでこに手をやって
「脂汗も出てないね
もう少し掛かりそうだね」
そう言った
「産まれる時は、ジワッ~と脂汗が出て来るのよ
子宮口はもう全開してるよね
ちょっと見てみようかね」
そう言いながら看護師さんは、内診する
そう言えば・・・お義姉さんたちから
「痛いって思ってる時は産まれないよ
気が遠くなって~『このまま死んじゃうんじゃないか』
って思った時にやっと産まれるんだから」
と聞いていた
『まだまだ痛い死にそうだなんて思わない
きっとまだ時間が掛かるんだ』
そう思っていると~看護師さんが
「わ~もう出て来てる( ゚-゚)( ゚ロ゚)(( ロ゚)゚((( ロ)~゚ ゚」
と大声をあげ、内線で
「先生を早く呼んで頂戴」
と言ったかと思うと、私はバタバタと分娩の準備をされる
医者が大慌てで走って来た
妊娠中に練習したラマーズ法の【ひっひっふー】を
あまり発揮する事も無く
おぎゃ~
『えっもう産まれたの』
「おめでとうございます
元気なお嬢さんですよ」
そう言って赤ちゃんを抱かせてくれた
この子が私の赤ちゃん
は~愛おしい
何とも言い表せない感動で、次から次に涙が溢れて来る
そして思った
『次は男の子ね』
~(157)へ続く~
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