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父(享年75歳)の7回忌を迎え
父を思い出す事が最高の供養だと思い
この連載を書くことにしました
父(三男)は熊本の貧しい農家の
4番目の子どもとして生まれました
一番上の姉(初子)を筆頭に
その下には男五人(一男・二男・三男・四男・五男)
の6人姉弟そんな父と私のお話です
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初めての方はこちら から
あの世へ旅立った父に覆いかぶさるようにして
泣き崩れる母
母に「そんなに泣くなよ」と言ってるかの様に
父は優しい寝顔をしていた
しばらくして兄がバタバタと病室へやって来る
父の姿を見ると、うなだれ無言で手を握った
しばらく父とお別れをして、葬儀のことを話していると
主治医がやって来た
「この度はご愁傷さまでした
みなさんに大切なお話があるのですが
カンファレンスルームの方へいらして頂けませんか」
父をあかり(娘)に託して
母・兄・妹・私の4人は主治医について行った
部屋へ入ると数人の医者が難しい顔をして座っていた
話と言うのは、父を「解剖させて欲しい」
と言うお願いであった
なんでも、不自然な現象があったらしく
その原因を調べたいと言う
「これからの医療の為にご協力願えませんか
お願いしますお願いします」
医者たちは何度も何度も頭を下げる
困った様子の母
「いつまでにお返事したら良いですか
ちょっと家族で相談したいのですが」
私が言うと~
「じゃあ、2時間後までに決めて下さい
どうかよろしくお願い致します」
私は病室へ戻ろうとする母たちに言った
「あかりの前では話したくないわ
刺激が強過ぎる
エレベーターの前にソファがあるから
そこで相談しましょ」
私は独身の頃、病院の放射線科の事務をしていた
原因がわからない病気で治療法がない
という患者もたくさん見て来た
そして、医大生の元彼がいつも言っていた
「検体が足りないから、なかなか医療が進まないんだ」
私は、死んだ後でも誰かのお役に立てれば
父の死も無駄ではないような気がした
父の死を無駄なものにしたくなかった
私は母に聞く
「お母さんはどう思う
お母さんの気持ちが一番だから」
「お父さんは今まで何度も手術して来て
これ以上、メスを入れるなんて可哀相」
「お母さんは反対なのね
でも私は、お父さんが誰かの病気を
救えるかもしれないって思うの
だから~しても良いかなって思うのよね
お父さんはもう死んだのよ
痛みなんて感じないのよ
生きてる時とは違うわ
ところで、兄ちゃんはどう思う」
「俺は・・・真弓の意見に賛成」
兄はいつも私に逆らわない
すると香織(妹)が目に涙をいっぱい溜めて言う
「私は絶対にイヤだから
痛みは感じなくても、もうそんな姿を見るのはイヤ
お父さんだって、自分が切り刻まれてるの見て
イヤだと思うわ」
「そうかな
お父さんは自分で『死んだら何もわからないんだから
灰は海にでも捨ててくれ』なんて言ってたのよ
お父さんは自分の事より
他人のことを優先する人だった
だから、人の役に立てるのなら
喜んで切り刻まれると思うよ」
母が小さな声で言った
「真弓の言う通りかもしれないね
お父さんはお人好しだったから
人の為なら、そうすることも喜ぶかもしれないね」
「じゃあ~『解剖OK』と言うことで良いのね」
「う・・・・ん」
母の返事は歯切れが悪い
「お母さんの本当の気持ちはどうなの
私に合わせることなんてないのよ」
頑固な私と正反対の母は
素直だが人の意見にいつも左右される
すると母は答えた
「やっぱり・・・イヤ・・・」
「うん、わかった
お母さんがイヤなら、止めよう
私が主治医に断わって来るわ
兄ちゃんも良いわね」
「ああ・・・俺はお前の言う通り」
私に逆らうと面倒臭いのを
しっかりと心得ている兄である
私は主治医に断わりを言いに行った
後で考えると【解剖】をしなくて良かったと思った
1番は母の為である
お年寄りばかりの保守的な町に住んでいる母は
【解剖】なんかすれば、何と言われたかわからない
2番目は葬儀が遅れることである
【解剖】すると家族のもとに戻るには数日掛かる
その為、通夜や葬儀が遅れる
父が亡くなって悲しいのに・・・
何故だか涙が出ない
葬儀の段取りの事を考えると悲しみに浸れない
『私がしっかりしなきゃ』と思ってしまう
父に「真弓頼んだぞ」と言われた気がした
~(199)へ続く~
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