あの、お泊まり会から一週間がたった。

桜は散って、若葉がはえはじめる。

爽美はあっという間に、クラスになじんでいった。

休み時間になれば、周りに人が集まり、放課後になれば楽しそうに遊びの約束を交わしている。

爽美と悟は会話をすることがなくなった。

話しかけづらくなってしまったのだ。

前までは、「転校生」の爽美だったが、今はもう「5年3組」の爽美なのだ。

男子が女子に話しかけるなんて、特別な理由がないとできない。

爽美もこちらを気にするそぶりを見せたりするが、あえて気付かないふりをする。

今日だって、そんな一日だった。

「それじゃあ、連絡事項はこれで終わりだ。」

佐藤先生がそういうと、日直は号令をかける。

「きりーつ、れい」

「さよーならー」

ランドセルをしょって、教室を出ようとすると、肩を思いっきり後ろに引っ張られた。