無所属の大内です。
採決に先立ち、陳情第5号「市営公衆浴場「切湯」の廃止を求める陳情書」に関して賛成の立場で、議案第76号「福島市子育て世帯応援に係る手当に関する条例制定の件」の原案に関して賛成の立場で、議案第100号「福島市国民健康保険税条例の一部を改正する条例制定の件」に関して反対の立場でそれぞれ討論を致します。


 まず、陳情第5号「市営公衆浴場「切湯」の廃止を求める陳情書」についてであります。
 私が所属する経済民生常任委員会にて詳細なる審議を行ったわけでありますが、委員会では不採択となってしまいましたので、今までの概要を含め、陳情者の正当性を申し上げます。 
 そもそも、市営公衆浴場「切湯」に関しては、福島市・飯坂地区都市再生整備計画として平成18年~22年の5年間の国庫補助を受けた際に、廃止が検討されたが地元の要望等により事業が継続になったという経過を当時の資料等から確認しており、建物が同一である民間の花乃湯との切湯の境界が不明確であるなどの当時の状況から少しずつ改善されてきた経緯があることを理解したとしても、次に申し述べる3点の問題を考えると施設そのもののあり方を考えるべき時期にあると思われます。
 
 まず、1点目は陳情に記載されている内容である「市営の施設」にも関わらず公共下水道に接続していないという問題。
 2点目は「昭和40年に改修されたことからなる施設の老朽化」、3点目は「税の公平性」であります。
 下水道接続に関しては、そもそも陳情者から指摘を受けるまで現状を放置していたことも問題であり、他の市営公衆浴場が接続を済ませていることを鑑みても問題と言わざるを得ません。

 当局の説明では「切湯」の位置関係から、排水の為の揚水ポンプが必要であり、同一の建物にある花乃湯も下水道に接続していないことから共同で接続するという可能性も秘めていますが、仮に「切湯」単独で、下水道に接続するとすれば、概算で下水道管の敷設に約1000万円、揚水ポンプは下水道部の持ち出しで約800万円、合わせて約1800万円の財源を要することになります。

 一般財源を投入すると考えた時に、年間1万9000人、一日平均60人程度での利用状況では、税の公平性を担保できるか甚だ疑問であり、飯坂地区には公衆浴場を他にも8箇所抱えることからも公衆浴場が不足するという理由もなく、源泉も「花乃湯」と同一のものであることから源泉自体は継続することができます。
 そもそも「切湯」の存続が、「源泉の泉質」を求める声も根強かったという経緯を聞き及んでおりますが、低廉な価格帯で利用できる公衆浴場に泉質を求めるという要望は、利用者の嗜好に類するものであり、感情論に偏った決断をされたものだと理解しております。

 「切湯」の施設について、老朽化対策を含めて今後、整備を行うべきかの冷静かつ客観的な判断をすべきであります。
 陳情書の内容は一足飛びに下水道を接続していないから「切湯」を廃止すべき!というものであり強引さは感じますが、過去2回の陳情の経過を踏まえ、将来を鑑みた時に必要な議論を行うべきであるという趣旨は充分に読み取ることができますので、本陳情は賛成すべきであります。


 次に、議案第76号「福島市子育て世帯応援に係る手当に関する条例制定の件」についてでありますが、先の3月議会から限られた予算の中でのやりくりと長時間に渡った文教福祉常任委員会での当局の労苦を先ず持って労わせて頂きます。
 子ども1人世帯の約8000世帯の財源を確保するために新生児手当の廃止はやむ得ないと理解しております。
 
 所得制限についてもできることなら設定すべきと考えましたが、担当課に確認したところ所得制限を含めたシステム開発に約2200万円の事業費を新たに要するとの説明がありました。 
 福島市の児童手当の所得制限世帯は全体の4%で多く見積もって約1000世帯とのことでありますから、1000世帯に給付しないために2200万円もの一般財源を投入を求めることは理解に苦しみます。

 代替案として、財源確保の手法を示さない姿勢は無責任と言わざるを得ず、小中学校にエアコン設置により光熱水費に2億5000万円もの固定費が増額し、財政の硬直化を招く判断を議員の意思により導いてしまった過去を鑑みれば、無責任極まりないと断じざるを得ません。

 更に、本件は子どもに対する給付ではなく、世帯に対する給付であることに納得されていないことも理解に苦しみます。
 子ども1人世帯と子ども3人世帯とで、両親特に長く生活を共にしているお母さんの負担はどちらが大きいでしょうか?
 現役の子ども3人世帯である私でありますが、現在良い体験をしておりますので、御報告申し上げます。
 先週から末っ子が病院で入院をしております。年の近い姉二人が幼稚園のお友達から貰ってくる強烈な風邪に対して抵抗することができない末っ子は人生で3度目の入院生活です。
 親戚が市内にいない核家族の我が家では、日中は妻が病院におり、娘たちは幼稚園で預かり延長の経費が掛かります。私の仕事が終わると病院に直帰し、妻は幼稚園に子どもを迎えに行き、自宅に帰ります。
 そういった生活をしていると医療費はかからないとはいえ、非日常型の生活を5日から7日過ごしますと生活費での負担は多くなります。
 これが、子ども1人であったなら預かり保育代は掛かりませんし、子ども2人であれば預かり保育代は半額で済みます。

 子どもが多ければ多いほど、風邪をこじらせる可能性は多くなりますし、子ども一人あたりにかけられる養育費の額は少なくなりますし、母親の負担は大きくなり、母親が女性として自分に投資できる金額も少なくなります。
 世帯給付という捉え方で、多子世帯に手厚く給付をする正当性は確実にあると考えます。

 そんなに大変なら子どもを多く育てなければ良いのに!と思った残念な方もこの議場にもいらっしゃったと思いますが、少子化対策というのはそういう環境を乗り越えて頂かなければならないのであって、そういう立場を経験したことのない方々が机上の空論となっていることに気がついていないとしたら福島市の多子世帯は不幸であると思いますし、その想像力の欠如では、本質的な意味での少子化対策に関する政策提言というのはできないと思います。

 そもそも多子世帯給付が認められないなら、幼稚園や保育園での保育・教育料の3人目の無償化についても不平等である差別であるという論調で異議と申し立てるべきであり、本手当に対してのみに言及するのは論理的ではないと断じておきます。

 そういった中で、修正動議で提出された内容は、子ども1人に対して1万円給付といった金額の決定における根拠として、子育て世代や多子世帯からのヒアリングがなされていないことが委員長質疑からも明らかになったわけであり、非常に閉鎖的な論議をされた議員にとっては納得のいきやすい手法であると創造されますが、多子世帯の負担感と子ども1人世帯の負担感が同等であるという趣旨でよいのでしょうか? 
 この修正動議の提出に際して、最低限多子世帯からのヒアリングはされるべきではなかったでしょうか?
 そもそも、修正動議の内容からは市長が過去に提出した議案よりも事業費で600万円不足しておりますが、その財源はどのようにして確保されるのでしょうか?その方法をお示しください。そして何故、補正予算に関する修正案が提出されていないのでしょうか?

 
 仮に、本修正動議が可決された場合、市議会改選後の議会で補正予算を審査するこ
とになることは避けるべきではないでしょうか?

 更には、市長選の公約云々で、給付金額が不足しているという指摘をされていた方がい
 らっしゃいましたが、本修正動議は市長提出の額よりも給付額が少ないものを提案しています。
 この事実は、市長公約の支給金額不足分を議会が遮って認めたことになると思いますが、それで良いのでしょうか?
 修正動議に賛同される方は、提出した議案により約3000万円の財源確保が必要となるにも関わらず、予算の問題はよろしく!と当局に丸投げでは様々な意味で全くもって無責任である。と申し述べておきます。
 
 

 次に、議案第181号「福島市国民健康保険税条例の一部を改正する条例制定の件」についてでありますが、私が所属する経済民生常任委員会にて詳細なる審議を行いましたが、担当課からの聴取内容を含め、改めて反対の立場で意見を述べます。
 共産党からの提案内容は現状を鑑みて、理解・共感できる部分は多くありました。
 決算における次年度繰越金は平成22年度が1億7500万円、23年度が8億8600万円、24年度が13億6100万円、25年度が13億1100万円、平成26年度見込みが16億1200万円という推移をみれば、積み上がっていく繰越金に対して、単年度会計であるから納税者に還付すべきという考え方は理解できましたが、その内訳は、国からの国民健康保険の調整交付金に特別調整交付金が平成27年分の当初予算では2億9215万5000円が追加計上されており、震災後から毎年の積み増し分が要因であり、国民健康保険税の増税と相まってのことであり、特別調整交付金は平成27年度で終了することも認識した上で国保財政を考えなければなりません。

 平成12年に厚労省から都道府県に対して「予算編成について」示された通知によれば、福島市の財政規模であれば、国民健康保険の財政調整基金積立金は11億円規模であるべきという指針の様なものが示されているとのことでありますが、現状の基金残高は平成27年3月31日現在で3億8万1486円であり、約8億円が不足している状況であります。現状で繰越金としている決算見込み金額16億1200万円の内、歳入不足を考慮した調整金としての6億円、前年度の精算分として国に還付する3億円を除いた約7億円に関しては、まず基金への繰り入れがなされるべきでありますが、そういった背景を踏まえ、今議会において議案第73号「福島市国民健康保険事業費特別会計補正予算」においては被保険者数が当初よりも一般被保険者及び退職被保険者合わせて1,075人少なくなる見込みであることから、歳入において国保の税収及び国庫及び県の補助金が減額され、合計7億円の減収の試算をし、前年度の繰越金7億円の内、5億8000万円の繰り入れがなされておりました。

 しかし、相対する歳出において被保険者の数が減少した割には、保険給付費即ち全体の医療費の減額を見越した算出には消極的であり、インフルエンザ等の流行によるリスクを考慮すれば事業費が確実に余るような計算となる傾向になるのは理解できるところでありますが、補正予算を審議する上で、見かけ上は歳入と歳出の整合性は取れておりますが、今議会で繰越金の繰り入れを早急にしなければならないという状況にはなく、うまくはめ込んだ印象を受けておりまして、あまり健全な内容ではないと感じております。
 このような取り組みが繰越金が右肩上がりという結果を招いているという要因の一つであるという認識からも、繰越金及び基金の計上の方針に改善の余地はあるという考えを申し添えます。

 そもそも議案第100号では、保険料の軽減が趣旨でありましたが、本議会提出の議案第77号「福島市国民健康保険税条例等の一部を改正する条例制定の件」においては、国の政策における低所得者対策強化により、本市では5割軽減者420世帯、2割軽減者240世帯の合計660世帯で約2500万円の保険料軽減がなされますし、その補填として国から約2億円の財政支援が見込まれており、提案者が示す最大1万円の引き下げは実現できなくとも、担当課の概算では来年度には約5,000円の引き下げの可能性もあるとのことであります。

 実質今年度の保険税改定は無理なので、基金積立の状況を見ながら、来年度の国民健康保険税の動向を注視すべきであると考えますことから本議案は反対とさせて頂き、討論を終了いたします。