現職の政治家は祭りを巡回している時間があるなら地権者交渉を1件でも進めれば良いのに…

汚染土仮置き延長 地権者「約束は守れ」

産経新聞より転載。

 東京電力福島第1原発事故で出た除染廃棄物を一時保管する仮置き場の延長が相次いでいるが、期限付きで土地を明け渡した地権者からは「約束が違う」と不満がくすぶっている。仮置き場を撤去しなければ復興が進まないばかりか、家の近くに廃棄物の袋が並んでいるという外観が、心理的に住民の帰還をためらわせている。(野田佑介)

 ◆復興進まず不満

 「国は3年と言っていたはずだ。その間に(中間貯蔵施設に)持っていってくれると思ってたんだ。約束は守ってもらいたい」

 一部地域に避難指示が出ている福島県川内村にほど近い、いわき市川前地区。畜産業を営む猪狩宗利さん(83)はこう言って、ため息をついた。

 猪狩さんは、放射性物質が付着した堆肥を、国の求めに応じ自身の畑に仮置きしている。廃棄物の詰まった100を超えるフレコンバッグ(袋)は黒いビニールシートに覆われ、フェンスで囲われている。

 畑では自宅そばの牛舎で飼育している牛の餌となる牧草を育てていた。原発事故後、放射性物質の影響で牛にはこの畑の牧草を与えることができなくなり、海外品を購入せざるを得なくなった。年間で100万円以上の出費という。

 汚染された堆肥の運び出しが遅れれば、牧草を育てることができず出費がかさみ続ける。運び出された後も再び除染して牧草の種をまき、放射性物質の濃度を測定する検査が待つ。それをクリアしてようやく牧草を餌として与えることができるようになる。

 「国からの説明はあったが『もう少し待ってほしい』と言うだけで、いつ頃持っていくとは言わない。時期をはっきりさせてほしい」

 猪狩さんは行く当てのない廃棄物を前に、静かに怒りをぶつけた。