紫陽花を好きと思えるようになった感覚と、天ぷらでタラの芽や蕗の薹を美味しく感じるようになった感覚は、どこか似ている気がする。

なんというか、オトナへの階段を1つ登ったような。

昔はそんなに美しいと思えなかった。
なんとも言えず地味で、大きい割に華やかさに欠ける、そんな気がしていた。

何より薄暗くてジメジメした梅雨という季節そのものに対するマイナスなイメージ。
そんな季節に咲く花を、どこか好きにはなれなかった。

それが、いつしかオトナになり、グレーがかった景色の中で静かに、見守るように咲く紫陽花を、ある日ふと、あぁ綺麗だな、と感じるようになった。

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時折激しく降りつける雨粒を静かに受け止めて、そのものの色より、濃く、逞しく、瑞々しく咲く紫陽花を、これから私は、もっともっと好きになるだろう。

大きくて力強いのに、穏やかに、どこか控えめに見守ってくれる紫陽花の存在が、今はとても愛おしい。