LUXE感想 ナルシス=廃人編 | 高橋大輔選手と共に momokikuのブログ

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フィギュアスケートの高橋大輔さんを無条件に応援しております。

 

LUXEはAct1と2合わせて11のシーンで構成されています。

 

その中で髙橋大輔さんの登場するシーンは全部で6つ。となると半分以上ですから多い気もしますが、実際にリンク上にいらっしゃるのは40分ほど?それでも十分長いし、それを一日2公演は結構きつかったでしょう。もちろんそれはどの演者にも言えるしみんなそれぞれ大変だったことでしょうけどね。やっぱり大ちゃんのこととなると心配が先に立つのが性分でして、何を見てても試合と同様、どうか失敗しませんようになんて手に汗握ってしまうのが常なんです。

 

特に今回は歌でしたかね。ちょっと若干祈る想いでしたよ(笑)皆さんおっしゃるように楽公演よりもその前、17日の昼公演のほうが声がよく出ていた気がします。楽は少しばかり感情が高ぶってらっしゃって歌ってて泣き出してしまうんじゃないかと思いつつ見守ってました。

 

昼公演では最後のフェニックスの舞で転倒してしまったんですけど、娘も「あれは幕に引っかかったのかな?」なんて言ってたのできっと思ったよりもスピードが出すぎたんでしょうね。

 

でもその転倒ですら演技にしか見えないくらいにスムーズに立ち上がり、さらにもういちどアドリブ?で膝をついて流れを創ったので遠目には王子の苦悩を表す振り付けにしか見えませんでした。あの高速立ち上がりはさすがお見事だったと二人して感心したくらいだったんです。

 

ほんとその2か所くらいかなあ、ハラハラしたのは。

 

その他のシーンはいつもの応援モードは忘れて彼が演じるキャラクターに引き込まれ、手を合わせて必死になって声を出したくなる衝動を抑えなくてはいけないくらいでした。それは周りの方々も同じで、ほんと辛かったでしょうねえ。みんなよく我慢できましたよ。

 

 

だから全部が全部素晴らしく心に焼き付いてるんですけど、まず書いてしまいたいのは何と言ってもナルシスです。

 

えっと大ちゃんが自ら今回はちょっとBLチックなシーンもあるっておっしゃったのいつでしたっけ?とにかく大ちゃんの口からBLって言葉が出たのはなんか意外な気もしたんですが、その時はただ「フーン」と思っただけだったんです。

 

なぜかというとそれが大ちゃんが演じるかどうかはおっしゃってなかったし、何かストーリーの中でそれっぽい設定があるのかなあくらいでした。

今思うと相当食いつきが悪かったですねw

 

(ここだけの話なので怒らないでくださいよ。きっとハッサンネッサンの仲良しコンビの事だと思ってました~。キャッキャウフフするんだろうなあとか)

 

つまりBLったっておふざけの範疇だろうくらいにね。

 

だからLUXE公式で動画が公開されたときはここまで直球が来るか?と驚いたのなんの。それは皆さん同じだったと見えてあっという間に再生数が伸びることのびること。

 

そもそもネタバレをあまり見ないようにしてたのですが、こればっかりは避けられませんでしたわ。今さら言うのも何ですが、あれもしも本番まで完全シークレットだったら初日の皆さんがどういう反応をされたか、ぜひ読んでみたかったなあとは思いますよ。

それ読んでたら楽までの二日間で相当妄想が膨らんだことでしょう~。

 

もしかしたら我慢できず予定を前倒しして日曜日から現地入りしてたかもー。あーなんでこんなとっておきを前もって公開しちゃったのかなあなんて残念にすら思ってました。まあそこはチケット売り上げとか絡んでるんでしょうけどほんとこんな状況じゃなかったらねって。

 

でもそういう事前情報を得て、さらに初日二日とご覧になった方々のレポも読み、映像でも確認しておいたと言うのに、実際に現地で見た「Miroir」は私の想像とは全く異なるものでした。

 

フィギュアスケートのプログラムにあんなに心抉られるとは・・・

 

まるでバレエとか舞踏の小作品みたいだと思いましたがそれよりもさらにダイレクトに突き刺さったんです。

 

映像だと二人交互に画面に映し出されますから、二人が心のやり取りをしてるようにも見えますが、実際のリンク上では二人の距離がわかるだけに絶望的な孤独を感じるんですよ。大ちゃん演じるナルシスが自分の世界だけに閉じ込められているのが凄くわかるのです。

 

それだけ見事に刑事君のミラーが自身の気配を消していたからなんですけどね。動きはすれど意思は無いというのが見て取れるんです。

表現するのはとても難しい役をよくあそこまで演じ切ってくれました。

 

シンクロしてるようで微妙に違和感がある。それが見てるものにも緊張を強いてこれから何が起こるのか?彼らの対峙を観客も固唾を呑んでみているのが気配となって伝わってきました。あの静けさはちょっと言い現しようがありません。

 

殺気というのは大げさですがそのくらい極度に高まった緊迫感があったんです。

ほんのさっきまでは宮廷の華やかな舞をただ感心しながら見てたと言うのに、いつの間にか森の奥の湖の淵に立たされて、真っ黒な水面をのぞき込んでいるような錯覚に陥りました。

 

まあ大ちゃんはもともとそういうのお得意ですけど、今回は刑事君も一緒になってずるずると引き込もうとするんだもの。おかげでどーぷりと浸かってしまってまだ完全には戻っておりません。

 

こういうのって同じく宮本賢二先生のバチェラレッド以来ですわ。あの時大ちゃんファンの間で流行ったのが「廃人」という言葉です。

ちょっと日常生活に支障をきたすくらいに耽溺してしまったおさかなさんの末期的症状を指します(笑)

 

何をしてても狂おしいヴァイオリンの音色が蘇り、あのくらいリンクに引き戻されてしまうんです。そのたびにとても痛ましいものを見てしまったかのように胸が苦しくなるんです。

 

原因はナルシスの懊悩を大ちゃんについ重ねてしまうからだとわかってます。著書やインタを見聞きした限りですが、大ちゃんはもともと内向的で内省的。己に常に高い要求を突きつけ、適わないと自らを責めがち。細部までのこだわりが強くてダメだし多いし中々めんどくさい。

 

いわゆる自己愛とは真逆の性格ですが、常に己の事を考えているという点においてはナルシスそのものとも言えます。

 

事あるごとに記憶が呼び覚まされて否応なく揺さぶられ、過去の見たくもない自分を見せつけられる

それでも自身と向き合わなければ、自分を越えられない。越えなくては成長できない。

 

それがアスリートの宿命

 

そんな孤独な戦いをただ見つめるしかない私たちもその物語の中にいる

 

(考えてみたらファンってナルシスに恋したエコーのようなものですね。おしゃべりが災いして言葉尻を復唱することしか出来なくなった哀れな木霊たち。)

 

 

たった8分程度の演目にギリシャ悲劇のペーソスを凝縮し、愛憎とか嫉妬といった表面的な言葉には置き換えられない深層心理を表現してみせた。しかもそこに演じ手である髙橋大輔さん自身を投影し、彼を知るものにとっては2重の意味で物語に引き込まれる仕掛けとした。

 

音楽、衣装、照明効果、すべてが計算しつくされたまさに芸術作品

 

いやーどなたがメインとなって企画されたのかわかりませんが、天才だわ。ぜひメイキングを拝見したいわあ。知らぬが花ですし、無粋かもしれませんけどね。

 

刑事君演じるミラーがナルシスの腕をつかむところだってタイミングとか手の持っていきかたとかすごくこだわって練習されたんでしょうね。

 

目線、首の角度、腕のしならせ方、肩の位置。それらを事細かく決めて合わせていくのはさぞ大変だったでしょう。しかも相手はあの大ちゃんだし(;^_^A

いやほんとよく6公演やり遂げましたよ。試合とは全然ちがう緊張を強いられたと思います。しかしそのおかげで新たな刑事君の魅力が開花したのを目撃できました。キャスティングもお見事でした。

 

公演後に改めてナルシスの物語を読んであの演目が意味することを補足できたんです。

 

川の神ケピソスと青い水のニンフ、レイリオペの間にナルシスが生まれたとき、テーバイの預言者ティレシアスが「この子は己を知らないままでいれば長生きできる」と告げました。

 

つまり己を知ってしまうことは死を意味するわけです。

 

ナルシスはその美貌と華奢な体つきで皆の寵愛を受けたのですが、あくまでも受給者。あくまでも愛の容れもの。自らは人を愛すことを知らず、賞賛され、愛されることを当然として無自覚に生きてきただけ。

だから何も見えてない。

 

その何も知らず何も見えない という状態を薄く開いた目で表現した大ちゃんナルシス。あの表情には唸らされましたね。やっぱただのスケーターじゃないわあ、とっくに只者じゃないけど。ヘレン・ケラーを演じた北島マヤみたいだってちょっと思いました。

 

泉のほとりに膝をついて水をすくい、自らに浴びせうっとりするところも、遠くからでもその表情が眼に見えるようにわかりました。

そのあと立ち上がってターンするんですけどそれがつま先で水をかき回してるようでね、よく可愛い女の子とかが水辺でやるあれですよ。

いやそんな女の子実際にいるのは観たことないけどw

 

彼の周りに丸く波紋が広がるんですけど、それは閉じられた円。つまりナルシスは彼一人の世界で完結してることを意味し、外界とは決して交わらないのですね。

 

ナルシスの心象風景は薄暗い闇に閉ざされていて、誰の声も届かない。そこで彼は延々と一人遊びをしてるのです。ナルシスを慕うエコーを邪険に扱った罰として復讐の女神ネメシスが彼に己の姿を見せるまでは。

 

ナルシスは戸惑います。初めて他者を認識し、その美しさに嫉妬しつつも見とれてしまいます。自分より美しくて自分より強く、自分よりも愛されるに違いない若者。

 

美しい虚像に囚われて、耽溺し、飲食も、眠る事すら忘れて見つめ続けて憔悴し、やがて泉のほとりで息絶えそのまま水仙の花となった。

 

 

あれ?誰かに似てるような・・・あれ?これって瀕死のおさかなってタイトルだったっけ?

 

大丈夫!!ご飯はちゃーんと食べてます。睡眠は浅くなったけどww

 

 

 

ナルシスがためらいつつもそっとミラーに口づけた事。それは己を知ったという事。すなわち死。

 

それまでナルシスを幻惑してやまなかったミラーが口づけられたときはだらりと手を下ろしています。

ナルシスの死をもって復讐の役目を終え、ただの像に戻ってしまったんです。切ないわあ。

 

 

己を知ってまた一人になる。その孤独が泣きたくなるほど胸に突き刺さっていまだ痛むのはいったいどうしてくれるんですか!?

 

これがもっと若い時に、もっと感受性が豊かだったころに見てたら相当ヤバい案件でしたが、私もいい加減大人ですからね。いやーお二人とも綺麗だったわあと余裕はかましております。

 

 

でもこの記事を書こうとして2度が2度とも途中で強制シャットダウンに見舞われたのはきっと何かの呪いです。

 

当分水辺には近づかないと心に決めております。

 

幸いうちの庭には来年まで水仙は咲かないしーー。その頃にはなんとかリハビリできてると思います。

 

皆様もご自愛あれ。

 

 

 

 

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