前回の記事で地方学生のインターンシップにかかる費用についてまとめましたが、そもそも企業はなぜ交通費や宿泊費を支給してまでインターンシップをするのでしょうか。学生の就職人気ランキングンに入るような大手企業でも、参加学生の選考に相当の手間をかけてまでインターンシップを実施しています。

 

企業にとって、インターンシップは早期離職の原因となるミスマッチを防ぎ、採用コストを削減するための手法とされています。近年、新卒採用者の早期離職率の高さが問題になっています。厚労省の「新規学卒者の離職状況」によると、大卒者の早期離職率(3年以内の離職率)は、31.5%(平成31年3月卒生)。ほぼ3人に1人が3年以内に離職しているということです。これは、事業所規模により差があり、事業所規模が小さくなるほど離職率は高くなります。事業所規模1,000人以上の場合は25.3%(それでも4人に1人)ですが、100人未満の場合は40%を超えます1)
ちなみに新卒1人当たりの平均採用コスト(採用単価)は2019年で93.6万円(リクルート:就職白書2020)。 入社後は、教育研修費や給与の他に、社会保険費用などの会社負担額も別途発生し、入社後3ヶ月で採用にかけた費用よりも多くの費用が発生するといわれています2)。新入社員にとっては、「給与」しか見えていないかもしれませんが、実は、見えないところで多くの費用が発生していて、早期離職者が出ることは、企業にとって大きな損失となります。そのため、お金と手間をかけてでもインターンシップを実施する企業が増えているというのです。インターンシップを実施するにも費用は掛かりますが、そこで自社が求める優秀で長期的に活躍してくれるであろう学生を手に入れることができれば、企業にとっては安いものなのかもしれません。
 
つまり、インターンシップに参加する学生は、「企業(の仕事)」を見にいく(体験しにいく)のですが、実は、それ以上に「企業」は、学生を見ているということになります。インターンシップを通して、「採用選考時の接だけでは把握することが難しい学生の資質や仕事への適性を見極めやすくなる2)」とするならば、インターンシップに参加したことで、「企業」側から自社に合わない、適性がないと判断され、採用選考に不利になることもあり得るのかもしれません。後から考えると、そう評価されてよかったと思うこともあるのかもしれませんが・・・。5日間という短いインターンシップで、どこまで評価するのか、どこまで評価できるのか、その「企業」の考え方と、採用担当者、インターンシップ担当者の見極める力にかかっています。
 
郁は、3つの企業のサマーインターンシップに参加するそうです。さて、吉と出るか凶と出るか・・・。
 
 
出典:1) 厚生労働省HP;若年者雇用対策 > 新規学卒者の離職状況
2)採用・人事のDigireka!HR HP;インターンシップの導入に必要な費用についてまとめました!,2023.06.20