モンゴルだるま@ウランバートルです。

にほんブログ村 海外生活ブログ モンゴル情報へ
にほんブログ村

日本では福島第一原発の事故後の影響は危険度レベル7という最悪のレベルが発表され、「全然、大丈夫じゃないじゃないか!」と遠いモンゴルで愕然としていますが、私がおたおたしても、何もできないので、とにかく、平常心を保ちつつ、もしも、モンゴルに避難したい、という被災者・放射線物質による汚染が心配な方々が出てきたときに、何かサポートできるような人でありたい、と思っています。

モンゴルの環境保全活動家のボムヤラクチさん(10万回の勝利という意味・パパはボクサーだったそうです・・・)がモンゴル人に呼びかけています。どういう形になるのかわからないけれど、せめてノービザ滞在ができる30日間以内の滞在でも、7泊8日フィックスチケット、2週間フィックスチケットなどの期間限定でも、心がいやせる、気分転換ができるような環境作りのお手伝いができればいいなぁって。

モンゴル在住の在留邦人だって、日本に留学や出稼ぎ研修生・実習生だったモンゴル人だって、家族が日本にいるモンゴル人だって、遠く離れたこの国で日本の危機に胸を痛めています。私も3.11からずっと悲惨な映像やネットの情報を見続け、福島原発事故でのこっしょりとした「非常事態宣言」以来、一時は、心理的にかなり異常というかストレスで通常の生活ができなくなってしまいました。
被災地にいらっしゃる方々、あるいは被災地に大切な人がいらっしゃる方々、大切な人を失ってしまった、あるいはいまだ消息不明で探し続けていらっしゃる方々、日本でたくさんの情報にさらされている人たちのストレスはいかばかりか・・・そんな想像は私の経験ではとてもカバーできないんだけど、ちょっと考えるだけでクラクラして言葉が見つかりません。

そんなフラフラ状態でワジワジしてても、季節は廻り、家畜は確実に育ち、殖え、そしてサイクルの通り、暮らしもリズムを刻んでいるのです。

我が家のヤギたちも4月に入ってからの陽気のおかげで、カシミアが採り頃になっているとのこと。
あんまりほったらかしにしているとせっかくの「繊維の金」といわれるカシミアさんが草原の風に舞い散ってしまいます。カシミアは日本のサクラと同様、美しくはかないのです。

というわけで、なにはともあれ今週末には作業にいかねばならぬ。

でも、ならぬ、とか言っときながら、カシミア採りは、遊牧作業の中で私が一番好きな作業なのです。
だから、ウランバートル在住のお友達とも共有したいなぁってことで企画したのが今回の日帰りカシミア採りツアーです。

日付間違っちゃったり、曜日間違えちゃったりしてきましたが、ともかくまずは4月16日土曜日の開催は決定です。みなさんありがとうございます。

人数が多い様だったら、日曜日も決行します。というか、たぶん、日曜日も行くことになるだろう。

今のところ、土曜日出発便は、4-5名様が参加表明。あと4-5人くらいは収容可能。。。

80,000tgを割り勘・・・ということにしておりますが、希望者が多かったら、1人10,000tgってことで2回にわけていくことも検討します。むしろ土日2回行きたいっす。

子羊も日に日に生まれて増えているそうです。うぅ、楽しみ。

今回のツアー料金は、車移動の実経費でやってるのですが、人数が多くって、もうちょっと払ってもいいよ、という方がいらっしゃったら、ガナー君がお引越し費用を稼がなきゃいけない状況なのでチップあげてくださいませ・・・。私もモンゴルに帰ってきてからの現金収入が少なくて、全然手元にないのです。(納税シーズンで、車両保険+自動車税+車検費、固定資産税、外資系企業の事業税前納分などなど、ン百万トゥグルグの単位で飛んでった・・・)

今回は我が家の数少ない、2009-2010年の過酷なゾドを生き残った英雄山羊のカシミア採りがミッションですが、まだまだ人手不足の遊牧民さんはモンゴルのあちこちにいらっしゃいます。

今年は意外とあったかくなるのが早くってカシミア採りも今がピーク・・・というか遅いくらいな状況ですが、これからも「猫の手遊牧体験隊」というシリーズで、私・モンゴルだるまと一緒に遊牧民修行を体験するツアー企画をしていこうと思った次第。

ちなみに「猫の手・・・」というのは、「みわ塾」という大人の環境教育塾を主宰していた恩師・三輪主彦先生がお仲間とやっている「猫の手おじさん」という日本各地の里山などで農作業等をしている人のところにおしかけて「お手伝い」をする大人の遊び・趣味悠々な体験型エコツアーのパクリです。

この「猫の手おじさんおばさん」たちの環境教育ツアーは、モンゴルでも開催されています。
モンゴル国内唯一のゴビ地方を流れる表流河川・オンギ川の保護のために立ち上がった3アイマグ8ソムの市民有志による住民運動のイベントで「オンギ川ウォーク」というのがあったのですが、その応援に駆け付けていただいたのですね。
オンギ川というのは、ハンガイ山脈を水源とし、480㎞あまりの河川で南ゴビにあったオラーン湖という巨大な湖に注ぎ込むモンゴルで始まりモンゴルで終わる数少ない川でした。
でも1990年代後半、ハンガイ山脈の水源地あたりで金鉱山開発が始まったり、干ばつが続いたり、過放牧がひどくなったりで、ゴビ地方の住民の貴重な水源だったオンギ川の水量が極端に減り、挙句の果てには干上がることが増え、直径40㎞・水深4mあまりもあったオラーン湖は干上がってしまったのでした。
ゴビ地域の人たちにとって、表流河川の水が干上がるということは、伏流水として地下水脈の干上がりも意味し、それは人間・家畜・草原にとって死活問題に直結します。
そこで立ち上がった住民たちがオラーン湖があったところから、河川流域を徒歩で逆行しながら周辺住民に環境保全の啓蒙セミナーを行い、乱開発をしている金鉱山会社や個人のニンジャと呼ばれる金掘り人たちと討議・抗議をするというモンゴル国初の市民による大きな環境保全運動となったのです。480㎞あまりを徒歩で歩く。歩きながら環境破壊・資源ポテンシャルの低下の実態を調査する。周辺住民と語り合う。で、そのゴール近くのところでみわ塾有志の人たちが一緒に歩き、語り合い、活動資金のカンパをしたのでした。
このオンギ川住民運動はその後、モンゴル全国の河川・湖沼などの水源保護を目指す庶民の住民運動の活動をうながし、大きなムーブメントとなっております。

「猫の手おじさん」三輪先生はもともとは都立高校の地学の先生なのですが、地学だけじゃなくって、地理学にも詳しく、さらに地元学にも詳しく、肩の力が抜けていて、何をやっても褒めてくれないけれど、何をやっても否定もしない、という不思議な先生です。ほんと、先生ってこういう人をいうんだろうなぁっていう人間らしい人。

私は「猫の手おばさん」になるには、まだまだ勉強不足ではありますが、これまでのモンゴル経験を、自分が実践し始めた兼業遊牧の体験を通して、「モンゴルの生態系」や「遊牧文明」とか「モンゴル庶民の経済活動」といったテーマを参加者と一緒に学んでいきたいなぁと思っています。

私はもっともっとエコツーリズムの実践を自分の活動として進めていくべきだ、と初心に返って思いました。

そして在留邦人はもちろん、日本の方も、モンゴル人の方も、エコツーリズムの精神を学び、自分の生活に取り込んでいきたい、エコツーリズムの視点でモンゴルを体験したいっていう方がいらっしゃる、というのを感じています。

起業10年目といいつつも実態としては、ここ3、4年ばかり孤軍奮闘のまったり独自路線でくすぶっていました。お仕事自体は、私にとってはいいペースで恵まれて、経済的に疲弊してすさむということもなかったけれど、もう誰かと一緒に活動して裏切られるのは嫌だ!っていう人間不信があって、会社を組織として再結成することに躊躇がありました。

でも、やっぱり活動したほうがいいし、活動は一人でやってもうまくいかないし、つまらない。

自分の信念を押し付けるのではなく、遊牧民と都会の人、モンゴル人と日本人・あるいはそのほかの国の人、といった交流の場を提供し、私の知識と経験と語学力を活用していただきながら、モンゴルだからこその「キヅキ」や「学び」を参加者それぞれに掴み取ってもらいたい。

うー、長くなってしまった。

でも、まぁ、四季折々の遊牧作業をおしかけ猫の手体験隊として実践しながら、モンゴルから学べることをガツガツ味わっていただきたいってことです。

遊牧作業だけじゃなく、農作業もあるかもしれないし、乗馬だったり、乗ラクダだったり、バードウォッチングだったり、生態調査だったりするかもしれない。

とにかくモンゴルで芽生えた好奇心は大事に、ぐいぐいと体と心と頭を動かしていきましょう!

そんな気持ちがあれば「猫の手体験隊」メンバーになれると思います。

オフィスのレイアウトをあーでもない、こーでもない、とやり、紆余曲折を経て結局、、、

ウランバートルでもモンゴル学をやっちゃおう、と思います。
大学とか語学学校では学びきれないモンゴル事情とかモンゴル語とか日本語とか…
人が集まったらホーミー(ふーみー?)とか馬頭琴とかホーチルなんかの教室もやりたいな。

語り合いの会とかもやりたい。

エコツーリズムの拠点はモンゴルホライズンだ!っていうブランドが確立できたら、今年の活動としては上出来です。

格安ってことではなく上質・本気・本物がウリです。
遊牧民がささやかな生活を営むために必要な現金収入を提供できるツーリズムでありたいし、累積赤字でマンションたっちゃうよ!ぐらいの私自身のかわいそうな懐具合も回復したい。
働く生きがいってのを、ガナー君はじめ、心は純粋なのにどうしてもビンボー路線でくすぶっている好青年たちにも実感してほしい。
モンゴルの生態系・環境の実態をもっともっと知りたいし、学びたいし、よき形で守っていきたい。

過激な政治活動とか宗教家みたいに独善的に「自然とはこうあるべき」なんて主義主張は持てない。
だって自然は常に変わるものだし、何がホントにいいことなのか、まだわからないから。

私は大きな不動産とか鉱山とか形が見える財産にはあんまり興味がなくて、不労所得もなかなか得られそうにはありません。その代り、モンゴル全国で「一緒にやろうぜ」って行ってくれるお仲間がいたり、馬に乗れるようになったり、ラクダに乗れるようになったり、トナカイに乗れるようになったり、イヌワシを片腕でがしっと支えられるようになったり、カモとガンと白鳥の糞で彼ら/彼女らの生態をつかむことができるようになったり、羊やヤギの顔が見分けられるようになったりといった、無形文化財な知恵と知識と発想力を資産として得ている気がします。

モンゴルを学んで20年、エコツーリズムで生きてきて10年、そろそろ無形の資産を運用してもいい頃だ、、、と思っていますが、いかがでしょうか?


にほんブログ村 海外生活ブログ モンゴル情報へ
にほんブログ村