モンゴルだるま@ウランバートルです。
モンゴルだるまらしいエコツーリズムを実践しよう、と始めた「猫の手遊牧体験隊」の活動報告など。

「お客様」がちょろっと「体験」という名で「遊牧民の作業をかじった」程度で「体験ツアー」なんていうちょろいことでは遊牧文明の伝統に対して失礼である。
かつ21世紀にいたるまで遊牧という自然と人間の調和・共存が成立しているという奇跡のような独立国モンゴル国を支える現代の遊牧民さんたちの苦労や誇り、生活の知恵から私たちが学ぶことは大きいはず、という気持ちもありました。

きれいごとだけでは生き残れない厳しい環境の中で、遊牧民が何を考え、どんな戦略や工夫によって暮らしているのか、なんてことも私自身、20年間研究し続けていたにも関わらず、2009年秋に家畜を自分のものとして飼うようになって初めて実感できました。

皆に家畜を飼いましょう、なんてとてもじゃないけどリスクが高いから生半可な興味で投資を募集、なんてできませんが、この感動や艱難辛苦をシェアするために「猫の手でも借りたい」となってるミニマム兼業遊牧民である私のとっからはじめて「遊牧民のお手伝い」をベテラン遊牧民さんのご指導のもと、やってみましょう、というとこから始めてみました。

昨日は2歳から戦中派の方まで老若男女バラエティに富んだ11名様にお手伝いしてもらいました。

モンゴルの遊牧民にとってのビッグな現金収入源となるヤギのカシミア採りのシーズンが始まりました。

4月に入ってかなり暖かくなり、カシミアがすっかり浮き上がり、放牧に出すたびに、わしわし抜けている・・・ということで、委託している遊牧民さんたちが半分くらいはカシミアをすでに採ってくれちゃってたので、実際に作業対象になったのは、14頭。

2009年ー2010年のモンゴル国気象観測史上最悪にして最大の家畜被害を出した厳しい冬を乗り切った当時の子ヤギちゃんもカシミア「採られ」デビューです。

去年、種オス山羊が調達できず、今年のカシミア提供メンバーは去年とほぼ一緒。
いってみれば、壮絶な死線を乗り越えてきた少数精鋭であります。

「猫の手遊牧体験隊」のチャレンジ対象にふさわしいタフな相手であります。

今日は、日本語の達人モンゴル人とモンゴルぐらしの日本人の混成チームで5名様。
フジテレビの「あいのり」の大ファンで、モンゴル編も見てくれていたという熱烈なカップルもいてうれしかったっす。
あとの二人のモンゴル人は観光日本語ガイド実践講座の教え子たち。
もちろん、ソートンも一緒。

昨日は、日本食バザーの会場がモンゴル最大・老舗のゴビカシミアの工場直販店だったので、バザーの前に、カシミア製品の直販店を見学し、カシミア製品のお値段とか、どんなカシミアが上質なのか、なんてことをご紹介させていただいてから、現場にいって作業してもらいました。

今日は、モンゴル人が過半数で、1人は親戚家族に遊牧民もいる、という子でしたが、わりと田舎はあんまりいったことない、ということだったので、思いっきり、遊牧民の暮らしと我が家の家畜さん達の観察というか見学から始めてもらいました。

てか、冬営地にいく途中で、ちょうどうちの羊とヤギの群の放牧現場があったからなんだけど。

まずは昨日生まれた子羊ちゃんや、羊やヤギの放牧について。うちの羊やヤギの数の増減状況や生態などについてをご説明。おじさんにさくっとしてもらいました。
羊の出産シーズンの放牧地の選び方やなんで出産シーズンに遊牧民がずっと家畜について回るのか、とかいつごろ種付けしたのか、とか種付けする時期の見極め方など遊牧民ならではのテクニックや知恵についてなど、私も何度聞いても興味深い。

で、遊牧民のゲルにお邪魔して、さっそく昼ごはん。
というのも羊・ヤギたちの午前中の放牧でまだまだ草食い中のようなので、たっぷり草を食べさせてから、柵内監禁したいっていうこともあります。

あと、今回は、遊牧民のところの薪ストーブ(草原では家畜の糞ストーブ)でごはんを作るってところからスタート。

まずはハルツァイ(牛乳が入っていないモンゴル茶。4月はまだ牛が出産してないので、牛乳が乏しいためブラックストレートの塩茶)と自家製ボーブをいただいてから、モンゴル人女子二人は、ジャガイモやニンジンを切り、ウランバートルから買ってきた干し肉を入れて、煮込みうどんを作りました。

ごはん食べてから、作業開始。

今回は、捕まえてヤギを縛り、カシミアの毛をどうやって梳くか、や梳きブラシの使い方などを遊牧民おじさんに伝授してもらいました。ほんのちょっとしたことなんだけど、それをやるのとやらないのとでは収穫に大きな差がでる、まさに「ちりも積もれば山となる」な気遣いがこめられた工夫。

昨日に比べると、みんなまじめで、作業はもくもくと無駄話することもなく進められました。
まぁ、昨日は風も強く寒かったから、お互いにいろいろ盛り上げてやらないと腰は痛いは、埃はすごいは、ヤギは泣き叫ぶは暴れるはで大変だったものね。

丁寧にヤギのカシミアを採るわけですが、今回、あらためて気づいたのは、冬の防寒具的なカシミアは、結構奥の奥までびっしりであること。頬の裏の顎筋から耳の後ろから首にかけてがたっぷりとほんとに細かいカシミアがついているのですが、昨日はあまりにヤギが泣き叫ぶため、この首筋が遠慮の塊みたいにノーマークに近かったので、昨日の取り残しを今年はかっちり漉き取りました。

作業はまる4時間ほど。

そのあと、またお茶を飲みながら、いろいろ談義。

遊牧民さん達が採っておいてくれた分、昨日の分、今日の分と3つにわけられた袋のそれぞれの重量を考えたりしながら、最終的に、ま、とにかくまとめちゃおう!ってことでフワフワびっしりの3つの袋をぐいぐいとひとつの袋にまとめることになりました。

ぜーったい、こんなのまとまりきらぬ。と思っていたのですが、ぐいぐいと押し込むとびっしりパンパンに入っちゃいました。すごいな、カシミア。

帰りは、作業の終わりを見届けてすぐに羊の放牧に戻っていったおじさんにお別れを告げに放牧地までラブワゴンでいき、ついでに子羊を捕まえてもらって、写真を撮りました。

昨日もそうだったんだけど、今日もやっぱりヤギとの格闘と澄み渡ったきれいな空気によってリフレッシュした体が求める睡眠欲のためか、帰りの道中はみんな爆睡状態でした。

昨日の皆さんも今日の皆さんも、ほんとにお疲れ様でした。

カシミア相場のレートなどを調べながら、よいときに仲買人に卸します。
その時のお値段、また今年の我が家のカシミア収穫量などもご報告したいと思います。

皆様、ほんとにありがとうございました。

「猫の手遊牧体験隊」はリピーター様大歓迎ですが、まだまだご新規参加メンバーも募集中です。
肉体を使うことで感性を磨く。
生きた経験によって自分のサバイバル本能を呼び覚ます。

そして、遊牧民さんたちが、これからも末永く誇りを持って自然との調和をとりながら遊牧生活を続けていくためのサポートができるように、いろんな企画を立てていきます。

応援、ご参加、よろしくお願いしまーす。

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