モンゴルだるま@ウランバートルです。
毎日、ディーゼル燃料確保のため、朝から晩まで奔走、という暮らしもだんだんルーティーン化してきました。
1日15リットルのプリペイドカードでの車の燃料タンクへの配給体制にも、ウランバートル市民の皆さんも大分慣れっこになってきたみたいで、当初のようなヒステリックな行列や殴り合いでのディーゼル燃料争奪ってことも少なくなってきました。

まだどうなるかわからないのですが、一時期は、1ℓあたり3000tgとか2500tgで1トン単位でなら売るよ、という鉱山業者相手の卸売り業者の言葉に心揺れ動いたときもありましたが(定期預金解約しちゃった!)、よくよく考えたら、うちがダメになったときは、多分、他の人たちももろともにダメなわけだから、あんまり買占めに走るのもよくないな、と。

特に国全体的に需要が高く供給が満足に出来ていないライフラインのひとつなので、ちゃんとした安全対策設備も持たない素人が大量に買い集めたのがご近所様にばれたら、盗人や強盗などの餌食にされて、ご近所づきあいそのものが崩壊してしまう危険もあるしね。

というわけで、毎日、ちょこっとずつ今、ご予約いただいているツアーの分を確保すべくがんばっています。
とはいえ、毎日行列で半日以上をつぶすことになるこの調達作業は決して精神的に楽ではないのは確かです。元ラブワゴンのドライバーであるガナー君も、一時ストレスの余り、せっかく燃料満タンになった車に乗ったまま、携帯電話の電源切って雲隠れという暴挙に出て、「今働いてるんだから、6月から3ヶ月休ませてもらう」というストライキをされたことがありました。ぎょえーーーー。


ガソリンスタンドでは常時、行列にいらついたドライバーがクラクションを鳴らしまくり、スタンドの給油係はどなり散らし、ジェリ缶やポリタン(あぶないって!)でなんとか燃料確保しようとした、「燃料切れエンコ車」を置き去りにしてきた運転手達など、無法地帯な修羅場でありました。

そんなところにタダでさえ、神経が細くてイラチで喧嘩っ早く、ネガティブ思考なガナー君ですから、こういう修羅場に毎日朝から晩まで通わなければいけない、というのは辛いことです。1日15リットル確保するために、毎日何リットル消費しているの?という状態なので、アイドリングしてエアコンつけるってわけにもいかないしね。(そもそもエアコンがぶっこわれてるらしい)ドライバー仲間からプリペイドカードを借りて、なんとかもうちょっとの量は確保できる体制にはしているのですが、まぁ、やってらんねーよ、という気持ちなるのも仕方ない。

てな具合で結構、ツアーに行ってないのに都会で過酷状態というとっても気の毒なガナー君のおかげで、多分、燃料不足によってツアーが催行できない!ってことはなさそうです。というか、あまり無茶に遠方に行くツアーは今年は鴨糞拾い北大調査以外はやらないで、トゥブアイマグ内(片道200km以内)で内容の濃いツアーをやる、というのを基本方針にしています。

トゥブアイマグといっても、沙漠もあれば、草原もあるし、遺跡もあれば、原生林や原野もあります。
私は辺境地が大好きなので、ほんとはフブスグルの山奥とかアルタイ山脈の万年雪や氷河でトレッキングとか、南ゴビからバヤンホンゴルにかけてゴビゴルワンサイハン山脈を踏破とかいうアドベンチャーがやりたいけれど、今年は、確実に日程どおりに「行って帰る」ができるという条件の下で出来る精一杯のエコツアーをやっていこうと思います。

ドライバーもガナー君1人に負担をかけると、また逃亡とかされたとき怖いので、何人かの交代・協力体制を取るようにしました。

正直、「家族と仕事、どっちが大事なんだよ」と日本では、普通は、仕事三昧のだんなにほっておかれた奥さんがキレていうセリフで真顔で追求されたときは、さすがに「こいつ、何言ってんだ?」と驚きましたが、内心は「仕事だろ、そりゃ」と思いつつも、やはり人命が大事だよね、と。
そもそも前提が間違ってるよ。現時点で家族じゃないし。


過労死されたり発狂されて使い物にならなくなっちゃうのはもっと困るし。そもそもモンゴルで結婚もしてないのに精神を病んだ人のめしつかいみたいに介護を押し付けられるのはもっと嫌だ。
家庭崩壊なんか怖くないけれど、自分が仕事に打ち込めなくなるのは困ります。
ドライなようですが、別に結婚に縛られているわけではなく、それはお互い様で、いつだって解消されちゃうような脆そうな関係なわりに、激しいバトルを繰り返しつつも、なんとかここまでやってきているので、たかが、燃料不足ぐらいで全部をぶち壊しにするのももったいないものね。

根が単純で仕事が生活基盤という思考回路のないモンゴル庶民代表みたいなガナー君に、日本人的仕事=やりがい⇒生活のためにプライベートはいったん棚上げしたって当たり前、という私の仕事に対する姿勢を押し付けるのがムリということは、私もこの1ヶ月でよーーーーーーくわかった。

大きなODAの仕事とかもないので辛いといえば辛い清貧生活が続きますが、でも20年前の物不足、流通経路の断絶状態を考えれば屁でもありません。

せっかくの夏なのだから、できるだけ多くの人たちと喜びをシェアして、数ヵ月後の厳冬期の寒さや暗さを乗り越えられるだけの精神力を蓄えなきゃね。

優秀なドライバーでもあるガナー君に夏の3ヶ月をまるまる休まれたらさすがに困りますが、(だって1年のうち夏の3ヶ月働かなかったら、観光ドライバーはいつ働くの?)2週間くらいの休暇はあり、と思っています。

というわけで、超クールビズが提唱されつつ、菅さんはまだまだ首相の座を温めていたいみたいで、モンゴルとはまた違った意味の過酷さが突きつけられている日本の皆様も、てげてげにお休みとりながら、がんばって猛暑を乗り切ってください。

てげてげのお休みをモンゴルの草原で馬に乗って風になりながら、一緒にすごせたら、モンゴルだるまも嬉しいです。

日本の旅行会社さんはこんな燃料不足とかの対策を現地がどうやってるか、なんてお客様にはぶっちゃけないと思います。
でも、こういう下っ端の努力があってこそ、ツアーは催行されるんだって思っていただきながら、「そんなに大変なら、今年はあきらめよう」ではなく、「こんなにがんばってくれてるんだから、思いっきり旅を楽しもう」っていう気持ちでモンゴルにお越しいただけると嬉しいです。



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