『何のために自分はここにいるのだろう。何のために月はあそこにいるのだろう』

奥様はネットワーカ Wife at Network.
舞台は某国立大学工学部。
連続傷害事件が多発しているという噂が流れ、化学工学科秘書のスージィこと内野智佳の周辺でも不気味な出来事が起こり始めていた。
しかし、それは連続殺人事件へと発展していく前兆に過ぎなかった――


学部内の6人の人物の視点で謎を追う、ポエティカルでちょっとホラーな森ミステリィ。
場面毎に、それぞれの人物の視点で短文が交互に繰り返され、途中に詩的で不思議な文章が挿入される。
抽象的なイラストは”何か”を表現しているようでもあったり、主な登場人物が事前にイメージ化されているので、登場人物の関係性はすぐに分かるようになっている。


森先生の大学関係の小説といえば「水柿助教授」シリーズが存在する。
水柿助教授はユーモア溢れる日常生活の些細なミステリであるのに対し、本作は舞台が大学というだけでイメージは全く異なり、かなりライトでイラストを多用した意欲的な作品。

コジマケン氏のヘタウマな絵(失礼発言)はどこか味があり、見慣れてくると不思議な感覚がする。
実在には存在しない、ネットワーク上の記号が抽象化されているような画風は、浮遊感と曖昧さを際立たせているようで、ハッキリとしたイメージの輪郭を掴みにくい。


そんなこの本はキャラクタイメージを一応固定しているので、ライトノベルのジャンルに括られるのだろうか?と微かな疑問も、、、しかし、ジャンル分けという言葉は、どの分野でも区分が曖昧で理解しにくい。
余程、該当する分野に精通していなければ、一般人には違いなどよく分からないだろうし、現実的にその意味も大してない。
ただ、人間が言葉で認識できるように分かり易く区別しているだけなので、大枠のイメージが掴めれば良い、という程度に認識していれば特に問題はないだろうが、この新感覚なミステリィは読者にどう受け入れられるのか?

、、、
とか書いていたら、、、あれ?何か変な気分だ、、、
あぁ、今日は月が綺麗だなぁ。満月なのかな?
さて、どうしようか、、、何か嫌な予感が、、、

『その予感もあたらない。当たらないことはわかっていた。その予感だけが当たったのだ』


奥様はネットワーカ (ダ・ヴィンチブックス)/森 博嗣

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工学部・水柿助教授の日常 (幻冬舎文庫)/森 博嗣

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というわけで、満月の日にわざわざ投稿してみたw
こちらのサイト(The Moon Age Calendar)に、月の事が詳しく書かれている。
月に関する知識から、便利なブログパーツや簡易プラネタリウムなど、何から何まで用意されている素晴らしいサイトだと思うのでぜひ一度ご覧あれ。