中学受験の失敗学、亡国の中学受験に続き、中学受験にやや批判的な観点で書かれた本。岩波新書なので、地味で直球なタイトルです。最近の新書は煽ったタイトルが多いので、かえって新鮮です。

 

 

著者は、子供の小学校入学をきっかけに、中学受験を意識し始めたジャーナリスト。2013年時点での中学受験の過熱ぶり、その背景にある教育産業の思惑等について書いてます。ゆとり(死語?)に乗じた日能研のたくみな情報戦術が具体例として挙がっています。あの電車の広告はそんなインパクトがあったのか。。。

興味深い点は多々ありましたが、印象に残ったのは、公立中高一貫校についてのところ。公立中高一貫校関連の法改正当時(1998)の、私学側の働きかけ。テストが学力試験ではなく適性試験としなった背景に働きかけがあった。実際に、渋幕の田村理事長が、公立中高一貫校がエリート校化してしまうことを脅威(とんでもないと表現)と感じていたことを書いています。確かに、現状、適性試験形式が公立中高一貫校への流出の歯止めになっている面もあるので、働きかけはある程度功を奏したといえるかもしれませんね。

緻密な取材に基づいており、受験ジャーナリズム(プレジデントファミリーとか)とは違う側面から中学受験をみることができる本でした。

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