<以前、NHKで免疫の特集をされていました。そこでこんな実験がありました。風邪ウイルスを数千個、喉に直接入れます。ほとんどの人は風邪を発症するのですが、その中で、風邪症状が起こらなかった人は他の人と何が違ったのか、というと、彼は生活の中に昼寝の習慣があったのです。つまり日中に一度、交感神経を落として、副交感神経を優位にする時間帯があったのです。ここで免疫の初動部隊が活力を取り戻すわけです。>

 

「そのNHKの番組では、睡眠時間が7時間以下の人は、それ以上の人に比べて、風邪を4倍以上引きやすいと言われました。そして日中に取り組める交感神経を緩める行動として、第一位は昼寝、第二位はウォーキング、足湯、瞑想と続きます。これは難しい言葉で言うと,「LF HF比(LF/HF)」という指標で順位を決めています。こういうことを生活のなかに取り入れるといいわけですが、喉のレーザー、はりきゅうはそれを一気にやってしまうのだと思います。だから鍼をしていると風邪を引きにくいとか、昔から言われているんです。それと偶然かもしれませんが、鍼でNK細胞の活性があがるという報告もあるので、実際にご高齢の方で癌になられる割合は低いと思います。」

 

<さてよく血の巡りが悪い、という表現をよく聞きます。血の巡りというのは、簡単に言えば局所の血管が狭くなった状態を言います。全身の血管が狭くなると、血圧は急上昇し、極めて危険な状態です。逆に全身の血管が広がると、血圧は急降下し、これも危険な状態です。だからよく言われる、血の巡り、というのは、特定の場所の血液循環が悪いことをいいます。子宮の血の巡りが悪いということは、一体どういう影響を及ぼすのでしょう。>

 

「細胞って、すごい機能をもっている奴がいて、特に血管を作っていく細胞というのは、血流の強さによって、血管の太さを変えていくんです。だから子宮の動脈を広げてやれば、当然着床の後に胎盤ができるときに、良い血管ができると考えられます。問題は、本当にそんなことができるのか、という点です。愛知県に明生鍼灸院というのがあって、そこがお尻のあるツボにある一定の方法で刺激を与えたところ、子宮の動脈の抵抗値が下がったという研究結果を発表しました。動脈の抵抗値が下がるということは、その中を流れる血液が、余裕をもって流れる、ということです。この基礎研究によって、鍼灸は特定の血管に作用する、ということが示唆されたわけです。ですが、毎回のように申し上げていますが、どんなやり方でも良いわけではありません。一定の深さ、方向、刺激の強さ、などを兼ね備えている必要があります。だからこそ、鍼灸ならなんでも良いのではない、ということなんです。これを中髎穴施鍼といいます。」

 

<なるほど、やっぱりやり方をきちんと勉強した鍼灸院で治療を受けるべきですね。妊活で鍼灸を受けようとされる方は、『中髎穴施鍼ってできますか?』って尋ねてみるのもいいですね。>

 

「その通りです。では血流が血管に与える圧力をシェアストレス、というんですが、これは血管形成にとても大切な役割を果たします。特に、胎盤なんて血管がどんどん新しく作られていくわけですから、その役割はとても重要です。日本ではほとんどないですが、世界中で子宮の血の巡りが悪いために赤ちゃんの胎児の発育が遅い例なんて、すごくたくさんあります。ただこれをお話しすると、本当に難しいお話になりますので、当院にお越しの方は、産科と婦人科掲載の私の論文のコピーをお渡しします。また興味がある方は、『産科と婦人科11月号』を買ってください。