J side



「俺がここ座んのって、まずくない?

助手席って彼女の特等席なんじゃないの?後ろの席に移動しようか。」



そんな細かい事、いちいち気にする子なんていないよなって思いながらも


ハンドルに両腕を掛け、その上に顔を乗せた姿勢で、さっきからこちらを見つめる翔くんに、かっこいいなって胸がときめいてしまう俺は、少しでも彼から離れる理由が欲しかった。



「いいよ、そんなの。隣に居ろよ。」

「・・・うん。」

「相変わらずお前は面白いよな。変なとこに気を遣い過ぎだよ。」



翔くんは目尻を下げてクスクス笑うと

今度は俺に優しい眼差しを向けるから




「だって、彼女に悪いでしょ。」



翔くんから視線をそらし

なるべくぶっきらぼうに言ったのに



「ばあか、悪くねぇよ。」



翔くんは、俺の髪をクシャッと撫でた。




「・・・っ!!」



不意をつかれた俺は

驚いて反射的に翔くんを見てしまい

更に心拍数が上がった。



どうしてそんな

可愛くて堪らないって表情すんの?



そんなの俺相手にするもんじゃなくね?

さっきから何なん?

やたら甘い雰囲気、何なん?


この距離でそんな顔して見つめられるとか

髪触られるとか

俺の心臓がもたないんだよ。


もしかして俺の気持ち知ってて

揶揄って遊んでんのか?

 



※中途半端ですが、文字数が何故かオーバーなので分けて上げます。

続きは20時です。