超加工食品」とは、簡単に食品を加工の度合で分類した場合に最も加工程度が高いランクに入る食べ物で、一般にスナック菓子、炭酸飲料等が分類されています。
この身近な食品の取りすぎにより、死亡リスクが高まるとの最近の研究で明らかになってきています。一例として、以下の記事を紹介します。

【超加工食品の摂取は心血管疾患死のリスクを上げる】
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より以下引用
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心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患(CVD)の経験がある人は、「超加工食品」を食べるのは避けた方が良いかもしれない。IRCCS NEUROMED(イタリア)のMarialaura Bonaccio氏らの研究で、CVDの既往歴がある人では、超加工食品の摂取量が多いと、CVD再発による死亡リスクの高いことが示されたのだ。この研究結果は、「European Heart Journal」に11月30日発表された。

 超加工食品とは、通常の料理では使用しないタンパク加水分解物やマルトデキストリン(でんぷんを加水分解して作られる糖質)、硬化油(油脂に水素を添加して固体にした脂肪)といった物質が一部あるいは全体に使われており、着色料や保存料、酸化防止剤、固化防止剤、風味増強剤、甘味料などの添加物が含まれる食品のことを指す。Bonaccio氏らは超加工食品の具体例として、砂糖入り飲料や炭酸飲料、パッケージに入った状態で販売されている食品、スプレッド類、ハードビスケット、朝食用のシリアル、クラッカー、フルーツヨーグルトなどを挙げている。

 この研究には関与していない登録栄養士で、米ノースウェル・ヘルス系列のKatz Institute for Women's HealthのSharon Zarabi氏は、「超加工食品とは、読んで字のごとく、もともと含まれていた栄養素が取り除かれ、有益な価値が全くなくなった食品のことである」と説明する。同氏によると、パッケージ入りの食品のほぼ全てが加工されたものであり、「超加工食品は心臓病や糖尿病、高血圧、腎臓病など、さまざまな疾患を引き起こす可能性がある」と指摘する。

 Bonaccio氏らは今回の研究で、CVDの既往歴を持つ1,171人のイタリア人(平均年齢67±10歳)の健康状態を中央値で10.6年間追跡したデータを用いて、超加工食品の摂取と死亡との関連を調べた。その結果、超加工食品の摂取量が最も多いグループに分類された人では、最も少ないグループに分類された人に比べて、全死亡リスクが38%高く、CVDによる死亡リスクも65%高いことが明らかになった。

 Bonaccio氏は、「超加工食品は、含まれている栄養素ではなく、製造や保存の過程に基づいて定義されている。このことは明確にしておくべき重要な点だ。つまり、栄養バランスが取れていても、超加工食品とみなされる食品があり得るということだ」と指摘。その上で、「明白なのは、たまに摂取する1種類の食品が問題になるわけではなく、日頃の食事の中に、スーパーの棚に並んでいるような食品が多く含まれている状態が問題になるということだ。どんなときでも優先すべきは、新鮮で、できるだけ未加工の食品を主体とした食事だ。このことは長年、われわれが地中海の伝統的な食事から学んできたことでもある」と説明している。

 一方、この研究報告を受けて、米ロング・アイランド・ジューイッシュ・フォレスト・ヒルズ循環器科のMichael Goyfman氏は、「この研究では、超加工食品自体が死亡リスクの増加をもたらすのか、あるいは超加工食品の摂取量が多い人は他にも不健康な行動を取りがちで、そのことが死亡リスクを高めているのかが明らかにされていない」と述べ、因果関係が証明されていない点を強調している。その上で、「超加工食品を避けるよう厳格な推奨を示す前に、より厳密な臨床試験で因果関係を検証する必要がある」との見解を示している。

 それでもBonaccio氏らは、心臓の健康にとっては、食品の製造過程も食品に含まれる栄養素と同じくらい重要だとの考えを示している。論文の上席著者で、IRCCS NEUROMEDのLicia Iacoviello氏は、「栄養価のみで食品が健康に良いか悪いかを区別する考え方を見直すときが来ている」と述べ、現在は栄養素に関する情報のみが記載されているパッケージの表示に、食品の生産加工レベルに関する情報も加えることを提案している。