そしていざ下水道へ―――
「うわぁ~くっさぁい…わぁなになにこれぇ~わぁ動いたぁ~」
それは入ってすぐのレイナの一言だった。
ぼくらは町外れの下水口から中へ入った。
当然下水道だから臭いし、そして暗い、しかも壁には変な虫がいっぱいである。
まぁふつうの女の子ならこんな反応です。ちょっと驚きのがエリナ。
「レイナったらうるさいわねぇ、クリスさんとりあえず奥へ進んでみましょう」
意外と平気みたいです。いつもと変わらず冷静です。
そしてあるけどあるけど目標の魔物は現れず…
持ち込んだカンテラの燃料がだいぶ無くなってきた。
「ちょっとぉいないじゃないのぉ~いったい後どれくらい歩けばいいのよぉ」
「仕方ありませんよ!相手は魔物なんですから、こんなに広い下水道を相手もなら歩き回ってますし…」
我慢の限界になったレイナをなだめていたときです。
「きゃっ!…」
「どうしました?」
ぼくの前を行っていたエリナの悲鳴にぼくはエリナの方へと近づきその悲鳴の原因を知る。
「蜘蛛の巣…ですね」
「エリナぁ脅かさないでよぉ~」
悲鳴にびっくりしたレイナはその原因が蜘蛛の巣だったことに対して腹を立てそのまま前を歩いていく。
「………」
「どうしました?レイナ?」
少し歩いて立ち止まってしまったレイナに声をかけその方向にカンテラを向ける。
そこには人間よりかなり大きい黒い固まり…いや例の魔物がそこにいた。
「レイナ離れるんだっ!」
何か言おうとするが声にならないレイナをぼくは抱えて一歩後退する。
「クリスさん!!後ろにもっ!」
エリナの声に振り返りぼくは唖然とした。
そこにはもう一匹魔物が…
ぼくらは完全に挟まれてしまったのだ。
そうこうしているうちに二匹とも飛びかかってくる。
「しまったっ…炎よっ!」
ぼくはとっさに魔法を使ったが、前方の一匹のみに当たる。
「やったか?」
「まだです。…」
エリナはそういうと後方一匹に魔法の炎で攻撃しつつ、前方へもとどめを入れる。
しかし、どちらも不十分で、魔物は呻くように大きく鳴く
「οαξδκβιβηαξαογλεκεζεζγνε」
地下の密閉された下水道ではあまり大きな魔法が使えない…
仕方なく中程度の魔法を唱え二匹を攻撃する
「さあっ今のうちに…」
エリナに声をかけぼくはレイナをかついだ。
ぼくらはひたすら下水道を走った。
その後ろからはかなりの数の魔物が追ってくる。
「くそっ!やつの方が足が速い!」
「クリスさん前を向いていてください。振り返らないでくださいね」
「了解!」
エリナの一言でなにをするかわかった。
エリナはその場に立ち止まり普段より大きな力でライティングの魔法を使った。
辺りを光が包む…これを直撃すればかなりの時間目が利かなくなる。
それは魔物も同じ事。
「エリナさん!よけてくださいねぇ」
すかさずぼくは炎で攻撃しておく。
魔物の目をつぶしたとはいえ普段から暗いところで生活していた魔物なら他に位置を知る術を持っているに違いない。
「これで少しは時間が稼げましたね。」
「エリナさん急いで外へ出ましょう。恐らくあれはキメラの類…」
「じゃ人手で?」
「恐らく…しかしあの数は…300位ですかねぇ…とにかく急いで冒険者協会へ行きましょう」
ぼくらはひたすら走り何とか下水道を抜けることができた。