Room no.9 ネタバレ腐向け感想 | 虚像

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R18BLゲーム「Room no.9」のネタバレ感想です。

 

苦手な方はブラウザバック。

 

 

 

 

 

 

 

 

端的に言えば「加虐しないと出れない部屋」の中編CP固定シナリオです。

 

大先生から概要だけは聞いていたのですが、私はハピエン厨なのでそれほど積極的にやりたいとは思っていませんでした。

が!!Paradise!!全部paradiseが悪い!!

Paradiseの主人公アヅマの声優さんと、このRoom no.9の受け主人公安曇誠二の声優さんが同じ刺草ネトルさんなんです。

Paradiseもそもそも、私の好みではないだろう作品だったのですが。

無印とファンディスク2作を買うぐらいにはまった要因が、ネトルさんに依るところが大きかったもので。

ネトルさんが受けを演じられるゲームならば、好みじゃなかろうが怖かろうがやるべきだろうと!!!

 

結果、やってよかった……。

 

そも、受けの誠二は気になってたんです。

知的でクールで眼鏡でエリート。完璧な受け。

こういうキャラ他だと攻めになりやすいので、本当にありがたい。

アヅマとは真逆のキャラだったので、同じ声優さんとは思えませんでした。

純粋なキャラのタイプとしては誠二のが好きですが、声優さんの演技を愉しむ、という面では、喜怒哀楽の激しいアヅマのが聴いているのは楽しかったかも。でもどちらにせよ喘ぎ声は最高でした。

 

ゲームは監禁された二人が、「傷つけるか、凌辱するか」を選ばされることで進んでいきます。

傷をつけられるのは攻めの大地。

凌辱されるのは受けの誠二。

凌辱し続けると凌辱END(END A)にたどり着くのですが、攻略見ないでやった私は真っ先にそのエンドに行きました(*'ω'*)

選択肢がわかりやすかったからね。後々他のエンド回収らくになるかと。

いやもう辛かったです。誠二が淫らな事されて開発されていくのは楽しかったんですが、

もう、堕ちたなあ……という感覚のが大きくて……。

大地もとってもいい子なので、そんな子が自己嫌悪と人格乖離のようになってしまって。何より大事にしていた誠二をモノのように扱ってしまうのが苦しかった……。

別の√ですが、指切断か性交渉の3択になった時、大地は真っ先に「誠二に何したいの?何させたいの?」って困惑するんですよね。自分よりも。誠二の被害を重視してる。自分の指を犠牲にすることより、自分の指を切らせることで誠二が負う痛みを心配してるんです。腕の一本くらいなくなったって。って言うぐらいですから。

そんないい子が。いや、多分、そんないい子「だから」壊れるしかなかったんでしょうね……。

誠二は萌えるんですけどね!!!!顔の綺麗な子が肉欲の虜になって精神崩壊するシナリオの楽しみ方は、淫靡たんで学びました。かわいそうで淫らでかわいい。

でもやっぱりそれってハピエンがあっての、別のエンドとして楽しむものなので……初っ端はきつい。

というわけですこしでもましなENDを探す旅に。

 

攻略サイトらしい攻略サイトはなく、感想と攻略√を載せてくださってるブログ様を頼りにやりなおし。

 

サイトによるとAエンドだったらしいので、自分がわかりやすいようにAから順にやろうと。

B,Cはサイト様のおかげで順調にクリア。Aエンドでもおそらく誠二は壊れてしまっていましたが、Aはメインとしては大地が壊れるエンドなんですね。

Cは逆に、誠二が壊れてしまうエンド。こちらは苦しいというよりは切なかった……もう戻れない……変わってしまった自分を自覚しつつも、作り替えられた身体の方に抗えない。大地もそれを受け入れ、共に堕ちることを選択します。求めていたエンドではないですが、これはこれで好き。二人だけの世界で破滅するエンド。思考力を失い最終的に死ぬんだろうなあと思わせる。つらい。

Bは大地が誠二を殺してしまうエンド。これもねー…………つらすぎるんですけど好きでした。

切迫した状況、自分をコントロールできない苦しみ、親友を思うが故に苦しみから解放されるため手をかける。苦しみの先には絶望しかない。救いゼロで潔くて綺麗で切なくてどうしようもなくて、好きです。

度々「BLゲーム向いてないな私!!」と思いますが、こうやってBADエンド楽しめるのってBLゲームやる上で一つの素質かと思っています。

 

そしてE,F√へ。

この√にいくには必ず、誠二の遅い受けが挟まるんですけど、その前のスチルが非常に痛ましい。浴室から洩れる光がぼんやりと誠二の輪郭を浮かびあがらせ、全裸で濡れそぼり、半立ちで立ち尽くすもの。品があって身持ちの固い誠二が。快楽にどれほど苦しまされていることかと思うと、可哀想で見ていられなくて。でもそこからの遅い受け騎乗位手つなぎセッは好き。

Eについてはあんまり考えたくないですね……解放後、しばらく家に帰れなかった誠二に何があったのか、想像したくないです。警察に行った方の大地ではなく、誠二に害が及んだんでしょう。やり方がえげつない。ワンルームエンジェルのいおりさんと同じ手口ですよ。堅気じゃない。

Fは……最後にやっと、あけられたんです。

もう!!!!!!!疲れた!!!!!長かった!!!!大変だった!!!!

中編シナリオなので長くないはずなんですけど、Fにたどり着くまでに「Dエンドってどれ(#^ω^)」と散々ロードを繰り返していたせいで非常に遠回りしました。結果、Dは一番あっさりしたエンドで、既に回収済みでした。あまりにあっさりしてるし何回もそのエンドになるので、ナンバリングなしの共通BAD的な位置かと勘違いしていたんです……

10時間ぐらいかかってやっとフルコン。テキスト回収率は99%なのですが。スチルは2292枚ちゃんと揃ってます。

達成感と疲労感でいっぱいでした。何度も死なれた水上ルートのエンディングに辿り着いた時もこんな気持ちだったなあと思い出します。

二人が抱えた傷はあまりにも大きく、深い。全てが元通りの関係ではいられないかもしれない。体が疼く夜を耐えなければいけないかもしれない。でもきっと、二人の絆は切れてはいません。

二人が命も、心も、絆も壊さずに帰ってきてくれた。それだけでもう、今まで散々なENDしかみれなかった私にとっては十分でした。

エンドどしては親友エンド?と言われているのかな?

便宜上BLゲームと呼んでいますが、恋愛ENDは無かったような気がします。

監禁凌辱を謳っている作品なので、それでいいと思います。

大地がもし、彼女とこの実験体にされていたら、解放はされなかったんじゃないかな。

彼女だったらどうだったかな。誠二だったから、信頼して課題をこなすことができた。って大地も心中で言ってたしね。

 

幼なじみで唯一無二。いいですよね。

そこに恋愛も入ってくることがBLでは多いのですが(それも好き)

親友のままというのも大変に大変に好きです。源と政もそうだったね。

 

設定はぶっとんでるんですが、舞台設計や心理描写がとても細かく、生々しすぎるほどにリアリティを感じました。

シナリオの沢柾機様の構成力がすごい。どのエンドにも納得がいきました。

ぶっとんでる設定で読者に違和感を持たせず進めるのってほんっと大変なんですよ……!!

ぶっとんでる設定でぶっとんでるキャラクターで行動原理や思考回路が理解できず「なんで……!!そう!なる!?」と苦しんだ作品があるので……

 

あと!!このゲームすごいのが、システムがものすごいハイテクなんですよ。

セリフ時、次のテキストに進めても、ボイスが言い終わるまで流れるんです!!

この機能どのゲームでも欲しいと思ってた……!!!

喘ぎ声なんて内容大してないんですから、読むのは1、2秒かそれ以下なんです。

でもBLゲームのいいところって声がついてるところなんですよーー!!

だから好きなキャラや声優さんのセリフは、なるべく聞き逃したくはない。

そんなプレイヤーのワガママを叶えるかのようなシステム……最高……。

オートモードでもそれを反映させることができ、テキスト表示は変わっても、セリフを言い切るまでは次のセリフに進まない。天才です。

ルムナンは通常のセリフよりも喘ぎのが多いので、大活躍でした。

なにせほぼネトルさんの声を聞くためにやったようなものなので。

ネトルさんが大好きなのでどうしても持ち上げてしまうのですが、天然才さんも可愛くて、キャラにあっててよかったです!

 

ほかにもいいなと思ったシステムが、バックログからシーンをさかのぼってジャンプすることができる機能ですね。

これほんっと便利でした。

ここのシーン・セリフ好き!!ってなっても、そのシーンの一連の流れをセーブするには、戻らなくちゃいけないじゃないですか。

基本的には前回セーブしたところからもどって、スキップして、近づいたらクリックしながら進めて……という面倒で時間がかかる作業をしなくてはいけないんです。

でもバックログから遡れれば、シーン冒頭にジャンプしてセーブするだけ!簡単!楽ちん!

 

イージーモードもありがたかったのですが、それ使っても私はE/Fエンドに行くのかなり苦労したので、もうずっと選択肢の横にエンド出しておいてほしいです。ゆとり乙。

 

スチル総数も半端じゃなく。2292枚ってどういうことなんでしょう。誠二の眼鏡ON/OFFの差分があるのでその分多いのですが、それにしてもですよ。中編シナリオだからといって侮るなかれ。変化が細かいので臨場感がすごいです。

一枚目のスチルの時点で「絵丁寧だなー塗り綺麗だなー」とは思っていたのですが、どのスチルも手抜かりは見られませんでした。丁寧で、上手い。エロ絵を描けば上手くなる、という文言を見たことがあるのですが、それは、人体を理解していなければ描けない・あらゆる構図を描く必要があるからです。どのスチルも狂いはみられず、丁寧に描きこまれていました。原画担当の二階堂柴乃さんの仕事ぶりたるや……すさまじいとしか言えません。にしてもこの画風、どこかでみたことあるんですよね。他のBLゲーも携わってらっしゃるんじゃないかな。

 

背景ボイスにも驚き。

私はルムナンで初めて出くわしたのですが、その種類が半端じゃない。

シーンごと・体の変化ごとにこまかーーく分かれてるんです。

いったいどれだけ録音したのか……

フルコン報酬のスタッフコメントにて、ネトルさんが「これほど大変とは」とおっしゃってましたが、

そうでしょうとも……!!!!!

しかもネトルさんは今作が初BLだったようで。

キャスティングした人も思い切ったことを……BL未経験声優を、これだけ濡れ場の多い作品に出すとは。

そのおかげでparadiseのあのえっち極まるアヅマが爆誕したのでしょう。感謝。最高です。他にももっとBL作品やってほしい……!!!!

 

 

総合的に、「質の高いゲーム」だったと思います。

企画・シナリオ・イラスト・声・システム。どれも申し分ないです。

音楽は目立つものではありませんでしたが、無機質で残酷な世界観によく溶け込んでいたと思います。

思い出話の時に流れる曲なんかは、自分たちを必死で保とうとする、二人の危うさや脆さ、綺麗さをそっと引き立てる繊細なものでした。

どのBGMでも流れている、空調の音なのか、換気扇のおとなのか、建物が発する雑音がまた怖くて、いいんですよねえ……

キャラクターやCPは個人の好みに依るところが大きいですが、私は好きでした。なのでよかった、といえるのかな。

若干趣旨ずれるんですが、この「美しい友情で結ばれた二人を、愛欲を強制させて関係を作り替える」という主題、二次創作BL好きにはものっすごい痛いんですよね。色んな作品で、友情関係のキャラをCPにして楽しんでたものですから……二次創作自体は悪ではないと思うんですけど、作者様や、生ものの場合ご本人様の目には絶対絶対触れさせてはいけないなと、より強く思わされました。

本来は実験対象を観察する側、という目線を持たせるゲームなのでしょうけれど。うん、ごめん。楽しんでた。ごめんね大地誠二。

 

設定的に続編は難しいですし、制作会社のparadeさんはルムナン以降BLゲを出していないようなので、派生作品は望むべくもないのが悲しいですが……。

こういった作品が好きな方は一定数いると思うので、同士の方にはぜひともやっていただきたいと思います。

 

出会わせてくれた大先生に感謝を。