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・・・「よーし、分かった」
続き
<よーく喋りますねー、この人?>
とご相談者談。
やはり、相当悔しいからでしょう。
悔しくないとこれ程喋らないでしょう。
可愛いおねえちゃんの居るところからの帰りに殺されたのですからねー。
「おい、もう一度出てくるがいい。ところで、お前はどのような仕返しをしているのだ」
「こいつ、こいつでございますかー、仕返しはねー、私首つられてこんな、こんな状態で、アーッ(苦しい叫び声)、ですから、こいつも、何時も私と同じ状態にしております。だから私、首が“ああーっ”となった時に、こいつの首も想いきり両手でギューっと(締める)、そしたらこいつも“ウッ、ウウッ”とウフフウ(笑)・・・咳き込んで苦しんでおります。私、こいつだけは絶対許さん!こいつの首をジワジワ締めて、そしてこっち(死)に引きずり込んでやろうと想っております」
「そうか、では其のほかにはどのような事をしているのだ」
「ど、どんな事とは、こいつを人生の奈落に落とし込んでやろうと想っております。人がこいつを視るとみな、気持ち悪がりますよ。こいつの親は何も感じないのでしょうが、こいつは他のものから視ると異様な人間にみえますよ。多分、こいつは自分の前世に少しは想いが残っているのでしょう。気持ちの悪い男でございますよ。ですが今は私が操っているのですよ。こいつはこのまま奈落の底に落として、どうにもこうにもならないように、そして最後は首を自分で吊ってこっちに来るように仕向ける。こいつが首を吊るような格好をしたら私が縄を巻いて、そしてこいつの足元を蹴り倒して引きずり込んで、そしてこいつも首が無いように、私と同じようにしてこっちで暮らすようにさせようと想っております」
「そうか、良く分かった。少し待て」
首吊り自殺をさせようとしているようですねー
<そうですねー>
奈落の底に落とし、試験も何も駄目にすると云うことでしょう。
<そうですねー>
ところで良く咳き込みますか?
<はい、ありますねー、良く咳き込む事はあります。どうしたの?と聞くと、
《何かおかしいのや、お母さん》
と言いますよ。
近頃、
“何かおかしい、何かおかしい”
と頻繁に言い出すのですよ>
そうですか。
では、もうこれくらいで宜しいでしょうか?
後何か聞きたいことはありませんか?
<いえ、もう宜しいです>
では、今からこれを除けましょう。
<はい、お願い致します>
「おい!」
「ははい」
「今からお前に首を付けてやる。お前は首がないのだろう」
「くく、くびがない・・・くく、くーび~が~」
「では、今から首を付けてやるからなぁ、云いか」
「わわ、分かりました。カミサマ、そのような事をしていただけるのでしょうか?」
「そうだ。首を付けて元の体に戻してやる」
「そ、そうですか、わわ、わたし、どうしたらいいのでしょうか?」
上記は冗談ではなく、私は本当に首の無い怨霊の身体に首を付ける事ができる。
「おい、お前に聞きたいのだが、首が無いのに首が苦しいのか?」
「首がないのにくびが?あるんですよ」
「お前、首が無いといっただろう?」
「見た目には、首は無いのです。がくびがないんですが、あるんですよー。ですから首が無いのに首を吊られているのですよ。難しい言い方ですが、首が無いのに首を吊られている。そして苦しいんですよ。死ぬ時の状態がそのまま残っているのですよ。だけど、実際、フッとなった時には首は無いのです。だけど、苦しい時“グワーッ”となった時(死ぬ瞬間の錯覚)首はあるのです。なんかむずかしいでしょうけど」
「そうか分かった。(なんとなく分かったような状態)ではその状態を治してやる」
「ああっ、有難うございます」
「そこに跪いておれ」
「ははい、分かりました」
と云うことで、平穏な時には首は無く、グッと苦しくなった時には首があると思いこむ。
死後は想念、想いの世界と言う事を忘れていた。
本当は首はないのだが、死の瞬間が甦った時には首があるように感じるのだ。
と考えながら両手で首を付ける動作をする。
すると、首のない体で跪いている姿が脳裏に浮かぶ。
その後、何分も経たずに、
「アアッ、ゴゴゴゴ・・・ああっー、あーーーーー」
と云う悲鳴に似た声を張り上げ突然消えた。
どこかに飛ばされて逝ったのだ。
が多分今頃、死んだ事も、首が無かった事も忘れ、
”あらっ、ここはどこ?”
とでも言っているのではないだろうか。
あっ、一つ聞くのを忘れていた。
“もう誰も憑いているものは居ないのか?”
と言うことを・・・。
次回続く