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先日、吉藤オリィさんの講演会を聞きに北九州まで行ってきました。分身ロボット・OriHimeの開発者として知られるオリィさん。半年ほど前に集中的にメディアで取り上げられていた時期があり、その報道でOriHimeを知った方も多いのではないでしょうか。私もその1人で、寝たきりの患者さんがOriHimeを通して仕事をされている様子に強い興味を持ちました。なので、今回の講演会は非常に楽しみにしていました。

OriHimeは、分身ロボットの名の通りAIではなくコミュニケーションを支援してくれるロボットです。眉間部分にあるカメラが写した映像を専用のアプリを導入したiPadやPCで見ることができます。マイクを通じて会話をし、うなずきや手ぶりも交えて喜怒哀楽も表現できます。

さて、講演は、オリィさんの著書である「サイボーグ時代」に沿って進行されました。少年時代に孤独を感じた時期があったこと、AIに魅力を感じ研究していたこと、そこから孤独を解消するのは人同士のコミュニケーションだとして分身ロボットへたどり着くまでの道のり、……。その道のりには、ユニークなものも多く、場内に笑顔が広がる時間も多かったです。後半は、この研究に大きな影響を与えた番田雄太さんのスピーチ(録音)も聴かせていただきました。4歳で交通事故に遭って以来、ほぼ全ての時間を病院で過ごしてきた番田さん。オリィさんと出会い、OriHimeを通じてテレワークとして出社し、社会との接点ができました。顎を使ってパソコンを操作し、東北にある自宅からオリィさんのスケジュール管理などをされていました。番田さんの真摯な言葉には強い感銘を受けました。

現在、OriHimeは活用の幅がどんどん広がってきています。視線入力の文字盤と組み合わせて操作できるようになったり家族旅行にOriHimeで参加をしたりするケースも増えてきているそうです。この季節だと、お墓参りに行きたくても段差が多くて難しかったのが画面越しにお参りしたという話も何件かあるようです。

私も1度OriHimeのパイロット(中の人)を体験させてもらったことがあります。あるイベント会場で、私は1点のブースに留まり知り合いの人がOriHimeを持って会場内を歩いてくれました。私はそれまでOriHimeとテレビ電話との違いはどういうところだろうかと思っていました。実際に操作をさせてもらうと、他愛のない会話が聞こえてきたりリアクションを取ることで自然と会話になったり、想像していた以上にそこにいる人として見てもらえているような感覚になりました。人見知りのある私にとっては、緊張感も緩和されていたように思えました(笑)。

今回は、講演会に参加をして本当に良かったです。テクノロジーが作る未来でありながら、最重要なのは人同士のコミュニケーション。オリィさんが自分の目的に向けて邁進されている姿に、また既に活用して活躍されている方々の姿に、私もがんばろうと勇気をもらえる時間でした。