ロゼット・・・ | クラシック & モダニズム

ロゼット・・・

雑草の中にまみえる私
誰かが足を止めるのを
待っているかのように
じっと雑草の隙間から
空を眺めて佇んでいた
こうしてしおれて行く
雑草にもなれずに地を
這う小さなロゼット葉


思い出すのは自転車に
乗りペダルを踏む前に
私に気が付いてくれた
お兄さん毎朝自転車に
乗りながら私を見つけ
微笑んでくれたけれど
いつしか姿を見かけず
いつしか忘れて行った


小花を咲かせた頃の私
誰かが一瞬気が付いた
誰かが通り過ぎる足を
止めた時ドキリとした
けれど今はもう朽ちて
ときめく事も無くなり
心は彷徨い虚ろなまま
今日も空を眺めている


私はロゼット葉の姿に
赤や青や黄色の小花を
咲かせてあげたら再び
幼い頃に出会ったあの
優しいお兄さんにまた
逢えるような気がした
私はいつも此処にいた
お兄さんに逢うために