家族や親戚と旅行に行った

私は末の子を肉片にして連れてゆく

観光スポットに着くと元の姿に戻り

次の場所に行く前にまたバラバラにする


指先ほどの小さな肉片が死なないように

何処かに落としてしまわないように

ラップに包み空気穴を開け常に確認する

心配で心配で途中からそれを

てのひらに持つことにした



休憩スポットのような建物の中で

同行しなかった伯母が講演していた

突然私を引き合いに出し末の子に

「あなたは可哀想だったわね

 生まれてこなければ良かったのにって

 お母さんに言われて」と言った


一度も言ったことはない。




集合写真を皆で撮ることになった

もっと寄ってと言われたけれど

どのアングルから撮ろうとしても

私の場所だけ写らない


また末の子の肉片をてのひらに包む

呼吸が出来るように

何処かに落としてしまわないように