家族や親戚と旅行に行った

私は末の子を肉片にして連れてゆく

観光スポットに着くと元の姿に戻り

次の場所に行く前にまたバラバラにする


指先ほどの小さな肉片が死なないように

何処かに落としてしまわないように

ラップに包み空気穴を開け常に確認する

心配で心配で途中からそれを

てのひらに持つことにした



休憩スポットのような建物の中で

同行しなかった伯母が講演していた

突然私を引き合いに出し末の子に

「あなたは可哀想だったわね

 生まれてこなければ良かったのにって

 お母さんに言われて」と言った


一度も言ったことはない。




集合写真を皆で撮ることになった

もっと寄ってと言われたけれど

どのアングルから撮ろうとしても

私の場所だけ写らない


また末の子の肉片をてのひらに包む

呼吸が出来るように

何処かに落としてしまわないように









はい、欠席者はいませんね。

では授業を始めます。


今日は、死ぬことに取り組みます。

(え?)

真ん中から右に座っている皆さんは

左の皆さんに首吊りを手伝ってもらいます。

(誰も拒否しないの?)

ではバスに乗って、移動しましょう。

(単に授業を受けるだけのことなのね)



皆乗りましたね。

ではしばらくの移動の間、

ご家族にお別れの手紙を書きましょう。

(課題だから、ただこなすだけ)





はい、到着です。

皆さん降りて準備をしましょう。

(私は先に死ぬからいいけれど

 後のグループはどうするんだろう?

 怖くなったりしないのかしら?)

それぞれペアは組めましたか?

(苦しかったら嫌だな

 今までずっと苦しかったのに

 最期もっと苦しいのは嫌だな)

ではロープを配ります。

左の皆さんは首に巻くのを手伝いましょう。