『週刊少年ジャンプ』にて連載中の麻生周一原作の人気コミックを、福田雄一監督(「勇者ヨシヒコ」シリーズ等)が実写化した『斉木楠雄のΨ難』は、生まれながらに与えられたとんでもない超能力を隠しながら高校生活を送る斉木楠雄(山﨑賢人)の日常を描く学園コメディ。

 

本作で、自身のことを「漆黒の翼」と呼び、謎の組織・ダークリユニオンと戦っているという妄想の設定の中で生きている重度の中二病キャラクター・海藤瞬を演じるのが俳優の吉沢亮だ。海藤という役に「運命を感じた」と話すほど、原作への愛が深い吉沢に、海藤の魅力、撮影現場での共演者とのエピソード、そして駆け抜けた2017年について振り返ってもらった。

 

 

■海藤役のオファーに「運命かな?」

 

ーー吉沢さんはもともと原作のファンだったとのことですが、オファーをいただいたときの心境はいかがでしたか?

 

吉沢:運命かな?と思いました(笑)。『斉木~』は連載が始まったころから欠かさず読んでいたし、中でも海藤が好きだったので実写化するなら絶対に自分がやりたいなと思っていたんです。

 

 

ーーそうだったのですね。

 

吉沢:マネージャーさんから「斉木楠雄の~」と言われた瞬間に「海藤!?」って言いましたもん。

 

 

ーーかなり食い気味に(笑)。

 

吉沢:はい(笑)。すごく嬉しかったのを覚えています。

 

(C)2017映画「斉木楠雄のΨ難」製作委員会

 

ーー海藤のどのようなところに魅力を感じていたのでしょう?

 

吉沢:やっぱり中二病なところですよね(笑)。男の子なら誰でも1回は、「自分にも”かめはめ波”が打てるんじゃないか?」と妄想を膨らませてしまう時期があると思うんです。細かいところまで設定を作り込んで、自分だけの世界に入り込んでしまうような。

 

 

ーー吉沢さんにもそういう時期が?

 

吉沢:今でもわりとそうですよ。さすがに、”かめはめ波”を打てるとはもう思っていないですけど(笑)。

 

 

ーーご自身の中で「あのとき中二病だったなぁ…」という思い出はありますか?

 

吉沢:小学校のときはひどかった気がします。友達を待っているときに、妄想の中のセリフを独り言のように言っていたり…。

 

 

ーー吉沢さんの妄想の中にも、ダークリユニオンのような謎の組織の存在が(笑)?

 

吉沢:本当にそういうレベルのことをぶつぶつ話していたので、友達には不思議がられることもありました(笑)。でも、僕は中二病を内に秘めているタイプなのに対して、海藤は中二病を全面的に出しているタイプ。他の人を巻き込んでしまうほど無我夢中で、必死で(笑)。そこが海藤の愛すべきポイントなんだと思います。

 

 

ーー周りの反応なんかお構いなしに自分の世界に入り込んでいる海藤は、どこか可愛らしいですよね。

 

吉沢:原作では、弟に「自分はめちゃめちゃ強いお兄ちゃんなんだ」と威勢を張るシーンが出てくるんですけど、僕はその話がとくに好きで。海藤の言うことを信じて、海藤のことを最強のお兄ちゃんだと思っている弟も可愛いし、自分を大きく見せようとしている海藤も可愛いんですよね。

 

 

ーー弟に自分を良く見せたい、という気持ちは吉沢さんにも分かりますか?

 

吉沢:僕も4人兄弟で弟がいるので、弟に「お兄ちゃんはスゲーんだぞ!」と自分のしたことを盛って話す気持ちとかはすごく分かります(笑)。

 

 

ーーそこまでシンパシーを感じていた役となると、演じるときもすんなりと入っていけたのでは?

 

吉沢:そうですね。最初から最後まで楽しんで演じることができました。

 

 

ーー映画を拝見させていただいたのですが、海藤がダークリユニオンと対面するシーンなどは、とくに笑わせていただきました(笑)。

 

吉沢:ダークリユニオンが実際に出てくるシーンは、僕も演じていてめちゃくちゃ興奮しました。ダークリユニオン側も、海藤の妄想の世界の人間だからテンションがすごいんですよ。お互い負けじと最上級のテンションで芝居するという感じがもう楽しくて…。

 

 

ーー吉沢さんの手振りやポージングが印象的だったのですが、あれはアドリブだったのですか?

 

吉沢:アドリブをしようと思っていたわけではないんですけど、やっていくうちに楽しくなって手数が増えていき、どんどんよく分からない方向にいっていました(笑)。毎回、違うことをしていたような気がします。

 

 

 

■山﨑賢人との爆笑・撮影現場とは…?

 

ーー以前、『銀魂』に沖田役で出演する際のインタビューでは、笑いを発信するタイプのキャラクターではないこともあり、福田監督が笑っていない瞬間は怖かったとおっしゃっていました。『斉木~』の現場では、福田監督を笑わせることはできましたか?

 

吉沢:今回はけっこう笑ってもらった気がします!「やってやったぜ!」という瞬間は何度かありました。

 

(C)2017映画「斉木楠雄のΨ難」製作委員会

 

ーーそれはよかったです!現場は、和気あいあいとした雰囲気で?

 

吉沢:賑やかでしたね。やっぱり福田監督の現場は笑い声が絶えない。モニターの周りにみんなが集まってきてゲラゲラ笑っているのが普通なんです。『斉木~』の場合は、本当に待ち時間の延長線上で本編を撮っているような感じでした。

 

 

ーー笑いどころが満載の作品ですが、吉沢さんが一番笑ったシーンはどこでしたか?

 

吉沢:橋本環奈ちゃん演じる照橋さんのシーンです。普段の照橋さんがあり得ないくらい可愛いからこそ、腹黒い部分が出てきたときに妙に説得力があるんですよね。あれだけ可愛かったら、ああいうドス黒い性格になってしまうのも無理はないのかな、と思っちゃいました(笑)。

 

(C)2017映画「斉木楠雄のΨ難」製作委員会

 

ーー橋本さんは『銀魂』に引き続き、変顔も炸裂していましたね(笑)。

 

吉沢:本当にギャップが素晴らしいですよね(笑)。

 

 

ーー吉沢さんから見た橋本さんはどんな方ですか?

 

吉沢:以前、『水球ヤンキース』というドラマで共演させていただいたことがあるんですけど、そのとき環奈ちゃんは”アイドルの橋本環奈”役で出演していて、僕は環奈ちゃんのめちゃくちゃファンという役柄だったんです。だから、未だに会うと緊張しちゃって…(笑)。

 

 

ーーファンのようにドギマギしてしまうのですね(笑)。

 

吉沢:ファンとしていたから、どう接していいか分からない(笑)。でも、すごく面白くて、良い子だなと思います。

 

 

ーー主演の山﨑賢人さんも同じく『水球ヤンキース』で共演し、その後も『オオカミ少女と黒王子』などで共演を重ねていますね。プライベートでも遊んだりするのですか?

 

吉沢:そうですね、たまに。今回の撮影の合間にも、賢人とはご飯に行ったりしました。

 

 

ーー現場での山﨑さんはいかがでしょう?

 

吉沢:賢人はプライベートでも現場に入っても、良い意味であんまり変わらないです。どこにいても「少年!」という感じで可愛らしい(笑)。『斉木~』でも、すごく楽しそうに演じていました。

 

(C)2017映画「斉木楠雄のΨ難」製作委員会

 

ーー一緒のシーンでは吉沢さんの迫真の演技に、山﨑さんが思わず吹き出してしまうこともあったと伺ったのですが…。

 

吉沢:賢人はすぐに笑っちゃうんですよ(笑)!賢人が笑うことによって、僕もつられて笑っちゃうことはありましたね。

 

 

ーーそれはやっぱり屋上のシーンでしょうか?

 

吉沢:屋上で賢人に駆け寄っていって「(ダークリユニオンが)文化祭を襲う気だぁぁ!!」と言うシーンですよね(笑)。あそこは賢人がずっと笑ってるから、僕も面白くなっちゃって…笑いを堪えるのが大変でした。

 

 

 

■怒涛の2017年は「いろんなことが詰まっていた1年」

 

 

 

ーー2017年は『LAST COP THE MOVIE』『トモダチゲーム』『銀魂』『斉木楠雄のΨ難』と映画はもちろん、舞台やドラマなど…幅広く活躍された1年だったかと思うのですが、ご自身で振り返ってみていかがでしたか?

 

吉沢:今年は、思い出すのが大変なくらい、いろんなことが詰まっていた1年だったと思います。1つ1つの作品に懸けるものがすごく大きかったので、時間の流れがすごく早く感じましたし、次から次へとお仕事をさせていただいたので頭の切り替えが凄まじく、1つの作品が終わると何も覚えてない…みたいなこともありました。

 

 

ーー作品を経験するごとに、自分の中の成長を感じたりもしましたか?

 

吉沢:漫画原作の作品もたくさんやらせていただいたのですが、全然違うキャラクターばかりだったので、自分の振り幅を広げられたのかなとは思います。

 

 

ーー来年、挑戦してみたいことは?

 

吉沢:こういうのがやりたいというよりは、いろんなものに挑戦して、もっともっと役の幅を広げたいというのがあります。ただ…プライベートではちゃんとした趣味が欲しいですね。ひたすら漫画ばかり読んでいて、家からでないので(笑)。

 

 

ーー(笑)。漫画とビールが日頃の癒し?

 

吉沢:相変わらず(笑)。

 

 

ーー趣味を見つけることが、来年の課題になりそうですね(笑)。

 

吉沢:楽しく体を動かせる趣味がほしいなと思いますね。気軽にやれるようなスポーツとかを趣味にできればいいなぁと思うんですけど…なかなか(笑)。

 

 

ーー応援しています!最後に、『斉木楠雄のΨ難』を楽しみにしているファンの方へメッセージをお願いします。

 

吉沢:なにかすごいテーマがあるわけでもないし、ただひたすらバカみたいなことをやっているんですけど(笑)、その中にも青春だなぁと、フワッと心温まるような瞬間がある作品です。なにも考えずに、楽しんで観てください!

 

Photography=Ryo Kameda
Interview=Ameba

 

 

【作品情報】

 


<STORY>
生まれながらに与えられたとんでもない超能力を隠して高校生活を送る、斉木楠雄。毎年恒例の一大イベント、文化祭で、なぜか斉木に想いを寄せる妄想しまくり美女や、超能力でも気配が読めないぐらいのバカなど、ワケありのクラスメイトたちがムダにカラんで、災難が次から次へとふりかかりまくる。ただ普通に生きたいだけなのに、何かの陰謀か?やっかいな恋と友情、そして超能力が吹き荒れる!そして、まさかの地球滅亡?!斉木は地球滅亡の危機を乗り越えることが出来るのか?

出演:山﨑賢人 橋本環奈
新井浩文 吉沢亮 笠原秀幸/賀来賢人 ムロツヨシ 佐藤二朗
内田有紀 田辺誠一
 

原作:「斉木楠雄のΨ難」麻生周一(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)
 

脚本・監督:福田雄一
 

主題歌:ゆず「恋、弾けました。」(セーニャ・アンド・カンパニー)

 

公式サイト:http://saikikusuo-movie.jp/


映画『斉木楠雄のΨ難』は10月21日より全国ロードショー。