「花とゆめ」(白泉社刊)で2013年から連載され、単行本総発行部数が200万部を突破する福山リョウコ原作の人気漫画を実写映画化した『覆面系ノイズ』は、歌うことが大好きな女子高生・ニノ(中条あやみ)が、幼い頃の初恋の相手・モモ(小関裕太)に自身の声を届けるため、幼なじみのユズ(志尊淳)とともに覆面バンド「in NO hurry to shout;」を組み、音楽活動に励む姿を描いた物語。

 

本作でニノの初恋の相手であり、高校生にして天才音楽プロデューサーでもあるモモを演じるのが俳優の小関裕太。どこか寂しさを抱えたクールなモモを見事に演じきった彼に、本作への思い、久しぶりの志尊淳との共演について、そして自身のブログについて話を聞いてきた。

 

 

■モモは「どこか心に傷を負っているスーパー高校生」

 

ーー小関さん演じるモモは、主人公・ニノの初恋の相手であり、高校生ながら作曲家・桐生桃として活躍するキャラクターです。どんなことを意識して演じられましたか?

 

小関:まず原作コミックでモモを見た時に、思っていることやバックグラウンドが目の奥に見える人だなと感じました。モモの中では音楽というものが心のよりどころになっていて、好きで極めていたら、いつのまにか天才音楽プロデューサーになっていた。天才的な能力を持ったスーパー高校生でありながらも、どこか心に傷を負っているようなところを意識して演じました。

 

©2017映画「覆面系ノイズ」製作委員会
 

ーーご自身との共通点はありましたか?

 

小関:モモは学生のときの自分とちょっと似ている気がします。

 

 

ーーというと、小関さんも学生時代はモモのようにクールだった?

 

小関:少し内にこもったり、自分の中に溜め込んだり。人と会う時間もすごく好きだったんですけど、どちらかというと1人で音楽を聴いたりする時間の方が好きでした。

 

 

ーー本当にモモみたいですね(笑)。

 

小関:そうですね(笑)。でも、そこから高校生後半〜二十歳前後でいろいろな人と出会って、ちょっとずつ性格が変わりました。ジャニーズWESTのメンバーやナオト・インティライミさんだったり、関西の陽気なエネルギーに溢れた方々と出会ったことで、少し明るくなったというか(笑)。

 

 

ーーモモがニノやユズと向き合うことで徐々に変わっていくところも、境遇が似ていたのかもしれないですね。劇中ではベースを演奏されていますが、今まで楽器の経験は?

 

小関:音楽が好きなのでいろいろな楽器に挑戦してきたんですけど、ベースは今回が初めてでした。

 

©2017映画「覆面系ノイズ」製作委員会
 

ーー実際にベースを弾いてみていかがでしたか?

 

小関:それがどんどんハマっちゃって(笑)。練習しているうちに次から次へと探究心が溢れてきちゃいました。バンドでベースを弾くシーンや、モモがその場でギターを弾いたりするシーンでは、自分の中でイメージするモモっぽい音を選んで弾いたので、そういった部分も楽しんでいただけたらと思います。

 

 

 

■2人だから生まれた、志尊淳とのセッションシーン

 

ーー映画を拝見させていただいたのですが、ユズ役の志尊さんとセッションをするシーンがとても印象的でした。素晴らしかったです。

 

小関:そう言っていただけて嬉しいです。あのシーンは緊張感のある中で、志尊ちゃんと気合を入れて演じたシーンなので、僕も大好きなんです。

 

©2017映画「覆面系ノイズ」製作委員会

 

ーー事前に何度も合わせたのですか?

 

小関:はい。一番難しかったのが、“セッションしている感じ”を出すこと。その場で音楽が生まれているシーンなので、お客さんに「あ、頑張っているな」と思われたくなかったんです。そのためには、曲を弾けるようになることはもちろん、手元を見ず、さらには考えているように弾かなければならない。とにかく撮影に入るまでの準備期間で、それぞれ練習して、現場でも何度も合わせました。

 

 

ーー志尊さんとは、今回が2度目の共演。以前共演したときもライバル関係だったと思うのですが。

 

小関:志尊ちゃんと初めて共演したのは、お互い10代のときにライバル役で。しかも身長も、最初は志尊ちゃんの方が高くて、僕が抜かして、また抜かされて…と成長期でもライバル関係(笑)。そういう時代を経ての再会がこの作品だったので、「2人だから生まれるものがあるといいね、頑張ろうね」という話はしていました。

 

 

ーーあのセッションシーンは、お二人だからこそ作り上げられた空気感だった?

 

小関:そうだと思います。僕にとっては、相手が志尊ちゃんということがすごく大きかった。信頼関係を築く時間が必要なかったので、時間がない中でも、より楽しみながら撮影できました。

 

 

ーーちなみに今回の共演までの空いていた数年間は、志尊さんと会っていたのですか?

 

小関:たまに「あれ見てるよ~」とか「頑張ってるね!」と連絡していたくらい。もちろん「志尊ちゃん、今何してるかな」って思うときはあったんですけど、直接会うタイミングはなかったです。

 

 

ーー数年ぶりに共演してみて、お互いの変化を感じましたか?

 

小関:志尊ちゃんは志尊ちゃんで、いろんな現場で味わった悔しさなどを経てここにいるんだなと、にじみ出てくるものをお芝居だけじゃなく、現場の雰囲気から感じました。僕が言うのもおこがましいですけど、「ああ、大人になったなぁ!」って。それと同時に「自分も変われてるんだな」という実感もできました。

 

 

ーー具体的にどんな部分が変化していたのでしょう?

 

小関:昔は、アクロバット対決をする役だったんですけど、どちらかが「バック転が出来るよ」と言えば「俺もバック転出来るよ」、「今日バック転しちゃおうかな」と言ったら「じゃあ俺もするわ」みたいな(笑)。そういった中学生、高校生ならではの競いたい気持ちがなくなりました。

 

 

ーー今回の現場では?

 

小関:今回はお互い「助け合おうね」という感じ。お互い落ち着いたなぁと感じましたね(笑)。

 

 

ーー2人とも成長したのですね(笑)。ところで、本作は音楽をテーマにした作品ということですが、小関さんの心に残っている音楽があれば教えてください。

 

小関:高橋優さんの『君の背景』という曲です。「抱きしめ合えば 君が背にした 背景を見渡せる その反対側を 君も見てたら 360°の世界 二人で見渡せる世界」という歌詞がとても好きなんです。

 

 

 

ーー「抱きしめ合えば、360°を見渡せる」って、とてもロマンチックですね。

 

小関:「抱きしめ合えば…」って恋愛のことかな?って思うじゃないですか。でもご本人に聞いたら、「実はこれは赤ちゃんを抱いている母親を見た時に生まれた歌詞なんだよ」って教えてくださって。

 

 

ーーなるほど……!

 

小関:母親に抱かれて背中越しにこっちを見ている赤ちゃんに変顔をしていたら、その赤ちゃんが笑って、それに気づいたお母さんが「ん?なんだろう?」とこっちを向いて…っていう。「そういう目線もあるんだ!そこから生まれたんだ!」といろいろな意味で突き刺さりました。

 

 

ーーいま、まさに突き刺さりました(笑)!

 

小関:もう…心がとろけますよね(笑)!

 

 

■ブログは「自分だけの表現ができる場所」

 

ーーお話は変わりますが、いつもブログを更新していただき、ありがとうございます。小関さんのブログは写真などにもこだわっていて、とても素敵だなと思いながら拝見していました。

 

小関:ありがとうございます。ブログは名前を検索した時に上の方に出てくることが多いですよね。なので僕は勝手に、ブログの印象=その人のイメージに繋がると思っていて…だからこそ、自分の好きなものを載せていきたいなと思っているんです。

 

 

ーー小関さんにとってブログとはどういったものでしょう?

 

小関:自分を応援してくださるファンの人とも直接的に通じ合えるものですし、自分のしたい表現ができる場所。簡単にクリックできちゃうけど、実はけっこう重たいものだと捉えています。

 

 

ーーもう7年も続けていただいますよね。

 

小関:僕、本当は飽き性なほうなんですけど(笑)、ブログは2010年の中学3年生のころから続けています。TwitterとかInstagramとはまた違う、長文で書ける場所なので長文で書くこともありますし、逆に長文で書けるところをあえて短文で書くことに意味があったりするのかなとか考えてみたり…。自分なりに遊びながら書かせていただいています(笑)。

 

 

ーーこれからもどんどん遊んでみてください(笑)。最後に、作品を観る方にメッセージをお願いします。

 

小関:この作品はただの恋愛映画ではなく、音楽映画でもあります。ベースもそうですし、ギターもピアノもドラムも作曲も。音楽に関するものごとがたくさん出てくるので、音楽を好きになってもらえるきっかけになったら嬉しいです。キュンとしていただきながらも、音楽好きの方にも楽しんでいただける作品になっていると思うので、ぜひ劇場でご覧ください。

 

 

Photography=Mayuko Yamaguchi
Interview=Ameba

 

■小関裕太オフィシャルブログ

 

 

【作品情報】

 

 

<STORY>

6年ぶりの再会が、初恋をもう一度奏でる―――。

高校2年生の有栖川仁乃(中条あやみ)は一度聴いたら忘れられない、人を虜にする歌声の持ち主。6年前に、幼馴染の男の子・モモが突然姿を消して以来、マスクが手放せないのは、感情が高ぶると叫び出してしまうから。幼い頃、何をするにも一緒だったニノとモモ。由比ヶ浜の浜辺で、「きらきら星」を歌ったとき、モモは「もしも会えなくなっても、お前の歌声を目印に会えたらいいよな」とつぶやいた。モモがそう言ってくれたから、ニノは歌うことを止めずにいる。いつか、その声がモモに届くと信じて―。

 

 

出演:中条あやみ 志尊淳 小関裕太 真野恵里菜 磯村勇斗 杉野遥亮

監督:三木康一郎 

 

脚本:横田理恵 三木康一郎

原作:福山 リョウコ「覆面系ノイズ」(白泉社「花とゆめ」連載)

主題歌:in No hurry to shout;「Close to me」(ソニー・ミュージックレコーズ)

エンディングテーマ:MAN WITH A MISSION「Find You」(ソニー・ミュージックレコーズ)

 

 

映画『覆面系ノイズ』は11月25日(土)より全国ロードショー。