人気お笑い芸人・バッドボーイズの佐田正樹の不良時代を描いた実録自伝小説・コミックスを映画化した『デメキン』(12月2日公開)は、幼少期から「デメキン」と呼ばれ、いじめられてきた佐田正樹(健太郎)が、福岡最大勢力の暴走族の総長へと登り詰めるまでを描いた青春グラフィティ。

 

本作で、主演を務めるのがドラマ『仰げば尊し』(2016年)、『テラスハウス』などで注目を集める若手俳優の健太郎。真っ赤な髪の毛で見事に暴走族の総長という難しい役どころを演じきった彼に、初主演映画への思い、撮影現場でのエピソード、そしてバラエティ番組での活躍について話を聞いてきた。

 

 

■撮影現場はまるで男子校!?

 

ーー健太郎さんは本作が映画初主演ということですが、"プレッシャー"のようなものはありましたか?

 

健太郎:ゼロといえば嘘になりますが、嬉しい気持ちのほうが大きかったので、プレッシャーに押しつぶされて「どうしよう…!」ということはなかったです。ただ、初めてなので、座長としての振る舞いがどうしたらいいかわからなかったので、今までご一緒した先輩方のようになれるかな?とは思っていました。

 

 

ーー健太郎さん演じる佐田正樹の親友・合屋厚成役の山田裕貴さんをはじめ、年上のキャストの方が多い現場で座長として現場を引っ張っていくというのはなかなか大変なことだと思うのですが、そういった部分ではいかがでしょう?

 

健太郎:そこは周りの方々に助けてもらったなと思います。実は、僕と山田さんは7歳も年が離れているんです。だけど、山田さんはいい意味で年の差を感じさせない。僕と同じ目線で接してくれて、とてもやりやすい環境を作ってくれました。もちろん山田さんだけではなく他のキャストのみなさんも、歳が離れていることを忘れてしまうくらい、同い年のような感覚で接してくださったので非常にありがたかったです。

 

©︎よしもとクリエイティブ・エージェンシー/ワニブックス/秋田書店・ゆうはじめ
©︎2017 映画『デメキン』製作委員会

 

ーーそうだったのですね。では、撮影現場も和気あいあいと?

 

健太郎:していました。くだらないことばかりやっていました(笑)。僕は共学だったので、男子校ってこんな感じなのかなと。

 

 

ーー例えば、どのようなときにそう感じたのですか?

 

健太郎:誰が一番多く食べたとか、誰が一番眠くないとかで張り合ったり、「ちょっとお前疲れてるんじゃないの?」「いや、疲れてねーし!」って言い合ったり(笑)。

 

©︎よしもとクリエイティブ・エージェンシー/ワニブックス/秋田書店・ゆうはじめ
©︎2017 映画『デメキン』製作委員会

 

ーー劇中のように仲の良い現場だったのですね(笑)。

 

健太郎:すっごく良かったですよ!気持ち悪いくらい(笑)。撮影が終わることをみんな本当に残念がっていました。「終わりたくなーい!」とずっと言っていました。いまでもたまに連絡を取り合っていて、「みんなでごはんに行けたらいいね」と話しています。

 

 

■『デメキン』では「今までの自分にはないものをにじみ出せた」

 

ーー今回は不良役ということで、真っ赤な髪の毛のビジュアルにも注目が集まっています。こちらは地毛ですか?

 

健太郎:地毛を染めています。ブリーチを2回くらいしたんですが、撮影している間にだんだん色が抜けてきてしまったので、最後の大乱闘の撮影前日にもう1度入れ直しました。

 

 

ーーリーゼントヘアもキマっていました。

 

健太郎:リーゼントのときは、なぜか風が強い場所での撮影が多くて(笑)、スプレーでガッチガチに固めました。今回の撮影での髪へのダメージはものすごかったと思います…(笑)。

 

©︎よしもとクリエイティブ・エージェンシー/ワニブックス/秋田書店・ゆうはじめ
©︎2017 映画『デメキン』製作委員会

 

ーー大変でしたね…(笑)。内面の役作りとしては、どんなところを意識しましたか?

 

健太郎:とにかく誰よりも僕が、この作品を楽しむことが一番だと思って演じていました。自分が『デメキン』の世界を楽しく生きることができたら、それが一番の役作りになるなと。監督にも楽しむように言われていましたし、ほかのキャストのみんなとも話して。佐田さんが当時のことを喋っているときって、すごく楽しそうなんですよ。

 

 

ーー佐田さんのそういった姿を見て、健太郎さんご自身が楽しむことが最大の役作りだと。

 

健太郎:はい。最初は無理やりにでも楽しもうとしていたんですが、演じていくうちに心から楽しめるようになっていき、佐田さんとも「本当に(当時の日々が)楽しそうですよね」と話していました。体力的にキツイということすらも楽しかった。この作品では、今までの自分にはないものがにじみ出せたんじゃないかなと思います。

 

 

ーー佐田さんとは、役作りの面でもけっこうお話されたのですか?

 

健太郎:佐田さんがスケジュールの可能な限り現場に来てくださったので、「この時どうだったのかな~」と気になったら直接聞きにいって。演じる役のご本人とお話ができる機会はなかなかないので、とても助かりました。

 

 

ーーなるほど。劇中では激しいケンカのシーンも多いですが、演じてみていかがでしたか?

 

健太郎:気持ちよかったです!ある程度の形を決めてもらってからやるのですが、全部がうまくいった瞬間はスッキリとした気持ちに。1000ピースのパズルの最後の1ピースをパチッてはめた時の感覚みたいになるんです(笑)。

 

 

ーー「やってやったぞ!」という達成感のような?

 

健太郎:蹴りも殴りも全部がパンッと終わった時は、「よっしゃ、決まったー!」って。こんなにガッツリとアクションをやるのも初めてでしたし、そもそも人をボコボコ殴ることって普通の生活ではないじゃないですか。だから楽しんでやらせていただきました。

 

©︎よしもとクリエイティブ・エージェンシー/ワニブックス/秋田書店・ゆうはじめ
©︎2017 映画『デメキン』製作委員会

 

ーー飛び蹴りやジャンプをして殴り掛かるシーンなども印象的でした。ジャンプはものすごく高くて。

 

健太郎:ジャンプ力はいろいろな場面で培われてきたものがあるかもしれないです。バスケとか、スノーボードとか縄跳びとか。あとは中学生の時にプロレスごっこが流行って、ドロップキックはその時から得意でした!

 

 

ーー縄跳びをやられてたんですか?

 

健太郎:小学校の頃、全校生徒で縄跳びをする時間があって。ハヤブサで二重跳びや三重跳び、ほかにもいろいろな技を取得したので縄跳びに関しては自信があります(笑)。

 

 

ーー健太郎さんのジャンプ、お見事でした(笑)。ちなみに健太郎さんは、正樹にとっての厚成のような存在のご友人はいらっしゃいますか?

 

健太郎:俳優仲間だと「DISH//」のメンバーの北村匠海さんです。ドラマ『仰げば尊し』で初めて会ったのですが、なかなか自分と同じ97年生まれの俳優さんって少なくて。彼は学年も一緒でまったく同い年。それが僕たちの中でも珍しくて、「え、同い年なの?」とすぐに打ち解けました。

 

 

ーー北村さんも今年、初主演映画が公開されましたよね。

 

健太郎:『君の膵臓をたべたい』、観に行きました。……なんか、くっそ~、いいなぁって感じでした(笑)。

 

 

ーー『デメキン』とは真逆のタイプの映画ですもんね(笑)。

 

健太郎:そうなんですよね(笑)。彼も『デメキン』観に行くよって言ってくれているので、感想を聞くのが楽しみです。



■『テラスハウス』では「素の自分に戻ってしまうときも(笑)」

 

 

ーーお話は変わりますが、健太郎さんは『テラスハウス』(フジテレビ系)にも出演されていましたが、バラエティ番組のお仕事はいかがですか?

 

健太郎:『テラスハウス』は、映画やドラマとは違った部分で頭を使います。面白い人達が集まっている中で、自分が切り込んで喋っていかなければならない。役者のお仕事とは別の難しさがあるなと感じています。

 

 

ーーみなさん、それぞれコメントが面白いですよね。

 

健太郎:それぞれの意見に「なるほどな」と思います。YOUさんはやっぱり大人な意見なので「そういう見方もあるのか」という新しい発見がありますし、山里さんが言っていることもわかりますし(笑)。

 

 

ーーでも健太郎さんも他のみなさんに負けないくらいスバッとコメントされている印象です。

 

健太郎:そうですかね(笑)。あの雰囲気も相まって、素の自分に戻ってしまうというか、ブレーキが効かずに出てしまうというか…。ちょっと言い過ぎちゃったかなと反省するときもありました…(笑)。皆さんはやはりおしゃべりのプロなので、毎回勉強でした。

 

 

ーー素の部分が見えると、ファンの方は嬉しいと思いますよ(笑)!これからチャレンジしてみたいお仕事などはありますか?

 

健太郎:オタクだったり、今回の暴走族の総長だったり、たくさん変わった役柄をやらせていただいてますが、これからもいろいろな役に挑戦していきたいです。最終的には、どの作品を見ても「あ、健太郎ね」とならない、同一人物に見えないような役者になりたいと思います。

 

 

ーー最後に、暴走族に青春を捧げた少年たちのお話ということで、健太郎さんが青春を捧げたものを教えてください。

 

健太郎:高校時代に所属していた応援団です。体育祭前の2週間だけなのですが、OBが教えに来て、怒鳴られながら練習するようなけっこう伝統のある応援団で。それと同時に俳優としての初作品『昼顔』の撮影をしていました。撮影と練習の日々で。僕は団長をやっていたのですが、撮影があって練習を休まなければいけない時に副団長が支えてくれて。それが青春の一番の思い出です。

 

Photography=Mime Soga

Interview=Ameba

 

 

【作品情報】

 

 

<STORY>

幼少期、“デメキン”と呼ばれていじめられていた佐田正樹(健太郎)は覚悟を決めて拳を握り、中学時代にはケンカで敵なしの存在になっていた。赤髪リーゼントがトレードマークの正樹は高校に進学してもケンカ三昧の日々。そんなある日、バイク事故で死んだ憧れの暴走族・総長、真木(栁俊太郎)を思い返していた親友・厚成(山田裕貴)に、「福岡一のチームを作ろう」と誘われてチーム「亜鳳」を結成する。そんなふたりの前に次々と血気盛んな敵が立ちはだかる。

 

 

原作:佐田正樹『デメキン』

監督:山口義高

脚本:足立紳

出演:健太郎 山田裕貴 栁俊太郎 今田美桜 髙橋里恩 田中偉登 福山翔大 三村和敬 藤木修 岩永ジョーイ 神永圭佑 成田瑛基 笠松将 黒石高大 くっきー(野性爆弾) ケン(水玉れっぷう隊) 坂田聡 ほか

 

 

映画『デメキン』は、12月2日(土)よりシネマート新宿ほか全国ロードショー