1月5日(金)よりNHK総合で放送される連続ドラマ『女子的生活』は、男性として生まれたが、見た目は女性で恋愛対象も女性というトランスジェンダーのヒロイン・みき(志尊淳)と、同級生だった男・後藤(町田啓太)の奇妙な共同生活を描いた痛快ガールズストーリー。

 

本作で、トランスジェンダーのみきという難しい役どころを演じたのが俳優の志尊淳。ビジュアルが公開されると、「可愛すぎる」とたちまち話題になった志尊に、初めての役柄へのアプローチ法、共演の町田啓太らとの撮影エピソードなどを聞いてきた。

 

 

■みきの頑張る姿には「僕も背中を押されました」

 

ーー本作で、志尊さんは「小川みき」というOLを演じられています。男性が女性を演じるというのはとても難しいと思うのですが、どのようなところから役作りをしていきましたか?

 

志尊:女性の所作指導をしてくださっている先生が実際にトランスジェンダーの方なので、色々とお話を伺いながら役作りをしました。

 

 

ーートランスジェンダーの方々と会って、驚いたことや学んだことはありますか?

 

志尊:今、LGBTにあてはまる方は日本の約13人に1人の割合でいて、ほとんどの方がカミングアウトをしていません。そういったいわゆる「埋没型」と言われる皆さんに対して、もちろん偏見はないですが、こんなに多くの方が悩んでいたのか、などとにかく知っているようで知らない「真実」というものを全然知らなかったんだな、と痛感しました。このドラマをきっかけに、(LGBTの方々が)もっと過ごしやすい環境に日本がなるよう、少しでも役立てたらいいなと思います。その為に撮影を通じて自分ももっと勉強しています。

 

 

ーーなるほど。

 

志尊:今回ドラマで女性の格好をしてみて、共同トイレじゃなかったらトイレにも入りづらいということ、他にも、日々色々な不自由があることに気づいたんです。LGBTの方々は何かが特別だと思っているわけではないので、僕らも同じようにフラットな世界になればいいなと感じました。

 

 

ーーこれまでもLGBTをテーマにしている作品はたくさんありましたが、どれもシリアスな物が多かったというか。『女子的生活』は明るくて痛快なOLの物語というところが素敵ですよね。

 

志尊:僕もそこにすごく惹かれました。LGBTだから悲劇のヒロインであるとか、可哀想だとかそんなことはなくて。トランスジェンダーということを忘れるくらい前向きに暮らしている「みき」という主人公がいて、その頑張る女性の姿には、僕自身も背中を押されました。

 

 

ーーOLさんは特に、同世代の方は絶対に共感したり、元気づけられるお話だと思いました。

 

志尊:そうなんです。ドラマの中でアウティング(※)というLGBTの問題にクローズアップしたお話があるのですが、皆さんが日々過ごしている会社や学校でも同じような事件ってあると思うんです。LGBTでなくても自分の意に反することをやられてしまったり、無理強いされたり、社会の中で理不尽なことってたくさんあると思うので、女性はもちろん男性にも興味深く感じていただけるのではないかなと。

(※LGBTに対して、本人の了解を得ずに、公にしていない性的指向や性同一性等の秘密を暴露する行動のこと)

 

 

■「女性の努力には気付いてあげたい」

 

ーー今回、女性の日々のお化粧やコーディネートを体験してみて、「女子って面倒だな〜」って思いましたか?

 

志尊:面倒だな、とは思いません。むしろすごいなって思います。僕が普段全く何もしない人なんで、女性ってこんなに日常で美に気を遣っているんだなって。髪型が変わったり、ネイルをしていたりしたら、気付いて言ってあげたいなって思います。あとは、僕が女性の格好をしているとスタッフさん達がレディーファーストで色々としてくれて、レディーファーストって素晴らしいなと思って率先してやっていきたいです。

 

(c)NHK

 

ーーこれからの志尊さんの私生活にもかなり影響を与えそうですね。

 

志尊:本当にたくさん影響受けました!これまで、女性の変化に気付いて伝えることって、強かに思われそうで出来なかったんですね。僕、トラウマがあって……。昔、女性のスタッフさんに「髪の毛切りました?」って言ったら「うわ、チャラい!」って言われて、そこから気付いていても絶対言わないって頑なになっていて(笑)。でもこのドラマを通して、やっぱり女性の努力には気付いてあげたいなって思いますし、それをさりげなく伝えることのできる男になりたいと思えました。

 

 

ーー気付いてもらって言われたら女性は嬉しいはずです!そして言われた女性側も照れて茶化したりしちゃダメですね。

 

志尊:照れずに素直に受け止めてくれたら、お互いがハッピーな気持ちになれるんじゃないかなって思いますね。

 

 

ーー志尊さんご自身は美容には無頓着ということですが、それでいて美肌やスタイルをキープされているのがすごいです!

 

志尊:メイク落とさないまま寝ちゃうこともたまにあるし、化粧水もこの仕事をしていなかったら絶対やっていない(笑)。お手入れも仕事の一環だと思ってやっていますけど、仕事だと思っていても大変です。眠さが勝っちゃう…。

 

 

ーーそういうとき、女性でもあります…(笑)。

 

志尊:でも、体型については気にします。役柄によってすごく極端なので、『きみはペット』の時のバレエダンサーの役では体脂肪3%まで落として、その後の『帝一の國』ではプクっと見せないといけないから7kgくらい太って……。今が一番自然体です!どうしてもこのお仕事だと、ロケ弁が多くて茶色いおかずが多いので、ご飯屋さんに行った時には積極的に野菜を食べたりしています。

 

 

ーー日々の忙しい撮影の合間にもそういった苦労があって、志尊さんの幅広い役作りが成立しているのですね。町田啓太さん演じるサラリーマンの後藤とは共同生活をはじめることもあり、共演シーンが多いと思うのですが、町田さんの印象はいかがですか?

 

志尊:爽やかで、絵に描いたようなイケメンで、超いい人です。女子だったら惚れるなって思います。飾っていないし、無邪気な男の子っぽさがあって、マチ(町田)本人にも言っていますけど、犬みたいです。マチが現場に来ると空気が明るくなる。後藤と言う役柄的にも、みきをかき乱す役なので、お芝居を通していくうちに実際にも良い関係になれたんじゃないかなと思います。

 

(c)NHK

 

ーー玉井詩織さん、小柴風花さんとのシーンはいかがでしたか?

 

志尊:詩織ちゃんは「ももいろクローバーZ」のメンバーということもあって、若くてキャピキャピしているのかなと思いきや、結構クールな所が意外でした。逆に小柴風花ちゃんの方がクールかと思いきや、ザ・女子!という感じで(笑)。僕、末っ子なので、もともと年下の子とどう接して良いのか分からなくて、すごく気を遣っちゃうんですよ。でも詩織ちゃんと、風花ちゃんとは撮影中に無事に仲良くなれました。

 

 

■大活躍の2017年を振り返って。2018年の目標は…?

 

 

ーー放送は1月からということで、2017年を振り返ってみてどんな1年だったかを教えてください。

 

志尊:有難い事にとにかく忙しい一年でした。そして挑戦する役柄やお仕事が多かったです。この『女子的生活』の女性役もそうですし、『植木等とのぼせもん』では小松政夫さんというご存命の方を演じさせていただくのもすごくプレッシャーでしたが良い経験でした。たくさんの方に知っていただく機会が増えて、僕にとっては最も幸福な一年だったのですが、2018年も仕事に対するスタンスというのは全く変わらないので、自分なりに役に向かって、どんどん新しいことに挑戦していきたいと思います。

 

 

ーー2018年、プライベートで挑戦したいことは?

 

志尊:したことないこと、いっぱいしたいですね。スカイダイビングとか! この仕事をしていると、言っていれば叶いそうな気がするので、やりたいですと言っておきます。あと、今年は撮影でたくさん地方に行ったのですが、それこそ地方に行った距離で行ったら世界一周出来そうなくらい(笑)。なので、2018年は地方での撮影であったたくさんの人にプライベートで会いに行きたいです。

 

 

ーーそれは素敵な目標ですね。最後に、この記事を見ている日々頑張っている女性の皆さんにメッージをいただけますでしょうか?

 

志尊:今回女性役という貴重な経験をさせていただいて、OLさんの毎日って本当に忙しいと思いました。朝早く起きて、服決めて、メイクして、体に良いもの食べて、体冷やしちゃいけないし……。僕だったら絶対耐えられない。なのに、皆さん当たり前のようにされていて、笑顔で過ごしていて、すごいです。かっこいいです!ドラマ『女子的生活』のみきちゃんも、毎日忙しく働きながらオシャレを楽しんで、色々なことを乗り越えていきます。きっと共感できるところだったり、元気がもらえるシーンだったり、皆さんに楽しんでいただけるので、ぜひチェックしてください。

 

Photography=Mime Soga

Interview=Ameba

 

 

ドラマ『女子的生活』は1月5日(金)よる10時よりスタート