天堂きりん原作のコミックを実写化したドラマ『きみが心に棲みついた』(1月16日(火)スタート)は、過去の恋愛にトラウマがある主人公・小川今日子(吉岡里帆)が、2人の対照的な男性、吉崎幸次郎(桐谷健太)と星名漣(向井理)の間で揺れ動きながら成長していく様を描いた三角関係ラブストーリー。
本作で、"キョドコ"というあだ名をつけられるほど挙動不審で臆病な主人公・今日子を演じるのが女優の吉岡里帆。2017年冬に放送された『カルテット』で話題を集め、瞬く間にブレイク女優の階段をのぼりきった彼女に、初主演連続ドラマへの意気込み、現場の雰囲気、そして今日子=キョドコというキャラクターについて話を聞いていた。
■「初日から目頭熱いものが…」ファミリー感溢れる"きみ棲み"撮影現場
ーー『カルテット』では、”カルテット”をかき乱す来杉有朱役、『ごめん、愛してる』では心の優しいヒロイン・三田凛華役と、連続ドラマでその存在感を発揮してきた吉岡さんですが、1月スタートのTBS系火曜ドラマ『きみが心に棲みついた』では、いよいよ初主演を飾ることになりました。まずは、連ドラ初主演が決まったときのお気持ちから教えていただけますか?
吉岡:お話をいただいたときはプレッシャーを感じましたし、クランクインするまで緊張感でいっぱいでした。でも、いざ現場に入ると、そこにはお世話になってきたスタッフさんがたくさんいらっしゃって…。TBSさんでは、『カルテット』『ごめん、愛してる』や『死幣』などでずっとお世話になってきたので、スタッフのみなさんが顔を見るたびに「一緒に頑張ろうね」と声をかけてくださるんです。ファミリー感に溢れていて、とても頼もしい現場だなと感じています。
ーー心地のよい現場なのですね。
吉岡:そうですね。それにスタッフさんだけではなく、共演者の方々にも支えられています。ムロ(ツヨシ)さんは共演回数も多く、身近で見てくださっている先輩なので、顔合わせのときに「吉岡の初めての主演を、のびのびとできるように僕もサポートしたいと思います」って言ってくださって。
ーームロさんとは、映画『幕が上がる』『明烏』などで共演されていますね。
吉岡:私、『幕が上がる』のときに、ムロさんに相談したんです。「セリフも少ないし、自分には本当に存在感がない。私はどうすれば良いのでしょうか?」と。そうしたら、ムロさんが「ガッツが足りていないんだと思うよ、単純に。もっと必死に、がむしゃらにやらないと良い役や良いセリフはもらえないよ」とアドバイスをくださったんです。この話をするとムロさんに恥ずかしいからやめろって怒られるんですけど…(笑)。
ーー(笑)。
吉岡:でもそのときのムロさんの言葉が私にとってはすごく嬉しくて、鮮明に覚えていて。こういった形でムロさんとまた共演させてもらえるのは非常に嬉しいですね。
ーー他のキャストの方々とはお話されましたか?
吉岡:鈴木紗理奈さんや瀬戸朝香さんも「とにかく味方だから。大丈夫だよ」と声をかけてくださったり。とにかく初日から目頭熱いものがありました…。本当に周りの方々に恵まれています。
ーー現場では、主演ということもあり、吉岡さん自ら積極的にコミュニケーションをとっているのですか?
吉岡:はい。撮影に入る前から現場のみなさんと積極的にコミュニケーションをとっていこうと決めていました。自分の主演作品としての「組」をつくる気持ちで。人とのコミュニケーションもそうですし、役への向き合い方も。「この子と一緒にやって良かった」と思われるように必死に演じたいと思います。
■主人公・今日子は「ダメな人間なんですよ(笑)」
ーー原作を拝見させていただいたのですが、新しいタイプの女性漫画だなという印象です。吉岡さんはどのような印象を受けましたか?
吉岡:女性漫画らしからぬ描写がけっこう出てきますよね。キラキラした、キュンとする中にも、じんわりと毒素が入っているようなイメージ。私は人間のダメなところが魅力だと思っているので、登場人物がしっかりと”人間くさく”描かれているところがこの作品の魅力だと思っています。
ーーとくに吉岡さんが演じられる今日子=キョドコというキャラクターは、普通の漫画のヒロインとは一味違いますよね。
吉岡:そうなんです。みなさんに好かれるような、美しくて、純粋無垢で、天真爛漫な主人公ではない。根性はひん曲がっているし、情けなくて、いつもキョドキョドしていて、ダメな人間なんですよ(笑)。この間、原作者の天堂きりん先生とお話させていただいたときにも、「もし、キョドコ(今日子)を演じて国民のみなさんに嫌われちゃったらごめんね」って言われて(笑)。
ーーそれほど強烈なキャラクターだと。
吉岡:きりん先生いわく、作品をつくるときは、だいたい「こういう子のほうが愛されるだろうな」「こういう子のほうが支持を集めるんだろうな」ということを考えるらしいんですけど、今日子はそういうことを一切考えずに、描きたいものを描いたキャラクターらしく(笑)。でも、そのダメな部分というのが、すごくやりがいがある部分だとも感じています。
ーーというのは?
吉岡:なにをやるにも自信がない、そして失敗する。そんな今日子のようなダメな人間でも、死ぬ気で、必死になれば人に立ち向かっていくことができる。「キョドコ(今日子)ができるんだから、自分にもできるはず」と様々な悩みを抱えている方々にパワーを届けられるといいなと。
ーーなるほど。ちなみに演じていて、今日子に共感する部分はありますか?
吉岡:自己評価が極めて低いという部分は、すごく共感します。私もどんなに評価していただいても、自信がベースにないタイプ。自信を持てた瞬間に、私は頑張れなくなるんじゃないかってくらい。常に、もっと良くなりたい、周りの人に迷惑をかけたくない、自分なんかがこんな大役もらっているんだから、もうこれが最後かもしれない……という思いがあって、自信のなさが原動力になっているんです。追い込み癖のようなものは、似ているところですね。
■吉岡里帆は吉崎派?星名派?
ーーそんな今日子は、吉崎さん(桐谷健太)と星名さん(向井理)という2人の男性の間で揺れ動くことになります。吉岡さんはどちらの男性に惹かれますか?
吉岡:私は断然、吉崎さんです。今日子のように本当に星名さんのことを好きになってしまったら、最後まで向き合うとは思うんですけど……いや、やっぱり人を傷つけていいと思っている時点で、(星名さんとは)合わないかな(笑)。ぶっきらぼうでも、根底には温かさがある人じゃないと。
(c)TBS
ーー星名さんはかなりひどいこともしてきますもんね。
吉岡:辛辣な言葉も投げてきますからね。言葉の暴力が一番いやなので。
ーーお芝居だと分かっていても、傷ついたセリフなどはありますか?
吉岡:凹んだセリフはいっぱいありますよ~(笑)。それに、仲良くしていた時間があるのにも関わらず、目の前で違う女性に優しく微笑みかけ、こっちには冷たく、蔑んだ目を向けられるときとかも、お芝居だと分かっていても傷つくなぁって思いますね。そんな目で見なくてもっ…!って(笑)。
(c)TBS
ーー吉岡さんがそこまで傷つくということは、向井さん演じる星名さんもかなりの迫力なのですね。
吉岡:向井さん演じる星名さんは、とても鋭いと思います。鋭利な刃物のような存在感。ねちっこく、嫌味ったらしくというよりも本当に爽やかに、淡々と演じられているので。
ーーそれが逆に怖そうです…。
吉岡:そうなんですよ!「悪いことしてやろう!」という悪代官みたいな感じではなく、爽やかに、軽やかに、今日子を弄ぶのですごく怖いなと思います。
ーー余計、吉崎さんが恋しくなるような(笑)。
吉岡:桐谷さん演じる吉崎さんは、心のオアシスです(笑)。でも、なぜ、今日子がそこまでされてもまだ星名さんに執着するのか、というのが物語の肝でもあり、それが描かれてくるとお話もすごく面白くなってくるので、ぜひ注目してほしいです。
Styling=圓子槙生
hair&make=渡邊良美
Photography=Mayuko Yamaguchi
Interview=Ameba
ビスチェ/writtenafterwards
スカート/writtenafterwards
アクセサリー/un by yoshida tomoyo
火曜ドラマ『きみが心に棲みついた』
TBS系 1月16日スタート 毎週火曜よる10時(初回15分拡大)