統一歴17年...僕たちは、まだ戦っている。20年前の今日...「最後の戦士」として集められた。

   始まりは「地球国家統一」を目指すオセアニア連邦と、各国の「独立尊重」をうたうユーラリカ連合の、約200年にもおよぶ大戦だった。
    開戦からおよそ100年間、通信撹乱ガス「ショウコミュ」と、非核化平和宣言が仇となって、世界規模の紛争は泥沼化した。一度は協定で使用禁止となった大量殺戮兵器の投入によって、開戦時の実に10分の1にまで人口は減少した。それでもなお両国家は争い続けた。
    中期になると、戦力の枯渇からユーラリカ側は作業用ロボットの改良型である「ロイド」を、オセアニア側はクローン技術で生み出した人造兵「ポーン」を戦争の道具として投入した。当初は物量に勝るユーラリカが圧倒したものの、プログラム制御の機械「ロイド」に対し柔軟な思考と高度な戦闘技術に秀でた「ポーン」は瞬く間に勢力地図を塗り替えていった。しかし、戦線が拡大するにつれ、戦力分散と伸びきった補給線の維持が困難となって、圧倒的な戦力差を翻す程の決定打とはならず膠着状態に陥った。その間にも荒廃によって人類はさらに半減...総人口5億にも満たなくなっていた。
    ようやく事の深刻さに気が付いた、両国首脳は、疲弊しきった世界に終止符を打つべく会談を持った。結果それぞれの代表者4名のチームを戦わせ勝った国の方針に従う事を合意した。西暦2997年7月16日こうして新人類「ノウ」による代理戦争「GAME」が始まった。
   ルールはたった2つ... 殺してはならない、そして敵を愛せ...おおよそ紛争を解決する手段とは考えられない、茶番とも言うべきシバリの中、まさにゲームが開催された。
   いま思えば、他人任せのゲームで決着をはかるなら、最初からサイを振るなりクジを引くなり、どんな方法でも争いを終わらせる事はできただろう。
   誰も想像し得なかった結末で彼らの望みはある意味叶えられた。だが、人類は絶滅寸前...誰がための統一だったのか。機械とクローンが戦闘の主役となった100年前、もはや人類は歴史の舞台から降板していた。それでもなお、僕たちは戦う。
    「彼を救う」たったそれだけの為に反旗を翻し続ける...全世界を敵に回して。