第15回全国小学生倉敷王将戦熱戦譜 | 岡山県将棋情報

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8月6日に倉敷芸文館で行われた「第15回全国小学生倉敷王将戦」の低学年の部3回戦(2連勝同士の対局)からその途中図からになりますがご紹介いたします。選手以外の一般の方は間近で彼らの将棋を観ることはできないが幸いにも不定玉は本大会の報道記者の一人であるため観戦することができた。低学年とはいえこのクラスになると見ていて興味深いものがあります。

          (第1図)

本局はあちこちの対局を撮影していたため途中から足を止めての観戦となりました。棋譜は(第1図・△3三桂)からとなります。すでに後手が銀損で悪いのですが、ここから後手の辛抱の将棋が続きます。

先手:Eくん(3年生)後手:Sくん(2年生)Eくんは一回戦、福岡のHくん、2回戦で大阪の強豪Hくんを破り二連勝。Sくんは一回戦、おいらせのNくん、二回戦は埼玉のIくんを下しこちらも二連勝。指し手を進めるとしよう。

▲7四銀=用心深い手、単に▲7四歩は△5七歩成、▲同歩、△6五桂と活用される。△7二金、▲3五歩、△3六飛、▲3四歩、△同飛、▲1六角、△3六飛、▲3四歩、△5七歩成、▲同歩、△5六歩=7六の銀を取り場合によっては7七角と刺し違える順はないのかと思ったが、対局者心理としては3六の飛車が攻防になるので動かしたくなかったのだろう。むしろ5筋の位を活かすほうを選んだようだ。

▲3三歩成、△同銀、▲5六歩、△同飛上、▲4五桂、△5七飛成、▲3八玉、△3七歩、▲2八玉、△5五飛、▲3四歩、△4四銀、▲3三歩成、△同銀、▲同桂成、△同玉、

▲4六銀=一見厳しいようだが、ここでは6七桂を推奨したい。角を守りながら確実に桂馬で飛を手に入れられる。△7七竜、▲同桂、△5四飛、▲4五銀、△5七飛成、▲3四銀、△2二玉、▲4三銀成、△5五角、▲3四桂、△3一玉、▲3五飛、△3六桂、▲同飛、△4七竜、▲4二桂成、△2二玉、▲3二成桂、△1二玉、▲3三飛成、△3八歩成、▲1八玉、△3三角、▲同成銀、△3二金、

▲3八銀=ようやく辛抱に辛抱を重ねてきた後手にも攻勢にでるチャンスが巡ってきた。△3六桂=Sくんらしい詰めろのかけ方で後手もようやく面白くなってきたところか。

▲3九金=詰めろを消した手。

      (第2図)
(第2図)=ここが終盤の最大の山場、最後の長考で△4一竜で受けに回る手と本譜のように△4八飛と手厚く攻める指しかたを考えていたようだ。結果後者を選択したが、これがいけなかった。ここは手持ちの飛を温存し、(飛を渡さず)△4八竜と押し売りしていればとることができないし、適当な受けが無いので後手勝ちだった。受けのない先手、加藤が負けようがもう行くしかない。そうなると後手が手厚く攻めようとして4八の地点に飛を打って渡したのが敗着となってしまった。終ってみれば先手はギリギリの勝ちとなる接戦だった。


            

         (最終図)

以下▲同金、△同竜、▲2四桂、△同歩、▲3四角、△2三桂、▲同成銀、△同金、▲同角成、△同玉、▲3五桂、△3四玉、▲2三角、△3五玉、▲3三飛、△4六玉、▲5六金(最終図)まで先手の勝ち。

S君、あと一歩のところで予選通過ならなかったけど初出場ながら最後までよく諦めず敢闘し見せ場を作ってくれました。きっと来年も良い将棋を見せてくれるでしょう。感動ヾ(´▽`;)ゝ