<2010年12月20日の記事の再掲>

 

給食費不払いはモラルの低下を意味するのか?

 

 学校給食費の未納額が全国で26億円あるというニュースを見たら、わざと払わない悪質な保護者がさぞかし多いと思いがちですが、2つの調査結果の統計を分析すると、見えてくるものがあります。

2005年の都道府県別学校給食費滞納率(文部科学省調査)と都道府県別完全失業率(総務省調査)のデータをみてみましょう。

 

 

【2005年学校給食費滞納率】

(全国平均は0.98%)

1位…沖縄県(6.26%)

2位…北海道(2.44%)

3位…宮城県(1.85%)

4位…大分県(1.63%)

5位…福岡県(1.56%)

6位…長崎県(1.48%)

7位…岩手県(1.46%)

8位…群馬県(1.46%)

9位…千葉県(1.44%)

10位…佐賀県(1.40%)

11位…鹿児島県(1.40%)

12位…茨城県(1.40%)

 

【2005年完全失業率】

(全国平均は4.4%)

1位…沖縄県(7.9%)

2位…青森県(6.0%)

2位…大阪府(6.0%)

4位…福岡県(5.9%)

5位…北海道(5.3%)

6位…高知県(5.1%)

7位…宮城県(4.9%)

7位…兵庫県(4.9%)

9位…秋田県(4.8%)

10位…東京都(4.7%)

10位…京都府(4.7%)

10位…鹿児島県(4.7%)

 

 全国の44%の学校で給食費未納があり、全国平均で0.98%の児童生徒に未納問題が生じています。全国で最も滞納率が高かったのは沖縄県の6.26%です。地域的に見ると、北海道、東北北部、北関東、九州で滞納率が高い。

そして、調査が行われた2005年の他のデータと相関分析したところ、有意に相関している(科学的に密接だと実証できる)ものがいくつかあります。

完全失業率や父子・母子家庭率と正の相関が高く、高校生就職内定率と負の相関が高い結果が出ました。つまり、高校生の就職内定率が低く、完全失業率が高く、ひとり親家庭が多い地域で給食費の滞納率が高いということになります。

給食費の滞納問題をめぐっては親のモラルの問題が報じられていますが、データを見ると、失業などの経済問題と密接に関係していることが分かります。

 

 「給食費滞納問題は、お金があるのにモラルのない親のせいだ」というマスコミの報道がいかに真実をねじ曲げているかということと、大多数の人々が、その報道で洗脳されて、信じてしまったということです。

でも、実際は失業対策や貧困対策に力を入れない政治が悪いんです。お金に余裕のあるアホな親が悪いと思わされていたんです。

 

 ある情報を聞いた時、感情だけで考えずに、科学的に分析してみると、その情報が真実かデタラメかが見えてきます。

 

2005年学校給食費滞納マップ