「ナチュラルキラー」という言葉の響きが好きです(笑)

これまで栄養面や生活面での工夫について述べてきましたが、最終の今回は白血球の組織のひとつ、NK細胞の働きについての話です。

白血球などの免疫系の話って、個人的には面白いと思います。

 

<2012年2月10日の記事の再掲>

 

NK(ナチュラルキラー)細胞 (←リンクあり)が、体でどんな働きをしているかご存じですか?

白血球のリンパ球の一種で、全身をくまなくパトロールし、ウイルスが感染した細胞や出来たてのがん細胞の芽を次々にやっつけてくれています。NK細胞は体の免疫力を知るバロメーターでもあります。

免疫力は20歳をピークにだんだん低下してしまいます。

年をとることでNK細胞の働き(NK活性)が弱くなってくるためで、年をとるごとにがんの人が増えるのも、NK活性の低下が関係しています。

 

私たちの体の中では、毎日約1兆個の細胞が誕生しますが、その中には数千個のがん細胞の芽も含まれます。

若くてNK活性が高ければ、たとえ毎日数千個のがん細胞の芽ができてもすぐ退治できますが、年をとってNK活性が低くなると、がん細胞の芽を退治できなくなります。がん細胞が増えてきてがん腫瘍となり、体に悪さをするようになるのです。

 

ただ、年をとった人全員ががんになるわけではありません。

NK活性は、ストレスを減らし、規則正しい生活をすることで、高く保てることが分かっています。食べ物の中にもNK活性を高めてくれるものがあります。

私たちが行った実験で、ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株400億個を含む乳酸菌飲料を1日1回、3週間飲んでもらったところ、飲む前に比べNK活性が有意に上昇しました。

腸には免疫細胞の7割が集まっており、乳酸菌飲料の摂取は腸内細菌のバランスを整え、NK活性を高めたのです。

乳酸菌飲料を毎日飲むと体の調子が良いのは、NK細胞が活躍しやすくなるからなんですね。

(順天堂大学医学部免疫学 特任教授 奥村康)

 

 『産経新聞』 2012年1月10日付

 

<引用は以上>

 

免疫学の世界的権威である安保徹(あぼとおる)教授の本を何冊か読みましたが、その中に、免疫力を高めるのに一番重要なのは腸管免疫力だと書いてあります。

この記事にも「腸には免疫細胞の7割が集まっている」とあるように、腸内環境を整えることは、あらゆる病気の予防になります。

その方法として、最も有効なのが乳酸菌で、白血球の種類の1つであるリンパ球、中でもNK細胞の活性化に関与します。

 

乳酸菌は発酵食品に多く含まれています。主な発酵食品として、ヨーグルト、味噌、しょうゆ、キムチ、漬物、納豆、チーズなどがあります。

一口に乳酸菌といっても、菌の属性を分類すると何種類もあります。記事にあるラクトバチルス・カゼイ・シロタ株は、ヤクルト、ジョアなどのヤクルト製品に含まれています。

そのほか、腸内免疫力を大きく高める乳酸菌として、ラブレ菌があります。これは、京漬物のすぐき漬けから発見されたもので、飲み物として商品化され、売られています。

これら乳酸菌がNK細胞を活性化しますが、NK細胞だけでなく、T細胞、B細胞を含めたリンパ球が免疫力を高めています。

 

リンパ球は白血球の一部ですが、白血球は大きく分けて、リンパ球単球(マクロファージ)顆粒球の3つからできており、自律神経と密接に関係しています。

自律神経は自分の意思とは無関係に働く神経で、交感神経と副交感神経で構成されています。

 

起きている時は交感神経が優位になり、白血球では顆粒球が多くなる。

寝ている時は副交感神経が優位になり、白血球ではリンパ球が多くなる。

 

つまり、免疫力に関わるリンパ球は、リラックスしている時や眠っている時に増えるので、良質な睡眠をとることが免疫力アップにつながるという訳です。

逆に、緊張状態にある時や興奮した時に交感神経が優位になり、顆粒球が増えるので、リンパ球の割合が減って、免疫力が下がります。

また、体が冷えたら、交感神経が優位になるので、体を冷やさないことも免疫力を高める上で非常に重要です。

 

免疫力を高めるには、乳酸菌を多く含んだ発酵食品を食べて、NK細胞を活性化させ、体を冷やさない生活を送ることが肝要です。

平熱は36.5~37.0 ℃が理想だと安保徹先生の本には書かれています)

 

 

 

この本も買って何度も読みました。医学知識がなくても、図解入りの対談形式になっていて非常に分かりやすいです。アマゾンの古本で(新品はなさそう)送料込みで450円ぐらいです。

ちなみに私は去年、居住市内の古本屋で買いました。値段は250円ぐらいだった気が…。