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前々から気になっていた、スパイク・ジョーンズ『her-世界でひとつの彼女-』を観た。全体の内容を含む感想を書くので観る予定のある人は注意が必要。




近未来、人工知能を搭載したOSに恋をする男の話。というと切ないSFのようだがスパイク・ジョーンズの想像力のせいで世界観が確立しすぎて、リアリティしか感じない(褒めてる)。ファンタジーとして観るというよりは、実際にこういう恋愛ってあるんだろうなあという印象。

元奥さんと離婚調停中の主人公は、ユーモアに溢れるOS・サマンサに惹かれて人生の喜びを思い出していく。
単焦点レンズで撮られる映像は人間の視界を強調しているようで、からだを持たない人工知能との対比が見える。

美術も美しく、映像自体は気持ちよく観ることができた。さすがだ。


しかしまぁ内容がどうも…中盤までのサマンサと主人公のやりとり(ゲームのシーンとか特に)はすごく好きだったのだけれど、それを過ぎると単なる痴話喧嘩を見せられているように思えて退屈だった。
主人公の性欲にもわりと引く…。


しかし設定のしっかりなされたSFとして見れば面白く、後半のOSの進化の話はなるほどと思える。

終わりに向かっていく時間の中で始まり終わる物語、というのも興味深い。物語は拮抗する人物同士の関係性から何かが失われるところから始まるんだというのも納得した。



しかしまぁ同じようなネタだったらわたしは『ちょびっツ。』のほうが好きだな…。




おわり