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きたきたー!
やっと観たぞ、グザヴィエ・ドラン『トム・アット・ザ・ファーム』
※以下、物語の核心に迫るようなことを書いているので注意が必要です。


ドランは『マイ・マザー』とか『わたしはロランス』みたいなセクシャルマイノリティと周りの関係(不寛容さや理解のされなさ)を人間ドラマとして、かつ映像的に描くことで知られる若手映画監督。

と、文章にすると薄っぺらい紹介しかできない。彼の映画の魅力については観てもらったほうがはやい。



今作はサイコサスペンス。ゲイの主人公・トムが死んだ恋人の実家にやってくる。しかし恋人は家族にゲイであること、トムとのことを明かしていなかった。トムは恋人の兄・フランシスに、事実を隠し続けろと脅される。フランシスは暴力的で野蛮だが、そのフランシスが時折見せる優しさや孤独にトムは次第に惹かれていく。



どこの商業BLだよ!というような展開ではあるが、SEとカメラ、映像の質が相俟ってこれがこわい。息を飲んで100分見続けてしまう。
特にジャケットにもなっているトウモロコシ畑のシーンは凄い。
あとは小屋でのダンスシーンがあるのだけれど、それがまた美しいのだ。何度も殺されそうになっている相手に喉元を晒して踊るとか!すきです!

ドランがインタビューでこの二人の関係性は「ストックホルム症候群」(厨二病のわたしたちには御用達の精神状態ですね)だと語っているが、まさにその危うさが光っていて素晴らしかった。是非みてほしい。こわいけど。



あと、DVDの特典映像でドランのインタビューが収録されている。

その中で、本来戯曲として書かれた原作を映画にすることについてドランが、
「戯曲は人物の心理をナレーションにして語るが、映画ではそれがない。演劇はセリフを聞くもので、映画は物を見るものだ。映画のほうがドライで男性的だと言える。」
男性的、という話があったからなんとなく思ったのだけれど、するとゲイのドランがつくる映画があまりに見るということに尽きるのは少し面白いなと思った。ストーリー以前に、画面であることに全力を投じている感じがする。


ドランは好きな監督のうちの一人。
新作も楽しみだ!





おわり